ホーチミン市で安全な生活のため

2020年9月4日(金)

在ベトナム日本大使館から、「ホーチミン市で安全な生活のため(安全対策マニュアル)」という文書がHPで見られます。32ページ拠るもので、現地で生活する上での注意事項が詳しく書かれており、生活体験が無ければ分かり得ない内容です。実際に海外公館が扱った事件なども含まれますから緊迫感がある。セミナーでは分からない。日本で考えられないトラブルや事件の実態が分かります。日本と比べ安全度はかなり低い国。具体的に書かれているので、一読されると良いでしょう。
構成の内容は、1、ホーチミン市における邦人犯罪被害の傾向。2、防犯のための具体的注意事項。3、交通事情とトラブル・事故対策。4、テロ・誘拐等から身を守るために。5、当地衛生・医療事情等。6、緊急事態への準備。7、主要機関への連絡先等。となっています。一部をピックアップし、私が経験したことと併せてダイジェストでコラムにします。

・ホーチミン市における邦人犯罪被害の傾向

本稿では昨年邦人の被害が110件あり、前年比42件の増加とあります。
バイクのひったくり51件、とスリが多数。だが実際にはこんなものではあり得ません。総領事館へ届けないことが多く、何倍もあるはずです。
私は不肖ながらスリに携帯電話と、バックに入れた名刺入れをやられました。またバイクは2台。店の前と門扉の中に入れていたのだが鍵を壊されての窃盗。
今では携帯など見向きしませんが、今ではスマホ。盗品であっても売れます。
バイクでのひったくりはベトナム人の被害者も多く、同僚も付け狙われ、背後からネックレスを奪われ、その傷が残っていました。しかし切れるのは良い。切れなくて亡くなった人が居ます。日本語をフエ南学で覚えHCM市に働きに来て僅かしか経たない頃。田舎とは悪さの程度が半端ではありません。
大阪の会社社長は宿泊先があったタイバンルン通りでひったくりに会い、転倒して骨折。現地の病院で処置をしたが治療が不十分で長引いた事もあります。

・防犯のための具体的注意事項

貴重品は絶対に持って出歩かない事。パスポート(コピーを持つ)や貴重品はホテルに預けておく。セカンドバッグも危ない、ましてウエストバッグは危険すぎる。高級時計、指輪にネックレスはしない。買物をする際、財布から札束を見せない。観光客が多い道路では物売りから買わない、少なくなったが物乞いには恵まないこと。仲間が集まってきます。来越者に注意したところ、奴らに足を蹴られたことがあります。
人が多いショッピングセンター、市場など人混みは危険。声掛けで振り向き様に掏られる場合も多く、あっという間に掏られる。リュックは背負わないのが基本。私は現金を財布に入れずに3カ所にそのまま分散して格納です。
また置き引きも注意。一人旅は必ず荷物を確保。日本の様に隣の人に「お願い」は通用しません。トイレにも荷物は必ずもって行くこと。

・交通事情とトラブル・事故対策

基本的に個人旅行ではタクシーでの移動。先ずは有名な会社でないとほぼ危険
それでも遠回りに料金の不正も多い。特に夜は明るくない所は避けるのが無難。
ホテルではカードに名前などを記入して渡してくれますから、持っておくこと。
バスは観光客はまず乗りこなせない。今ではシクロは殆ど観光用だが、バイクタクシーはやめた方が良い。旅行ガイドに乗ってみようなんてあるが自己責任です。地方で女性が大怪我をしてHCM市の病院へという事件もある。保障が無いので泣き寝入りするだけ。もの珍しさと引き換えの入院ではつまらない。

・当地衛生・医療事情等

ワクチン開発だとか騒いでいますが、実際の医療レベルは低い。未だにタイ、シンガポール、日本へ緊急搬送しています。以前、日本人医師・大阪の人でありよく会いましたが、ある時これから日本へ患者と同行と言う。また知り合いの駐在員はタイでの心臓手術。特に地方では設備は貧弱で老朽化。検査診断が出来ない、見落としもあるなどレベルが低い現実。亡くなる実例も多いと聞き、従ってわざわざHCM市までやって来るので病院は並の混雑ではありません。
慣れない気候と食事、疲れで疾患は多く帰国日に病院へ運んだ事もあり、また心臓発作や脳出血など海外で亡くなる日本人も実は珍しくありません。外資系病院は高額なので、絶対にキャッシュレス海外旅行保険に加入するのが安全。

・その他

幾つか以前にコラムにしましたが、日本語や英語が出来るからと言って安心は禁物です。親しげに近寄ってくるのは何かあると考えること。誘われて賭博も危険。身ぐるみ剥がれるどころか誘拐、若い日本女性は人気があり売り飛ばされることもあると聞く。海外だと言ってやたらと開放的になってはいけません。
買春は結構多く夜の武勇伝がネットに載るが真に受けない。公安の人物が経営のバーやビリヤードがあって、扉の中や上層階はその春を売る部屋。昔は手入れを想定し川沿いにも多かったが危険が一杯。近寄ってはならないが万一摘発されると新聞に名前と会社名が載り写真も入る位の執拗さ、二度と来越不可。岡場所に連れて行けとの要求にはこの脅しで対抗、業務以外だとお断りします。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生