消費財や木工家具の輸出は回復傾向にある

2024年4月10日(水)

また同じ二次製品でも消費財や木工家具の業界では、今年1~2月の輸出受注が多くなっており、その販売高は第一四半期の前年同期比では10~30%も増加する勢いであるとしています。
B食品会社では今年に入ってから、注文が大幅に増加したとしておりフル生産しても注文に追いつかないために工場拡張を決定したという。これは余りにも性急な考えかも知れないが、国内市場での販売増に加えて、今年は海外からの注文が2桁増加しているという。この企業は米から作るブンやフォー、ミエン(春雨)があり、これ等は最近アメリカやカナダで人気が出てきたとある。
これらの国にはベト僑が多く需要をけん引しているが、日本でもこれらの商品に加えライスペーパーやベトナムの調味料が売られていて好評だとか。
日本ではバインミー協会なるものがあって、バインミーがほぼ日本国中で食することが出来ます。価格は一個600円ほどと決して安くないけれど、人気があり殆どのベトナムレストランや専門店で買え、在日するベトナム人にも好評。しかし現地の馴染みの屋台で味わうものとは食材に何処か味も違うし、何よりも手軽にという訳にはいかない。これは包丁があれば何処でも食堂がやれる、ということでなく、家庭の味の再現は良いけれど、ショフとしての経験がないとか、単にベトナム出身というだけでは本格的な料理など造れません。

また靴製造(革靴以外)は注文量が多くテト休みを止めに切り上げたほどで、この8月までの生産量を確保できていて、前年比で35%の増加だが、昨年はマイナスだったという。この理由はドイツとブラジルの市場で成長が著しく、特にスポーツシューズの注文が多かったとある。
ベトナムは早くからナイキやアディダス、リーボックなどのシューズメーカーが進出しているが、同じように20年以上も前から台湾企業がサンダルなどの履物を製造してきた経緯があります。こうした産業は中国からのシフトも多く、しかし繊維産業と同じく他の新興国へ生産地が移って行く可能性は否定できません。今殿様だが、先は分からない。何れ訪れるであろう交代期に備えて地場の受託企業は備えが必要だと考えられます。また自社ブランドを企画製造し、これを将来的に世界で通用するまでに育成と成長させる企業努力は必要です。

さらに木工家具製品の業界でも昨年同期比よりも好調な業績という。HCM市木材工芸品協会に所属する企業では、1月の輸出額が前年同期比で72%増の約15億ドルだったといい、これからも増える見込みだとあります。今年の見通しは受注が伸びていて170億ドルに達すると予測している。
昨年8月以降はこの業界での販売高はおよそ3~5%の増加としています。
この原因の一つ、中東のホテルやレストランでのベトナム製品の需要が高くなったことと、新市場開拓が進んだとあり、会員の平均受注増加率は約15%、利益の伸びは10%としている。
ベトナムの家具は過去に主に台湾企業に拠る日本の通販用に造られ、その材料はゴムの木の廃材の再利用が多かった。素材は固く強く電気コタツなどに利用。
また大型家具店では目玉商品のひとつになっていたのだが、使っていたのは多くが集成材かチップを樹脂で固めたもの。塗装が下地まで見える代物なので、安物っぽくて日本人は買いません。海外市場を無視していた(知らなかった)と感じます。事実筆者が依頼して出来た家具内装製品は全てが集成材。しかもこの業者はベトナムのホテルに家具を納入している程、というがレベルは低い。図案はこちらで書いて渡したけれど、商品企画やデザイン力は極めて弱かった。
またおもちゃや木工雑貨も海外企業からの注文がこれまでにも多かった。だが市内で操業していたけれど、市は粉塵などで郊外に移転させた経緯があります。
ベトナムは針葉樹が無く、ベトナム戦争で多く山は丸禿げ状態。紫檀、黒檀は伐採禁止。日本の大手林業会社などはゴムの廃材をチップ加工する現地工場を建てて操業しています。

HCM市商工局での調査に拠ると、テト明けから多くの企業では輸出の受注が増加しており、労働者の職場復帰率が90%を超えたとしている。日本人からすれば何それ?だが、テトが終っても地方の実家から戻らない労働者が多い。
商工局では輸出減少という困難は過ぎ去ったとの見方。だが今年に入ってから製造とサービス産業は前向きだったが、この間、縫製、履物、木製家具は低調だったという。しかし最近は上期分、あるいは第一四半期は充分な量を抱えていて通しは明るいとして、年5%の成長が見込めるとある。
またHCM市の統計に拠れば、同市の1月の鉱工業生産指数は26,9%増え、域内の貿易は15,5%の増加、輸出額が23,3%も増えたとしています。
これを商工局ではHCM市の輸出が変化したとみており、成長を加速させるために関連部署と協力して様々な企業の支援策を講じるとしている。
産業構造はIT関連を中心に変化させてゆく必要があるけれど、しかし未だに地場二次産業の得意分野である繊維・靴履物・木工関連に頼る実態がある。
HCM市の今年度の経済成長目標は7,5%。これを達成するため輸出製品企業の支援、国内需要の喚起、公共投資促進という三つの柱を優先的に実施する必要があるとしています。このため展示会の開催や、5月8日から11日までの期間には7区のSECCCでベトナム製品輸出フェアを開催予定し、海外企業とHCM市の企業とを繋ぐ絶好の機会を創ろうとしている。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生