ローカライズ 海外進出を成功に導く秘訣③

2020年11月6日(金)

・早く帰国したいと願う日本人も多いのは残念だが

高級アパートが住居。運転手付の車、現地手当も完備なのに毎夜の日本食通いと羨む様な生活の駐在員は比較的多いが、ローカルの家に住み、バイクかバスで通勤する人は先ず居ません。
地方視察や何の活動もせず、親睦ゴルフコンペとジム通いに勤しむが、3年前後に可もなく不可もなく無事の帰国を考える人もいる。嘆かわしい。
もっといけないのは自らの意思で来たのではない、と現地従業員に言う社員。結果は総すかん。人の気持ち、周りの空気が読めない。誰だってこんなヤツと関わりたくないのは当然、無視されるのは道理です。
赴任させてはいけない人物の鉄則。現地に関心が無く、料理を口にできない。どだい仕事が出来る訳が無く誰をも不幸にする。自から手を挙げる人が大切、強い意思あればこそ成果をあげる事は実証済みだが、二の足を踏んで任せない。
セミナーで私は、頭の良い者を行かせるな、賢くて遊べる奴を選べと話します。学業優秀者は真面目が取り得だが新興国の変化球を捕れずに役不足。野村克也監督のID野球のように緻密な計算と行動力、柔軟さが必要不可欠。だが机上業務が得意の管理者。環境に溶け込めず、周りと話さず、日本人としか会わず、「さんず」の川を渡れない人に現地は務まりません。
ベトナムにも仕事が出来ない人はもちろん居る。育てようにも勉強をしない、簡単に裏切るは、直ぐに辞めるはで腹が立つ。それでもこんな中から一抜け、二抜けて、いい加減な連中は自然に淘汰されて行くのが経験則。それでいい。所詮人の考えなど何処でも同じで慣れと割り切り、忍耐と寛容も時には大切。能力があっても評価や処遇・立場を低くされれば辞めるのは人情。会社が悪い。副社長や管理職に女性を任命した企業も複数あるから捨てたものでは無い。

・日本企業は邦人が居る所にしか進出しないというが

大手企業が進出すれば関連企業も近くにやってくる。コストも下げられるし、阿吽の呼吸での意思疎通は相互信頼の証、生産管理や品質に大切な要素です。
新興国は任せるに足る能力、経験、資材設備など製造環境に欠ける場合がある。
また事実この状況と物つくりの工程、業種も解からず工業団地を管理する会社役員が知らないのに唖然。この人大丈夫、不安を覚えた実態さえあります。
反面、現地企業を指導しながら発注する日系企業もある。要は物つくりに対する情熱、素直に学ぼうとする真摯な姿勢や意欲・気概があるか否かに拠る。
その結果90%の製品は現地日本企業向けの地場企業さえあり、成長を続けて進化、事業を拡大する経緯も見ている。また日本人社員が一人も居ない工場、現地に全て任せている所、外国人が居ない地方の地で工場を運営する日本人もいて、某コンサルタント氏の話は必ずしも正解ではありません。
生き物は群れを作る習性があり、これは外敵から身を守る生存本能で行動原理。
殊更日本人だけがどうこうではなく、アジア人にしろ、欧米人にしても大して変わらない。インド人も昔から大阪に多く居住しコミュニティーを作っている。その中から組織や集団に交われない人が出てくるのも同じです。

・韓国企業 聞いたところに拠ると

ヒュンダイは日本再上陸、水素エンジン車だとか。自国では水素ステーションが無く、単に作っています、という盛り上げが狙いだとか。
確実な点検整備は重要。ベトナムで日本のバイクには定評があり販売店は何時も定期点検で満員、信頼されている。日本は各社訓練教育システムもあるが、おざなりの韓国は撤退(私の初代バイク。ホンダのフェイク)、信用されない。
話題のサムスン。元々は白物家電を販売していた所、急に何を思ったのかIC分野に進出すると宣言。誰もが反対する中で、現在の携帯電話の地位を作り上げ怪物にのしあがりました。だがズブの素人。分からなければプロを呼べばいいとの姿勢。幸運だったのは不況時に日本の大手企業の優秀な技術者を根こそぎ雇えたこと。これが現在の礎というが任せるのは偉い。部品の7割が日本製は姿勢の仇花か。現場を知らない経営者がよくやる間違いパターンは何も分かっていないのに俺がオレがとしゃしゃり出て良いトコ取り。ベトナム進出でも経営者は契約するが本当の実態を知っていない。後はよろしくと現地駐在者に丸投げのケースが多い。苦労するのは現場で、部品や原材料が調達できない等、問題が次々起きる打ち出の小槌。責任だけ押し付けられ上手く行けば我が手柄。
韓国は現地勤務が最低5年とか10年で、赴任前には現地語を習得させ、赴任しても直ぐに仕事をするより、金をかけて人脈作りに勤しめるのが強みとか。
ベトナムでも不動産のホアン・アン・ヤーライ。中間層へ住宅の分譲で人気。元は材木屋のおやじ。ダラットで経営するホテルに行ったけれど広大で立派。金の掛け方が違うのは器が違う証拠で、任せた以上文句は言わない太っ腹。
担当者はやる気を出してドンドン仕事をする、会社が儲かる、三段論法です。

・時流は天賦の才で読めるが、専門の仕事が解らないならプロに任せる

何処にも商売道に長けた才人、強烈な個性や独創的な経営観を持つ奇人はいる。
経営者には時流を読む念力が要る。現場が分からなければ経験豊富な専門職に任せ、失敗すれば後始末厭わないだけの度量が居る。という経営観の教訓です。
また攻めと守り、拡大と集中の見極め方は必要だが、イケイケドンドンは危険。果たして日本の経営者、何処まで出来る、何人いるか。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生