バィンミー なぜ食中毒が増えた?

2026年4月15日(水)

日本でもお馴染みになったベトナムのほぼ国民食と言ってもいいバィンミー。
日本のベトナム料理店でも買えるけれど、ほぼどこでも安くても600円から。
実際に現地で注文するときは、バンミー〇〇(後に具の名前が来ます)と、バを強調して言った方が相手に通じる。そうバッファリンの バッ、です。
要するに、フランスパンのサンドイッチで、基本はパテを塗って、大根と人参のなます、キュウリにコリアンダーは定番だが、店に寄っては隠し味も少々。具は沢山あって自分の好きなモノを言えばその場で作ってくれます。
筆者が好きなのはオフィスがあるビルの前に毎朝出している露店のおばちゃんが作るバィンミー。XaXiu(焼き豚)、自家製の塊を目も前でカットして入れてくれる。この他にはベトナムハムも美味しいし、玉子焼きも目の前で焼いてくれます。飲み物は決まってコーヒーとこれも生果実を絞ったオレンジジュース、合計で3万5千VND程だったが、これは特にリーズナブルな値段だったので入居している有名日本企業のスタッフにも人気があった。何と言っても此処が一番美味しいと思っている。
初めて口にした店は1区の有名なニューランのバィンミー。ここはクラシックな1種類しかなかったが僅かに5千VND(当時35円ほど)、今は5万VNDほど(約300円)とか。視察に来られた時はこの店で他の麺類や飲み物など共と昼食にしたけれど、これが結構ローカル食の豊さで喜ばれました。これでビルを建てたのでバカには出来ません。
バィンミーはなんと言っても香ばしい香りがするパリパリの皮が命、フランス植民地が遺した財産のひとつとも云われています。
しかし有名店もドンドンできて大体300~500円ともなっているので高くなったが、筆者は目の前で作ってくれる露店が安くて結構美味しいと思う。

このバィンミーだが、CNNによる世界の25のベストサンドイッチに選ばれ続けているとあります。筆者が1997年に初渡越したときは単なるローカルフードでしかなかったけれど、今では世界各国、ベト僑がいる国から人気が出て何処でも人気がある様です。決して店内でかしこまって頂くものではなく、気軽に事務所で朝食として摂るのもいい、ストリートフードとしても街の風景に溶け込んでいるが、もはや食の文化芸術作品や~。
因みに日本のカツサンドもこの中の一つに選出されているのだが、筆者が初めて口にしたのは高校生の時、伯父が勤務していた大阪のロイヤルホテルのカツサンドだった。世の中にこんなに美味なものがあるのかと驚いたけれど、このベトナムで初めて食した時も同じ感銘を受けたことを記憶しています。

・食中毒発生

昨年の末だが、HCM市でこのバインミーを食べた100人以上が食中毒症状になり、この内61人が入院したと保健当局が発表した。
かつてバリアブンタウ省に属していたけれど、行政改革でフーミー区になったパン店ゴックハーが作ったバインミーを買った客は体調を崩し、5日間で少なくても計102名が集団食中毒に罹ったと現地ニュースが報じました。
市中心部から100キロ以上離れており、6つの医療施設に分散して収容され、症状が重い人は重度の腹痛とか下痢、軽くても熱が出ており、診察した医師は消化器系の食中毒であるとしています。比較的軽い症状の人は自宅で経過観察を受けているというが、現在、全ての患者は安定しており重症や合併症はないと一安心。
当局は食品安全機関と合同で発生源を突き止める調査に入ったとあるが、この検査結果はまだ発表されていない。だがこの店は2店舗を運営しており、一日約800個のバインミーを販売している事実が判明した。だが検査官はこの店が食品安全認証を欠いており、また従業員の食品安全研修や健康チェックを舌という記録もない。明確な材料の出どころや購入に関する書類も無い原材料を使用していると指摘しているが、1週間も続いたこと自体、我々にとって驚くべきことであるけれど、此処数年の間で最も長引いたとしています。
この事件の後、ゴックはーの2店舗は閉鎖されているとも報じています。

