この所、ネット上での論文、新聞やTVの特集でも多く見かけるのが4月1日から改正された入管法施行に伴う内容とか、これに関する問題の深掘りです。
すなわち新在留資格に於ける特定技能の概要に関する解説や、急速に増加している実習生に対する受け入れについての捉え方。さらに浮き彫りになってきたのが悪質な送り出し機関の存在であり、またほぼ犯罪に相当する受け入れ機関と企業の実情など、専門家とされる諸氏の批判や論評を見聞きします。
これら事例の多くは、実習生の事故事件、急速に増えている犯罪行為の状況、悪徳受け入れ企業に起因した弱者に対するトラブル実態と本質ですが、一部のメディアやジャーナリストを除き本当の現場や実態を分っているとは思えない。
残念ながら政府は何時まで経っても移民に関する考え方を否定。論義をかわし論点をぼかし、建前として美辞麗句を並べ単なる安価な単純労働力輸入を続けながら曖昧にしてきたツケが問題として具現化、悪質化した結果と認識します。
問題が表面化するたびにクローズアップされていますが、本来の目的が機能せずに空文化。あるいは初期の理念が既に成り立たなくなったとするのであれば、中途半端なシステムは誰の為にもならないわけで、一部の利権者が利するだけの現行制度を抜本的に改め、健全な方法で労働者として明確な位置付けを行い、社会の一員として権利を保証、義務遂行を求めるのが適切なやり方です。
また問題に拍車をかけているのが偽装留学生。これには急増する日本語学校と、研究生と称し大学に入学や編入できる資格のない学生を救っているとの理屈で大量に入学させ、失踪しても一向にお構いなしの大学の存在は周知のとおり。要は学費稼ぎが目的。学生のなかには資質や履修するという気持ちは殆どなく、ほとぼりが冷めれば稼ぎのため逐電。学校も真摯に対応する気はないし、双方が殆ど暗黙の了解で成り立っているいい加減な構図が露見。しかしこのケースは此処だけでは無いようだし、社会悪である以上は禍根を残すだけのことです。もっとも留学生に週28時間までのアルバイトを認めていること自体が日本の制度の特徴。これに従っていると日本へ来るために捻出した費用と、日本国内での学費に生活費を賄うことはほぼ不可能。是非はともかく、我々の日常生活をする上で彼らの存在と経済を下支えする労働実態は無視できない所まで波及。関係者は実情を知らない訳でなく、頬被りや見逃しているのが諸悪の根源です。
この原因は1990年代、中曽根内閣の時に打ち立てた10万人留学生受け入れ計画を発展させ、福田内閣時代に無理やり20万人へと膨らませた無謀かつ無意味な所産であると思えます。これは入管法改正とは別の次元になるけれど、本来見過ごしてはならないはずなのに、むしろ留学ビザの簡素化を行うなど、本気で改めようとする気が無いのが問題。法改正以上に必要悪として存在する深刻な過剰サービス、無駄社会の構造を変えないと根本的解決はあり得ません。
筆者:IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生