・過剰包装とレジ袋は悪者扱いに
歳暮の時節、百貨店から毎年分厚いゴミ同然のカタログが送られてきますが、同封されているのは昨年送った方の住所・氏名、商品が印字してある注文票。毎年恒例の中元・歳暮が始まる2か月以上も前に届けられ、早期に申し込みをすれば商品によって割引を受けられる囲い込み戦略です。
恒例とは言いつつも虚礼のような贈り物は避けたい。だが互いの無事を喜び合う手立てのひとつかも。ならばカタログにないとか現地にはない京阪の珍しい品を送り喜んで貰いたい。反対に地方に居た時の銘品を頂戴するのは懐かしくも若き過ぎ去りし日の想い出に浸ってしまい感無量です。
お世話になったあの人に、とこの季節になると以前CFに流れた言葉が思い出されます。京都ではこうした盆暮れのお届けもの文化は個人間が中心、東京は儀礼的で会社や法人が幅を利かしているという慣習に触れた本がありました。
両方に住んだことがある自分としては、そうなのかと思うけれど、これは老舗百貨店のオーナーが述べられたもので、そういう傾向はあるかも知れません。
学生時代に夏冬はもちろん、事あるごとに呼ばれて深夜まで接客販売した経験があって包装には自信あり。で、目の前で店員さんが包むのを見ると、代ってやりたい気分になる程下手な人が多い。
この時分は百貨店かメーカーの包装紙に丁寧に包み、配達する人が持ちやすいようにヒモまで掛け、一日に1千個も手分けして作業をしたものです。如何に綺麗に仕上げるかはアルバイトでも使命感を持った位。これも上手下手があり先輩から後輩へと引き継がれました。
持ち帰りの場合は二重包装か紙袋。有名百貨店のロゴが入れば同じ品でも××デパートの御持たせとして悦にいる人が居たというのが形式を重視する関東。
馬鹿げた無駄の骨頂で中身が問題と実利の関西。だがここ何年かは簡易包装で伝票を貼っただけが主流。でも伝票控えを紙袋に入れる無駄はナゼでしょう。
HCM市の高島屋にあるユーハイム。バウムクーヘンを土産にした際は紙袋に入れてくれる。手造り高級洋菓子を食べたことが無い人は多くステイタス。
何時しかレジ袋が多くなったが今ではこれが悪者扱い。有料化から半年経つが、バイオレジ袋に替えて無料で配布を続けるスーパーもあるが、殆どは金を取る。
おまけに何と紙袋まで便乗で有料化が始まった。菓子舗でも今まで通りの所と、廃止した所もある。であればその分なにか還元は?というと、それはしない。
資源ごみを減らすのが目的であれば、無駄な額縁や上げ底の紙箱やプラケースを使ってはいけない。大きい事は良いことだは本末転倒でありメーカーや小売業界は全ての無駄に繋がる過剰な包装資材を率先垂範して排除すべきです。
・本来すべきことをすり替えてはイケナイ
レジ袋の基本廃止で関心と意識が高まり92%の人がその通りと回答したとか。きっかけになったのは良いとして、しかし日本のプラゴミ量は年間一人当たり32キロと世界2位。これを知っている人は20%だし、いま問題となっているマイクロ・プラスチックゴミは30%程しか認識がないと言います。その原因に当人が関わっていると考える人はそれほど多くないのが現状で他人事。
数十年前は自然素材を使っていたが、安くて便利さには勝てずプラスチックが台頭。しかし意識の変化で過剰包装に罪悪感を覚える人も増えてきて、環境に与える悪影響が判明。礼儀に欠けないのであれば、自身に出来ることは何かと思えば簡素にすべきという見解が増えているのは真っ当な流れ。
問題はむしろ企業側にあり、プラゴミから始まったレジ袋廃止や、簡易包装は単なるポーズにしか過ぎないという事実も浮かび上がります。
しかし企業は擂り替えが上手い。目標を設定し如何にも会社は努力していますとのパフォーマンス。消費者のマイバック持参を奨励とかでごまかしているのが実態。即ちプラスチック製品は地球環境に優しくなく、温暖化と海洋汚染に繋がると主張。これに善意の消費者がコロッと賛同してしまう。しかし浮いた利益分を還元するなど聞いた試しはありません。
ユニクロでさえ有料化。使い捨てプラスチックを20年度は18年度実績比で85%減とする方針とか。ついでに紙袋も環境配慮とか都合の良い表現。
真に受けてはいけない。環境保全からすれば使わないに越した事はない。だがリサイクル率が比較的高い日本では実効性は低い。即ち生活利便化に並行して起きるゴミの排出量を減少させるのが根本と捉えるべき。であれば国が主導し方策を練る。自治体が積極的に市民へ啓蒙なり努力するのが当然で、京都市は10年で半減していると広報誌に掲載してあった位です。
輸送途上の問題とかあるが、ショックアブソーバーはヨーロッパ企業では紙の圧縮材で対応しているなど、日本人の知恵で幾らでも解決できるはず。
使い廻しが危険である医療品などは別として、使い捨てに慣れ切った日本人。モノを持ちすぎ、不用品を売るメルカリなどが登場する。買い取り衣料品など45Lの袋で30円程だが、これを海外で売るほど日本の中古衣料品は綺麗。ベトナムでのボランティア。寄贈で喜ばれる衣料は丁寧に着て大きな汚れなどが無いからだし、お下がりはせず一シーズンだけ使用で袖を通す事も多くない。美しいチョコレート缶等は子供には宝物。大切な物を入れてくれるので嬉しい。プラスチック製品の使用度は高いが、この所は社会や人の意識が変化してきており、不要になったプラスチックや紙などは家まで回収に来てリサイクルに。
いまだに小銭を置いてゆきます。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生