ベトナムは駐在員にとって5番目に良い国にランクイン

2026年1月6日(火)

海外で生活と仕事に関する調査する世界最大の年次調査のひとつであるという、InterNationsのExpart Insider2025の報告で、ベトナムは駐在員にとってこれまでの最高位である5位に選ばれたと報じられているが、ホンマかいな。
対象者は外国人の赴任者、退職した人、自ら海外へ行った人、その他の理由で移住した人だが、10,085人からオンラインでの回答があったとされます。
なおアジアではタイが3位に選出されている。
手頃な生活費は選出された主要因だが、駐在員の89%が満足しており、可処分所得は快適に暮らすのに十分だと応えているという。多くの人は将来のために貯金が出来、頻繁に旅行しながらも快適なライフスタイルを送ることができるため評判がいいとされます。海外で働くことで11位、キャリアの見通しと労働条件で12位、定住のし易さでも12位。ベトナムは国際幸福度でも8位にランクされているが、外国人居住者でも全体的な生活満足度が高いことを示しているというが、独身者、夫婦だけ、家族帯同、幼児がいるなど条件に拠る。
とは言え何もかもが良いというものではないともされ、確かに生活費という面では依然として際立っているけれど、生活の質という点ではトップ15に入らない有様。他の主要国と比較して公共交通機関、レジャー・オプション、医療インフラなどの分野では改善の余地があると指摘している。
初めてベトナムの土を踏んだ人の感想は、まさに渦の中に引き込まれたような気分にさせられるが、これは全ての道路はバイクがひしめき合っており、騒音はけたたましく脈を打っている。空気は屋台から醸し出される食べ物の臭いで充満しているが豊穣。高級レストランより街のコム・ビン・ザンが旨い。これは多くの外国人にとってエキサイティングであり、また当惑させられるもの。
だが欧米人はビジネスに於いては間接的なコミュニケーションだと困惑、また決定が常に遅れることに驚くが、伝統的な文化と近代化が独自に融合しているというベトナムに挑戦するのに期待を感じているが、東洋人と欧米人でも違う。

・外国人が夫々に感じるところの文化の差

初めてHCM市に赴任したカナダ人のITコンサルタント、オフィスは極めてフレンドリーで、皆がニックネームで呼び合うという。しかし実はそれは敬意とハイエラキ―を反映していることを知らなかったという。単なる同僚でなくメンターの様に振る舞わなければならないことが期待されているのに気がつかなかったとあり、これがストレスにもなったと話している。
またフランス人の語学教師としてハノイに来た女性は、学校での体験だが誰もが自分の本当の考えを言わずただ微笑んでいた。しかし彼らは本当に意図することは会話の中で静かに伝えられていることに気が付かなかったということを後から知ったけれど、なにか取り残された気分になったとあります。
日本人の製造担当マネージャーは、明確な指示をワーカーにしたけれど、彼らは明確に従わなかった。初めは抵抗したと思ったけれど、そうではなくNOと言えなかったのだが、上司と違う意見を言いたくなかったことが判ったという。
というより、もの造りの現場では創意工夫する能力が欠けているし、改善するとか、ワーカーでも提案するなどあり得ない。使用する工具の管理も教えなければ出来ないし考えない。販売ではどうすれば売れるのか、企画が出来ない。
古い計画経済下での生産という概念が遺伝子として残っているからで、戦争を知らない子供たちに期待したいけれど、教育そのものに問題があると感じる。
これらは事例であるけれど、他にも多くのすれ違いは実際に起きている。記事に拠ると、ベトナムは暖かさと、もてなしが暗黙裡に思惑と共存する国であり、YESが必ずしも相違したとする意味でなく、ルールよりも人との関係が最も重要であるとするのが職場でも行われているのだ、とあるとしています。

・ここ20年程の社会と企業の動きをみると

同じアジア圏であっても歴史に文化、宗教も異なるし、言語も複雑、気候風土、さらに教育も大きく異なるのがベトナムの現実であり、特にビジネスに在っては解放後高々50年、世界的に認められたのは精々20年程でしかなりません。
異文化を持つ国、まして新興国とされる国でのビジネスは、工場生産であっても世界的な経験をして来た人材は少ない。ようやく経済が発展し生活が豊かになって来た、海外にも行けるだけの余裕も出来たし、留学も増え先進国の文化に様々な経験をした。卒業後もそのまま残って仕事をする人、家族を持った人もいるし、外国から帰国して事業を始めた高学歴の人物も出てきた訳です。

