中国メディアのネットで、ベトナムのバイク市場では中国メーカーが割り込めないとし、この理由を紹介する掲載がありました。
自動車にバイクも日本製ばかり。「品質が良く、価格が安い」筈の中国製が何故売れない?と提起。現地でバイクを販売する同胞に聞くと、ベトナム人は日本製ブランドに慣れ親しんでいるので、中国製に切り替える人などいない、とのコメントを紹介しています。だが明らかに間違い、話には付き合えない。
また中国で製造された電動バイクは2017年度に3700万台であったが、中国国内では排気バスなどの問題で電動バイクしか通行を許可されない地域が多くなり、このため競争が激化し品質価格面でも消費者の支持を得ているハズ。何故評価されないかと恨み節。これもエンジン音が静かで、ガソリンエンジンで動くバイクの音に慣れ親しんだ結果、ベトナムでは売れない一因だと釈明。
無理やり理屈をこじつけているだけのこと。
自画自賛と責任転嫁ともいえる都合のいい解釈とコメントに、この分析は果たして正しいの?とSEARCHINAニュースは締めくくっています。
しかし現地の実態を知らない記者でも、優秀とされる中国製バイクがベトナムで走っていないことを疑問に思うのはどうしてなのでしょう。
現在ベトナムでは4500万台以上のバイクが稼働していると言いますから、ほぼ飽和状態。実に国民のほぼ半数が所有している勘定。HCM市でも700万台以上と在るといわれますが、地方の学生や経済発展に伴って他省から仕事を求めて転入者が持ってきたナンバーも多く、実数はかなり上回ると言えます。
政府はこれを抑制しようとしても効果はなく、むしろ増加傾向のため手の施しようがない。かつて宝物の中古バイク一台に家族数人が乗るということは流石に少なくなったし、高校生まで乗るものだから増えるのは当然です。このため朝夕のラッシュ時は信号待ちが2~3回と言う事態に。
何故ベトナム人はバイクを好むのか。これは都市交通網が整備されていなく、交通インフラも遅れている。朝は早くからバスは動くが、夜は早くに終了する。時刻表は無くいつ来るのかも分らず不便。一般的に街中でも郊外でも道路が狭く入り組んでいる。まして地方では移動に運搬手段はバイクが一番手軽で便利、不可欠な存在なのです。未だに紹介されるのが街中の路上で埋め尽くされるとんでもないバイクの洪水。この殆どが日本製。他にイタリア製はマニアに人気だが、台湾の山陽は見かけなくなり、旧ソ連製ミンスクなんて大型もあったが完全に姿を消し、日本の独断場に近いのです。
日本製がなぜ人気かと言えば、品質の良さ、アフターサービスが丁寧で充実。
コストパフォーマンスが良い。修理が必要になっても部品が直ぐに手に入り、ほぼ何処でも修理可能という訳です。販売店は地場だが、研修はメーカーが行うため技術的に標準化され保証も充分。と何れの企業もブランドの信頼を得ています。
中国製が不人気の理由は、2001年頃に中国製バイクが急速に販売を増やした時期があったことが発端。売らんがため当時500ドル程度のビックリ価格。それまで中古でさえ買えなかった人までが飛びついたのです。
ホンダ・カブ50でさえ資産で1000ドルもした訳ですから、買わない理由は無い、ハズ。しかしここには落とし穴。安かろう、悪かろう。新車を買ってルンルン気分で遠出したけれど、途中でエンジンが焼けて動かない。メーターの針が最初から微動だにしない。ライトが切れてしまった、など実際に同僚が経験したこと。かくして問題だらけで危険であった。さらには排気ガス問題で中国製バイクは信頼を無くし、僅か一年でブームが消え去り、爾後全く見かけなくなりました。て
電動バイクも安さに釣られ通学用に買ったけれど、電池が直ぐにアウト。保障のなかった不親切に怒り、恨み辛みを根に持って二度と中国製を買いません。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生