ベトナムでは、実質GDP成長率が過去15年の間、6~7%前後で安定的に推移し、これを背景とする中間所得層の台頭などにより、小売市場が急速に拡大しています。そして、近年、小売の業態にも変化がみられます。
そこで今回は、ベトナムの小売市場についてご紹介します。
小売市場の成長に対する期待
ベトナム政府公表による2017年のベトナム国内の小売店販売額は、日本円に換算して約14兆円6700億円と過去最高になりましたが、いまだに日本の10分の1程度の規模にとどまっています。
しかし、ベトナムは、ASEAN第3位となる約9,500万人の人口を抱え、今後も更に増加し続けることが予想されています。また、平均年齢も約31歳と若く、可処分所得の増加も見込まれており、今後の小売市場の潜在成長力には、大きな期待が寄せられています。
スーパーやショッピングモール、コンビニも増加
ベトナムの日用消費財の小売り業態は、依然として、個人商店のような伝統的な形態が主流です。
しかしながら、最近では、都市部を中心に、スーパーマーケットや大型ショッピングモールなども徐々に増えてきています。日系では、イオンや高島屋が進出しています。こうしたいわゆる「近代リテール」は、都市部での人口や可処分所得の増加などから、今後も成長が期待できそうです。
また、コンビニの店舗数についても、年々増加しています。2017年6月には、セブンイレブンのベトナム1号店がホーチミンにオープンしました。さらに、ファミリーマートやミニストップなどの日系コンビニも、普及余地が大きいとして、出店を増やしています。
Eコマース市場も拡大
ベトナムでは、スマートフォンやSNSの普及が進んでいることなどから、実店舗を持たずにインターネットを通じて商品を販売するEコマース(EC)による販売も増加しています。2016年のECによる販売額は、小売全体の約3%を占めるまでになっています。2020年までには、EC市場が現在の2倍の規模にまで成長するという見方もあり、小売業者側には、その備えも求められつつあります。なお、日系企業では、2017年1月にイオンが、そして2月にはミスミグループがECサイトを開設しています。