ベトナム日系工場建設奮闘記 ~ナカノアパレルベトナムNghe An 工場~【第24回 屋根・外壁工事開始】毎週更新

2022年10月19日(水)

DELTA ARCHI TECTS VIETNAM CO.,LTD.
代表取締役社長 三角照夫

 上棟式を無事終えて、いよいよ屋根・外壁工事が始まる。
屋根の材料には折板を使用、内断熱として折半に内部から断熱材を貼り付ける。折板の場合、雨が降るとバラバラバラ!と雨の音が鳴るので、断熱材を貼ることで雨音も少しは軽減できる。
 またこの工場はサスティナブルな工場を目指しており、折板の屋根の上にソーラパネルを設置し、工場内で使用する電気をソーラー発電でカバーし、さらにアイロンなどで使用するスチームをボイラーで木質ペレットを燃やし生成させる。木質ペレットは石炭や重油より燃焼効率が良く、排出する煙も少なく、燃焼後の灰もほとんど発生しないので環境にやさしい縫製工場を目指すことができる。
 外壁にはアルミの薄いパネルで両側からウレタン材を挟んだサンドウィッチパネルを使用する。厚さ75mmのパネルをスチール角材の下地に取り付けていく、といった工事だ。表裏ともアルミパネルになっているので、内部の仕上げはそのまま仕上げとして見せることが可能なので工期を短縮できる便利な建築仕上げ材料だ。
 工事について日本は非常に安全に厳しいため高所での作業の場合、ちゃんと足場を組んでから作業を行わなければならないのだが、ベトナムでローカルゼネコンが高所作業を行う場合は足場を組むのではなく、例えば屋根を支える鉄骨から天井、または今回の縫製工場の場合にはアイロンなどのコンセント、作業用の照明などを吊るすための吊りボルトを取り付ける際はもちろん、塗装する場合も高所用作業車を使用していた。これはもちろん工場全体に足場を組むよりも費用が安く済むためだが、その代わりに安全な作業とは言えない。ローカルゼネコンの工事見積りが日系ゼネコンよりも高額になる理由はこういうところも影響しているといえるだろう。
 また、ベトナムでは地震がないという前提で建築基準法が制定されているため、吊りボルトの長さが非常に長くても筋交いをいれたりブレースを入れたりはしない。日本で地震が起こった時には吊りボルトが外れて天井が崩れ落ちている場面を見かけるが、その都度日本の建築基準法は改正されて天井が落ちないような設計がなされている。

次回予告: 内装工事について

吊りボルトが非常に長い!