Covid-19が要因となって、サプライチェーンの中国集中を避ける論議が一挙に噴出したが、移転は一朝一夕に進むはずなどなく、こっちの水は甘くない。
中米対立が顕著になり米国は覇を意識。我儘の行動でG7参加国を増やし中国包囲網強化を目論むが日独反対で足並みが揃わない。双方がガキの喧嘩に発展。
韓国は日本の輸出管理で工業製品を自前で造ると息巻いているが、WTOへの提訴は一年経っても実際には進んでいない焦りの証明。各国は経済や企業より現政権の保身が色濃く、形振り構わず国民無視の荒れた状況はみっともない。
我が安倍政権もボロボロ。以前から指摘されている通り科学技術資源への啓蒙や研究予算は減少する一方。基礎研究分野は蔑、先端技術音痴が露呈など先は細くなる可能性が高く、優秀な人材は国外流出と知人の技術屋は危惧します。
日本は20兆円の経済収支を中国から失うとの報道も出ているが、経済学者に評論家など日本衰退とやたら不安を煽る輩がいるが、経済は心理的要素が強くあり、混乱の中で政治・外交へは真に強くて賢いリーダーが求められる。
中国は全体主義と弾圧が一層激しくなり民主化は遠のく一方だが、ネットでは早く収束して日本へ行きたいと一般人は期待を寄せる。庶民感覚はこれが本音。
多くの人が来日する様になり、物を購入するに至っては日本製品に対する品質やデザインへの高評価や信頼への驚きのコメントが多く出ており、どんな広告より、実際に使った人の口コミが一番強い訴求力になるのは、何時の時代も、何処の国でも同じです。
その中で、車の話題が多く載る様になりました。最近は中国車の品質が向上し、販売台数も伸びてきている様だが、消費者の評価は長く乗っても壊れない日系車に軍配、到底敵わないのが現状。確かに広州で多く見かけたのは日系車です。
またこれまでまともなエンジンは造れなかったが、最近は造れるようになったと喜んでいても、実際に比較するとその技術性能は圧倒的な差があって比べられないとする専門家のクールな見解も見受けます。
その原因を追究するため分解すると、その差はたった1つのネジから見て取れるとの記事がありました。その精密さからして大きな違いがあると気付くし、中国車はエンジンのネジは精密さが欠けているため、エンジン自体の品質に欠け気密性などに差が生じ燃費性能や信頼に差が出るのだと書いてある。しかしこれは一例。他にも素材やピストン、リングなどトルクに関する差も大きい。
世界各国で製造される車の部品には多くの日本製が使われています。この中にベトナムで日本企業が製造している電装品やワイヤハーネス、技術的に高度な日本製アクリル板を加工した部品、座席など世界のトップクラスのメーカーへベトナム製として輸出されているのです。
たかがネジ、されどネジ。ベトナムもネジ、ボルト・ナットを製造するが多くは町工場。暑くて薄暗い建屋の中でガッチャン・ガッチャンと機械を動かしているが、日本製の機械は少なくスピードも遅い。バイクなどの部品も造られるが特別なスペックではありません。新幹線やロケットに絶対不可欠な緩まないネジなど造れる技術は皆無です。
鉄はベトナムでも製造されるが電炉。日本の様な溶鉱炉は無くこれがベトナムの工業化が遅れた原因。特殊鋼に至っては、例えばハイテンション・ボルトに使える様な素材は此処では造れません。
地場で電気製品販売と工事をしていたが、現場でスタッフが機器と配管を接続する前に電工テープに巻いている。これナニ?と聞くと、漏れるからというから恐れ入る。こういう事はしょっちゅうで、例えば湯沸かし器。本体は日本製か日本企業のVN製だが、配管側のネジ切り加工が精緻でなく此処から滲みてくるという。工業規格は無く、日本で経験したことも無いので驚きはしたが、郷に入れば部品がこの程度なのでやむを得ない。外国人だけでなく同国人からも信頼度が低いという他ならないのが実態です。
ベトナムは疾病禍を機に部品供給網を整備して製造強国になる野望。裾野産業の重要さに改めて気付き、これが可能な日本へ働きかけている訳。しかし簡単に手が届くものではない。焦りは禁物、その前にしっかり環境整備が必要です。
日本製品や日本人への信頼は何から来るのか。ネットでは日本人の物づくりに対する態度は真剣そのもの。車の製造は匠の精神が反映されていると指摘する。要は幾ら立派な機械があっても製品は作れない。例えばスクリューは最後に人の微妙な触感で磨きを掛け、新幹線の車両ヘッドは曲げ加工など多岐に渡るが、職人の手と指先、魔法の様に研ぎ澄まされた感性と技でモノになるのです。
信頼の証拠に日本には100年を超える老舗や企業が約3万社ありこれは世界で類を見ない。京都ならば100年はまだヒヨッ子。職人は匠の精神を持ち、微に入り細を穿つ緻密さと端麗な仕事。これが日本の職人文化で、支えるのは伝統の継承と矜持。一子相伝の秘中の技でさえも時流に応じ変化を捉えて変革。
このバランス感覚がなくては老舗の歴史は続きません。
日本の細やかな四季折々の自然、宮中文化が芸術的な美と精緻を追求する職人を育て、質が悪い事は恥とする独特の気概。その精神の極地であるのがミクロ単位の超精密部品やこれを作る工作機械、他にまたとない特殊素材の製造です。
日本企業の多くは巨額の投資をして研究開発を進め、目先の利益に囚われず、人に喜ばれ社会に貢献するという先人の精魂を受け継いでいる筈。全ての産業を発展させ、世界に誇る優良製品を造ってきた日本人の歴史に自信と感謝の念を、この機に持つべきと考えます。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生