ベトナム日系工場建設奮闘記 ~ナカノアパレルベトナムNghe An 工場~【第25回 内装工事について】毎週更新

2022年10月26日(水)

DELTA ARCHI TECTS VIETNAM CO.,LTD.
代表取締役社長 三角照夫

 屋根と壁を同時に施工するのと同時に屋根、壁が出来上がった箇所から内装工事が始まった。工場内の間仕切り壁のほとんどはブリック壁(レンガ)を使用するになっているのだが、材料および人件費が安いためベトナムではブリック壁を使用する場合が多いのだ。その一方でブリック壁は画鋲が刺さらないので気軽にポスターや写真を壁に飾る場合や額入りの絵などを壁に飾りたい場合は、ブリック壁にドリルで穴を明けて“カールプラグ”というネジを閉めていくと中でプラスティック製のものや鉛製のものが開いてネジがきつく締まり強く固定できるものを使用しなければならない。しかしレンガ自体がもろいものなので使っているうちに穴が大きくなってきてネジがグラグラしてくるのだ、、
 また今回は部分的に軽量鉄骨を下地に石膏ボードを貼り付けて間仕切っていく箇所もある。石膏ボードの場合、比較的自由なレイアウトで間仕切りを作ることが可能で、また防火区画の場所でも石膏ボードを使用することは可能なのだが、石膏ボードを2枚貼り付けなければならなかったりするので、コストが高くなってしまうからロールゼネコンはブリック壁を好んで使用するのだと考える。ブリック壁の場合、電気の配線や給水、排水のパイプなどを配置する場合、レンガをパイプが通る大きさに溝を作ったり(ハツリ)パイプの径の大きさの穴を明けたりしなければならない。石膏ボードの壁の場合はボードの下地に使用する軽量鉄骨の巾が60mmや75mmあるので、その中を通して拝観することが可能なのだ。
 階段についてもコンクリートで滑り台のように斜めの部分だけをコンクリートで作り、階段の段の部分はレンガで作る。と言った具合。階段の踏面と蹴上の部分の型枠を作る技術が無いことはないと思うのだが、レンガで作るほうが安価で安易なのだろう。階段の仕上げ(石を貼るのか、貼らないのか?)など考慮した図面を作成せずに現場合わせで作るため、ベトナムのアパートやマンション、オフィスの非常階段などは必ずと言っていいほど階段の1段目と踊り場があれば踊り場の部分などの段の高さ(蹴上寸法)が途中の階段の蹴上より少し低くなっていたり、高くなっていたりしている。非常階段の場合など、みなが慌てて逃げる時に必ず踏み外したり、つまずいたりしていまい、非常に危険だということを彼らローカルゼネコン達は理解しているのだろうか?人間の感覚はミリ単位の違いも感じ取ってしまうくらい敏感なのだ。
 ぜひベトナムにお住まいのみなさんはご自身の住んでいる建物の階段をチェックしてみて欲しいと思う。そして、この工場へ来られた時はこの工場の階段を見て欲しい。ここの階段は、そういう風にはならないように設計監理、施工管理している。

次回予告: ドア・窓

他の建物の階段失敗例(失敗を失敗と思っていないところが怖い)