チン首相の日本訪問と 習近平のベトナム訪問

2024年2月1日(木)

今年は日本・ベトナム外交関係樹立50周年の節目の年とあって、11月には両国関係は包括的な戦略パートナーシップに格上げしているとある。
チン首相の訪日記事にあっては、ベトナムにとって日本は最も重要である経済パートナーとの位置付けをしており、ODA供与国として世界1位、労働協力で2位、投資分野で3位、貿易は4位となっていると現地報は持ち上げている。
またチン首相は12月15日から3日間、日本とアセアンの会議を始めとした様々な活動を精力的にこなし、実務レベルでの成果を得たと評価していました。

チン首相の来日で、日本側はベトナムの工業化や近代化、独立した自主経済の構築、国際社会への幅広い参入を指示するとしています。日本とベトナムは、日本が設立したゼロミッション共同体を通じて、エネルギー改革とCO2排出削減について「協力」するとしている。
日本が支援しているギソン精油プロジェクトなど、現在進行中の経済案件については進捗を推進し効率化を高めるため、両国政府は共同ワーキンググループを設立する予定としている。また農産物に関しては、ベトナム産ザボン、日本産のブドウの市場開放に向け検閲手続きを促進することに合意しています。
さらに両国首脳は、相互に関心のある周辺地域並びに、世界的な問題について緊密に連携し、周辺地域と世界平和、安定、発展の維持に積極的に貢献することを再確認した。また両国は多国間フォーラム、国際機関、地域機関で互いに支援していると報じました。
これはほぼ枕詞であり殆ど意味を成さない修飾語的センテンス。習近平訪越での共同文書にもほぼ同じような文言が掲げられており、単に空虚さを感じるだけで、実務レベルでどれだけ多く実行されるかが本来は重要。だが少なくともチン首相の訪日の成果は具体性があって、納得出来得るものなのです。

さらに両首脳は具体的事案としてHCM市都市鉄道建設事業であるベンタイン~スイティエン間に対しても4回目の円借款の実施、人材育成プロジェクト、病院への設備提供案件などを含めた、423億円の日本政府に拠るODA協力文書に調印したとしています。
こうした状況を自民党の片山さつき議員は、日本とベトナムが協力して未来を想像する、というチン首相のメッセージを高く評価し、アセアン諸国のなかで、成長の可能性と人材の豊富さを持つベトナムは多くの企業が選んだ重要なパートナーであるとの見解を示した。さらに各経済界の企業代表者のベトナムへの礼賛コメントも併せて報ずるが、どれだけ金を引きだしたかが評価の度合い。

習近平の訪越 ウワサの真相とは

一方でベトナムの関係筋が報じるのは、一部では政治的な意味合いへの内容が強く含まれており、実務的なレベルには極めて乏しいものがあります。
だが国民は従順ではなく、もはやチョン書記長の心の内などとっくにお見通し。
訪越には習近平主席がベトナム政府でなく、実は思想的に近くて、ドイモイを嫌っているとされるチョン書記長から直接の訪問要請であるとの話もある。
噂の真相では元の社会主義路線に戻りたいと考えているというが、真底は分からない。即ち絶対権力者への道、と言うけれど、現実を見ればあり得ない話であり、極一部の周りの人物が郷愁を抱いているだけと冷ややかであるという。
実体として資本主義的経済社会にも組み込まれ、すでに足は抜けないのが現状。今まで以上の成果と豊かさを希求しているのは、国民も政治を担う人も誰しも同じ考えで、いまさら以って貧しさを分かち合うなんてアホらしくて御免蒙る。個人的思想に拠る都合などどうでもよく、海外に出る人が多くなった結果でもあるけれど、豊かさを肌で感じて来て世界の先進国の一員になりたい、というのが素直な気持ち。一旦手にした富を国にとられるなんてとんでもない事です。
となれば、問題はホー・チミンさんを否定することに繋がる訳で、流石にそこまで本音を言える人など居ない。こうなると体制批判に繋がるのでこれは絶対に出来ないけれど、このまま偶像化してしまうのか、分岐点がみえるといえる。
このためチョン書記長は汚職壊滅を政治的主張としているけれど、これは全く通じるものでは無く、浮いた存在に等しい。そこでわざわざ敬愛する習主席をハノイに呼んでまで背後霊を演出したとも言えなくない。だけどももはや見る影は薄くなり、国内の重要会議をほっぽり出して逃げてきたというのがもっぱらの噂が拡大。こうした批判は秘密警察が徹底的に削除し押さえ逮捕されるので表に出来ないが、国内経済や社会はもはや風前の灯となるか暗闇の中国。
またバイデン訪越も習近平にとって不愉快な事項で怒り心頭が真実。アメリカは中国封じ込める作戦に出て、ベトナムをインド、日本や韓国と同様に陣営に引き入れたい。そのため様々な経済支援という大切なお土産をたっぷりと用意してきた訳で、ベトナム側もここぞとばかりオネダリに与ったのは、損得勘定を両天秤に掛けるのがシタタカベトナムの得意技であって、これを分かっていながらも、敢えての訪問にこそバイデンの狙いと意味があるのです。
ところがこうした状況をチョン書記長は何とかなだめたいと、個人的で恣意的な意向が強く出ていることが伺える。温厚そうな顔の裏には隠しがたい陰湿さが漂っているが、自国民にとって習訪越が正解なのかなど一切関係ない。
習近平もこの場に於いて、かつての朝貢とまでは行かないがチョン政権の権力を維持するには訪越が必要だし、万一維持できなければ失態に繋がり兼ねず、ベトナムを手中に置きたいという痛い所を突かれています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生