実はこの事件の前にもHCM市で別の店が販売したバインミーに関して食中毒事件が11月にも起きており、これは300人以上が食べた後同じ様な症状になっているという。この原因はサルモネラ菌にバインミーが汚染されたからで、200人以上が入院した。
また12月初めには中部クアンガイ省でも同じ細菌に汚染されたバインミーを食べ195人が食中毒とされ、73人が入院している。この中で、最も重症であった患者は腎不全を起し、他の重症患者数名と共にダナン市の大きな病院へ搬送されたとある。
当局はこのバインミーを作ったホンヴァンチェーンの検査を実施。全ての営業が停止されており、オーナーは食品管理と加工のミスを認め謝罪した。しかし材料の調達先が確認できず、食品安全認証も持たない、また衛生と調理基準を満たしていないことが判明した。検査官は調理する設備が汚染を防ぐための原則に従っておらず、汚染源も充分把握できないほど酷い内容だとしている。
またこれまでの最悪のケースは2023年、観光地であるホイアンで、これは屋台で売っていたバインミーを食べた後に発症、外国人を含めて数百人が入院しなければならなかったと報じています。
食中毒に関して食の安全専門家によると、バインミーの販売者は使用するパテ、バター、ピクルスなどの原材料を複数の外部業者から仕入れている。これらの材料は取り扱いが悪ければ簡単に腐敗してしまうとある。
また保健当局は、サルモネラ菌は一般的な食中毒の原因であり、これは不適切に扱われた食品や汚染された手とか調理器具を通して拡がるので、小まめに手を洗ったり、調理器具を消毒したりすることが食中毒を防ぐ第一歩であるため注意する様に警告を出しています。
しかし、筆者はこれまで全くこの様な話を聞かなかったし、例え露店の屋台であっても聞いたことが無かったので、何故いまになって続くのか、不思議です。
保健当局によると、この食中毒のケースでは、同じ食事をした後に家族全員が罹患したことがあるので注意するべきとしたが、具材を除けたりした子供には罹患の症状は見られなかったとしています。このことは、つまりは豚肉、牛肉、パテなどが入ったバインミーが病気と関連しているとしている。
保健省食品安全局は、地方の保険当局に対して原材料の供給網の追跡。飲食店など施設の検査強化、特に学校や共同で使用するキッチンでの食品安全の監督を強化するように指示を出しているとあります。
今回の食中毒を起こしたベーカリーに共通することは、食品安全の認証を採っていないこと、材料の調達先が明確でなく記録もない、サルモネラ菌が原因とする食中毒への取り組みが、オーナーや従業員には全くと言っていいほど出来ていなかったという意識の問題があげられます。

ベトナムでこの様な事件を起こすともう立ち上がれないほど当局の措置は厳しくて、日本の様に営業停止が3日とか、精々1週間、ホトボリが覚めればいいなんて甘いものではありません。特に南部は年中と言って良い位、湿度が高くて気温も高いので、充分過ぎるまでの注意が必要です。
さらに日本から進出したある日本食レストランだが、これはケースが違うが、従業員の不始末で火災を起こした。この際当局が指示したのは多額の賠償金支払いなのです。下手をすれば支払いが完了するまで帰国できません。

因みに筆者が在住時に良く利用したベーカリー。ドゥックファット、ABCが安くて美味しかった。ハイバーチュン通りのパタシューは、フランス人が弟子のベトナム人に作り方を教えたので特に美味しかった。この店の巻きデニシュ、レザンは逸品だし、ミルフィーユは2000年前後、僅か1万VND(当時のレートで約80円)、レストランのデザートにも使用された。ドゥックファット、ABCもスポンジは柔らかくて美味。冷蔵庫が普及してからは生クリームを使ったので急速にHCM市のケーキは格段に品質が良くなりました。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生