ベトナムの物流事情をご紹介

2018年7月15日(日)

ベトナムの物流市場規模は急速に成長しており、今後5~10年の間、2桁の成長率を維持する見込みです。

また、ベトナムでは、近年の急速な経済発展に伴い中間所得層が拡大しつつあり、生産拠点としての位置付けに加え、消費市場としての性格を強めています。都市部では冷凍・冷蔵食品などの消費が拡大し、付加価値の高い物流サービスへのニーズが高まっています。

今回は、ベトナムの物流事情についてご紹介します。

ベトナムにおける物流の現状

ベトナムには、輸送や倉庫保管などの物流サービスを提供する企業が1,300社以上ありますが、その多くは、事業形態が小規模であり、サービス内容も限定的です。このため、物流システムは、メーカーや卸売業者が独自で構築している格好であり、物流の集約が進んでいません。特に小売業者では、販売拡大に伴う物流管理業務負担の増加に、人海戦術で対処している状況にあります。

ベトナムでは、経済成長や貿易の活性化などを背景に、今後、物流量の増加が見込まれており、荷主のニーズも一段と複雑になるとみられ、物流センター整備を通じた効率的な物流システムの構築や、より広い範囲の専門的なサービスの提供が求められています。

小売市場の発展が物流業に波及

ベトナムの小売市場は、経済成長による消費者の購買力向上に伴い、急速に拡大しています。こうした小売市場の発展によって、物流業では、物量増に伴う輸送需要の拡大に加え、生鮮食品や冷凍・冷蔵食品など付加価値の高い物流サービスに対する需要の高まりが見込まれています。しかし、そのニーズに十分に対応可能な設備は不足しており、コールドチェーン物流などの冷凍・冷蔵物流の整備が急がれています。

日系企業が4温度帯物流の提供を開始

大手商社の双日は、2016年6月に、食品卸大手の国分グループ本社、ベトナムの物流大手ニュー・ランドと合弁会社を設立し、同年12月には、常温、定温、冷凍、冷蔵の4つの温度帯に対応した大型物流施設を開設しました。トラック約50台も保有し、食品の保管から店舗への配送までワンストップで請け負います。コールドチェーンに常温と定温も加えて、高度な温度管理を可能とした近代的な物流サービスを提供し、2026年には年間売上高10億円を目指しています。