日本の医療にみられる患者優先 中国人の視点だがベトナムは①

2021年12月27日(月)

COVID-19禍4波のベトナム。感染者の拡大がなかなか止まりそうにありません。中でも死亡者の割合は比較的高く、10月5日現在感染者約82万人に対し、死亡者は2万人を超える。これは思ってもみなかった事だが、その理由は明確ではないにしろ、医療体制が他国に比べて貧弱という可能性は否定できません。
外資系企業の進出が増え、並行して外国人在留者も増加。以前より国際病院があり、多くの外国人患者は言葉の問題もあるが、比較的設備が整い同国人医師や看護師が居て診察してもらえるという安心感から、こうした病院へ行くのは医療費が高く付くけれど、もっともなことです。
近年は外国の支援でHCM市にもフランス病院や1000床もある病院、高級な民間産婦人科病院もあって富裕層や外国人のベトナム人配偶者が其処で出産するケースを見受ける。話を聞くと費用は掛かるにしろ、食事から何から何まで全く違い安全と言う。さらに高級官僚でさえ高度な治療は国内の病院へは行かず、近隣国や欧米の病院で受けることが多いのです。これは自国の医療体制や設備、医療技術に安心できないとの気持ちからで分らなくはない。だが最近は進歩が見られ、一部の病院では移植手術が可能になるにまで改善されている。
しかし大勢は国民が自国の医療は脆弱だと認めており、地方では見立て(検査や診断)ができず、間違うために死亡例や、HCM市の病院へ来た時は手遅れだったとの実例を直接聞きます。

感染拡大前には中国人患者が来日、健康診断を受けるとか脳ドックでの検査、PET検査などや先進ガン治療などで来日していたが、その件数は2018年には1390件にも達したとあります。この理由に関して中国ネットでは安心して任せられ、適切な医療サービスを受けられるとしています。
日本の病院は患者にとても優しく誰にも配慮が見られる。衛生的で医師や看護師も親切で質が高いと述べています。高級な個室になると費用は高くなるが、単調な白色ではなく落ち着いた木目調で完全空調。廊下には絵画が飾られ待合室には本やドリンク・サーバーがある。トイレはシャワー式で手摺に緊急呼び出しのボタンもあって安心。すべてが患者優先という意識が見られると好評。こうしたことは雲泥の差、学ぶべきで誰もが行きたくなるとされています。

だが在留外国人は時折、保険制度を巧妙に利用。母国に居る両親などを呼び寄せて、生活実態など一切ないのに医療を受けさせ保険適用を受けていると問題になっています。法的解釈は別として、悪用とみられる行為にまで範囲を拡大解釈するのは避けなければなりません。

・ベトナムで医療を受けた実例と病院の実態

多くの場合、日本人医師がいる国際病院へ行き、保険を使えるようにしている。
歯医者にしても日本人医師、日本で勤務経験があるベトナム人医師が居る歯科病院があるので安心。海外旅行傷害保険が無い人は、ゴールドカードが使える。また日本の健康保険も利用可能だが、帰国後に申請となり診断書等を日本語での翻訳が必要。しかも日本の点数での計算となるため国際病院で受診した場合、殆んど支払った医療費よりかなり低い金額しか返還されないので注意。

健康診断を現地の病院で受けた
以前HCM市で二番目に大きいトンニャット病院。此処で労働許可書の申請に必要な健康診断を受けました。費用は100万VND(約5000円)です。指定された病院でしか有効とならないが、国際病院だと300ドルくらい掛るのでかなり安いと言えます。外国人にはそれ程の負担でないが、ベトナムの若い人が就職用に提出する場合、個人の負担額としてはかなりの高額になる。
まあ英語は通じるのでほぼ問題はない。採血は女性看護師だったがかなり上手で痛くありません。レントゲン設備は旧いが問題なし。あとでフイルムをくれました。視力検査はアルファベットを指図された文字を読みます。日本の昔と同じしゃもじのようなもので片目を隠しました。ベトナム語発音でも英式発音でも問題はありません。あとは尿検査など日本と一緒。夫々の検査が終われば終了のハンコを押してくれます。面白い経験です。

国際病院
HCM市にはいくつかの国際病院があります。夫々日本人、韓国人、ベルギー、アメリカ、イギリス、中国等々に、ベトナム人の医師が居ます。英語に不慣れな人には通訳が居ますから安心できますが、それほど難しくないので問題なし。
費用はかなり高額で風邪でも100ドルは最低かかります。旅行者で多いのは食中毒とか腹痛、どうしても長旅と慣れない料理にアルコールが原因。ある時
旅行に来た人は生ガキを食べて真っ青に、二日間行動が出来ませんでした。
また視察に来た人が最終日、その日の夜便で帰国予定が突然の腹痛。知り合いの医師に電話して国際病院に連れて行き点滴を受けたことがあります。その日最終の視察が別のベトナムの病院視察とは皮肉でしたが、何とナゼか本人だけが食あたり?何とか帰国便に乗る事は出来たが、疲れからと聞く。下手すると入院となるがこうなると一晩なのに1000ドル位だと聞いた事がある。
次に多いのは、日焼け。その日はそれ程でもないけれど二日目になると真っ赤になり痛くなる。我々はTシャツを着るが、同じ様にというけれど嬉しくて聞かない。リゾート地からHCM市に戻ると案の定病院へ、お世話になりました

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生