これまでのやり方では世界に全く通用しないということがやっと理解でき始め、物を売るには生産管理が重要であり、グローバルスタンダードでの品質管理をされなければ機会損失となる。商品を販売するにはマーケティングを知らなければならないし、企業の経営に在っては、社長以下役員は経営管理、財務管理、人事管理が求められ、少なくても財務諸表は実務に必要だが、商業簿記でさえ知らないどころか、その日の現金収支さえままならない人は多いのです。
ところがかつてはややこしいのでやらない人が多かった。物は造ればいいだけで品質は二の次。その日の喰い扶持があればそれで良く、金の感情はドンブリで日銭を稼げるだけでいい。個人商店では、故郷の親戚であっても従業員には家事労働など隷属的扱いをされている実態もあり、利益は全て自分のモノ。
こういう状況だったけれど、徐々に変化もなくはありません。
20年ほど前、すなわち2000年が明ける前後はこんな具合だったのです。
しかし物価や駐在員が住むアパートの賃料は今よりはるかに安く、この調査で生活し易いとあるのには驚きのほかありません。まして貧しいけれど人の心はもっと豊かだったし、街には独特の文化の香りを感じることが出来ました。
確かに町は綺麗になり、超高層ビルが建ち、道路・交通インフラは整備された。
だがこれ等は自国政府や地場企業の努力の賜物ではなく、海外諸国のODAであり、海外投資と海外企業が進出した結果でしかありません。従がって本当に国が豊かになったのか?一見して国民の暮しは良くなり、一般人の憧れだった車を持つ家族がおり、電気製品も揃ったけれど、精神的に本当に豊かになれたのか。むしろ格差は拡がる一方だし、一層貧しくなっているとしか見えません。
統計数字は外国企業の実績の繁栄でしかありません。さらに経済成長するために政府は外国投資を積極的に行おうとしている。だが自国に政府が目指すIT、AI、グリーンビジネス、脱炭素化を声高に叫ぶけれど人材はおらず、資源に資金は無い。背伸びし大きく見せようとしているだけで勘違いしてはいけない。
地場企業も大きくなった。これに伴って大金持ちが出て来たけれど先進国並みに企業が成長したかと言えばそうではなく、社歴が浅く積み重ねて来た世界的に通用する技術力にノウハウは持っていない。それ以上に経営理念とか哲学を持つ経営者は少なく、個人商店の延長でしかない企業が多く、幾ら金融や株式市場が発展しても経営と所有の分離は行なわれず、我が物。社会の公器としての機能を企業は持っていないし、そういう考えもありません。

・駐在員からみたベトナムの最も重要な位置付けとは

ベトナムでの文化的齟齬は、コミュニケーション、権威、優先順位に対する様々なアプローチから生じることがよくあると言われると評しています。
優先事項では、ベトナムの関係志向の文化において西側諸国の効率重視と対照的であり、関係性が重視される。個人的なものや縁は仕事と切り離せなく絡みあっている事さえある。面子を保つ、という社会的ルールは時として人間関係に深刻なダメージを与える可能性もある。長年勤務した人物が、駐在員の上司から公の場で叱責されると屈辱を味わったとして辞職する可能性もある。これを逆手に取り、わざと人前で公然と叱る作戦では本当に辞めてしまって万々歳。職場では結婚式や加速の夕食、単に親族とカラオケを歌うとか、様々な祝い事にもオヨバレすることが多いけれど、多くの場合、外国人を呼ぶことがステイタスでもあり、事実よくありました。これはおもてなしの範囲を超えて良好な関係と信頼を築く懸け橋になる。こういう人間関係重視の文化では信頼は一緒に共有される時間を通じて高まり、招待を辞退する頻度が高くなるならば意図せず距離が生まれ、後でコラボレーションに影響を与える可能性も出てくる。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生