実習生・留学生支援に関連して①

2021年2月24日(水)

・在留外国人統計をみると

出入国在留管理庁が昨年12月に公表した国籍・地域別在留資格別(在留目的)在留外国人に拠ると、2020年6月現在の在留ベトナム人は420,415人となっており、中国786,830人、韓国435,459人に次いで3位(構成比14,56%・総数2,885,904人)と急増している。
中でも技能実習生の総数は219,501人と、2位中国、3位インドネシア、4位フィッリピンを遥かに抜き去って1位、全体の54,5%を占めています。(この4か国で90,5%となっている。*出入国在留管理庁HPに詳細)。
また留学生は65,818人と、119,302人の中国に次いで2位。3位はネパールの24,821人、4位韓国13,121人。この4か国で全体の80%に達しています。この多くは語学留学という名目でしかないのが実態。
さらに2019年4月に始まった特定技能制度。令和2年9月末での特定技能1号在留外国人数(概要版)では、ベトナム人材は5341人となっており、総数8769人のうち60,9%を占め、2位の中国826人・9,4%以下を大きく引離している状況。取り分け食料品製造分野2403人・76%、建設482人・75%、外食産業500人・58%を始め、電気224人・59%、製造459人・59%、素形材391人・55%、農業574人・44%などベトナム人が如何に貢献しているか判ります。

・増え続ける不法残留と不法就労に犯罪

しかし在留者の増加に並行して不法残留者も急増。令和2年1月1日現在ではベトナム人が15,581人と、前年比39,6%の増加。4年前の4倍強だが特に女性は43,5%と比率が高いく、国別不法残留者の総数で4位が1位に。また実習生は7月時点で、8770人と前年より1583人増えました。
この所際立って連日の様に報じられている犯罪。不法残留に伴う在留カードや合格証偽造はもとより傷害・殺人、窃盗・恐喝に万引き、賭博、薬物、無免許交通事故や轢き逃げ等に及ぶ。本国からマフィアが来日し、実習生・留学生を狙い撃ちで闇の行為に巻き込むと伝う。この様な不心得者のため真面目に生活している人達にシワ寄せが来て職探しも出来ない、アパート賃貸も断わられるなど厳しい状況に晒されているのが現実。多くのベトナム人の若い人に拠って様々な分野で日本の産業が支えられている実情からすれば大変残念なことです。
同僚の弟が実習生で来阪。その仲間と食事中、寒村出の女性はこのまま残って仕事を続け、日本人と結婚したいなど夢を語っていました。憧れが強く事件など殆どなかった頃だが慣れた頃に帰国。何とも勿体ないと感じたことがある。
不法就労や在留期限が切れたままの不法残留は言語道断。こういう輩が地下に潜りアプリを使って仕事を無くした実習生などに甘い囁きで犯罪に誘い込む。彼らは徐々に悪の道へ手を染めてゆく事になる。ひいては一部の人間の不届きな行為で同胞まで白い目で見られるだけではなく他国籍の若者までトバッチリを受け、年末に入管が在留期間延長を行わない事態が出てきました。だが如何なる言い訳も通じるはずは無い。実態を知らない人にとってその国自体の印象も極めて悪い評価へと変わって行き、それ見たことかと罵られるだけです。

・COVID-19禍で 受け入れた側は責務を果たすべき

勤務先の倒産で失業、解雇された、仕事が激減して賃金も少なくなった実習生。留学生もアルバイト先が休業して生活は困窮。学費を払えず、帰国も出来ずに厳しい状況に追いやられている。だが相談相手がなく相談先も知らない、不安が募るのは海外に住めば誰しも何かしら経験するので気持ちは理解できます。
一方では来日予定が決まり足止めされていた若者がようやく出国可能。14日間の隔離はあるが、旧知の送出し機関は昨年150人を日本へ送りホットしているとのメール。安堵したのはむしろ日本の受け入れ側です。
誰も予想できなかったとはいえ、こういう局面で仕事を失くした実習生にどう対処するか誰も答えず知らん顔。不測の事態に備え国やJITCOが雇用の安全を担保すべきだが入れっぱなし。実施しないのはこの制度を自己否認するからで、後は企業が良きに計らえとは無責任。日本人が嫌っている仕事を大卒者もいる実習生や留学生が担っていたことが奇しくも証明された訳で、虚偽は見え透いている。出来なければ制度自体の誤りを正し、改革するべきです。

また正規の大学、大学院への留学生。COVID-19禍でもきちんと生活をしている人が多いのは先刻承知。各地の大学では留学生の支援として、地域によっては米や野菜などの食料品、また当面の生活支援として募金を原資にした支援金を贈っている所があります。特に国民保険の滞納を余儀なくされている人にとっては保険税を納付できない。そうすると滞納税が課されるし、保健証も取り上げられます。ところが彼らはこういう事態で減免措置がある事を知らない。
普段でさえ節約して食事も充分に摂る事が出来ないうえ、冬の寒空に暖房もできないのは暑い国から来日した人にとって心身に堪える厳しさ。手元不如意で明日の食物、病気への不安はあるがどうしていいか分らないのが実態です。
留学後に日本で就職をするなら、国民年金を払っていたか、または免除の手続きをしていたかなども資格に影響するという。しかし彼らを保護するべきなのに殆どしていない学校。知識ある支援者がいると安心できるが、彼等もまさかこんな事態になるとは思っていないから何の団体にも属さず相談が出来ません。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生