ミャンマーの投資環境整備に向けた動き

2019年3月20日(水)

ミャンマーでは、2018年後半から、経済改革を進める動きがいくつか出始めてきています。その1つが、投資環境の整備に関する動きです。

同国では、電力、不動産、各種の届出や取引など、ビジネス環境に影響を与えるさまざまな分野で根本的な改善が求められており、これらすべてが、投資家に投資機会をもたらしています。

これまで、ミャンマー政府は、外国から投資を引き出す努力を怠ってきたわけではありません。投資環境を改善することにより、ミャンマーを投資先として魅力的な国にしたい考えでいます。

今回は、ミャンマーにおける投資環境整備に向けた動きについて、ご紹介します。

投資促進計画を発表

ミャンマー政府は、ミャンマー投資促進計画(Myanmar Investment Promotion Plan、「MIPP」)を策定し、2018年10月に発表しました。MIPPは、日本の国際協力機構(JICA)などの支援を受けて作成された、2035年までの長期的な投資促進計画です。

MIPPは、「投資に関する政策・規則の整備」「投資促進機関の強化」「インフラの整備」「ビジネス関連制度の整備」「地場産業の発展・人材育成」という5つの戦略から構成されています。

この計画に基づき、ミャンマー政府は、今後20年間で2,000億米ドル(約22兆円)以上の投資額になると試算しています。

また、MIPPには、投資形態として、「輸出志向型」「国内市場型」「資源活用型」「知識集約型」の4つが示されています。各形態では、短期的、中期的、長期的に誘致すべき産業を明確にしています。

「投資・対外経済関係省」が誕生へ

MIPPでは、投資促進のために省庁横断型の組織が必要であることが明示されています。

2018年11月に、MIPPの提言を受け、その具体化の1つとして、投資誘致を主管する「投資・対外経済関係省」を新たに設置することが決定しました。

同省は、投資関連手続きを一元化する「シングルウィンドウ」の機能を強化する方針を示しています。ワンストップの投資窓口として同省が機能することにより、手続きに要する時間を短縮し、投資家の利便性を高めることがねらいです。

ミャンマー政府は、投資促進の観点から、さまざまな省庁の政策に関する管理・監督が必要であることを認識していると考えられます。
今後、MIPPの進捗状況が注目されるとともに、政府としての投資受け入れ態勢がさらに整備され、投資環境が改善されることが期待されます。