心身リフレッシュ

2019年10月3日(木)

在住が長くなるほど疲弊は酷くて辛い。異国の地で家族帯同ならばまだしも、独身者は人間関係の葛藤で辛酸を舐め、食もままならず夜に繰り出すのが精々のストレス発散。職場や世俗から離れて潤滑油をチャージしたいと考えます。
昔は通信手段が限られ適当に誤魔化すことは可能だったが、今は絶対に無理。折角の休みにはスマホを切って知らない街をぶらつくとか、長期休暇に陸路で隣国へ行くのも気分転換。遊び心が無くなれば心身疲労は極限に達して何時かメルトダウンします。
毎年JICAから医療団が来て無料診察をしてくれますが、一番多いのが精神的心労。人の少ない中小企業に多いそうです。ストレス解消の方法は各人様々だが、弦楽器も使わないときには弦を外さないと切れてしまう。
ベトナムは豪華な高級リゾートホテルばかり建設。日本人が言うオモテナシ度に演出度も高くなって何でも揃う。こういう所が大好きな人も多いが、しかし日本の旅館とは全く趣旨が異なります。
勘違いするのがこのオモテナシ。京都の老舗旅館炭屋の元主人の話では旅館のサービスには3つある。①しなければならないサービス ②してもしなくてもいいサービス ③してはいけないサービス。だが今は過剰サービスが当り前。客の期待度には差があるが、気遣いは本質が全く異なりプロの仕事ではない。
外国人が魅了する日本旅館には歴史と精神文化が宿り、充実感がある様です。
椰子の葉陰にキラキラ光る一番星を眺めるのは良いもの。かつてデコボコ地道、鄙びた漁村の面影を残していたムイネ。HCM市から約200キロ、比較的近いため大小の宿泊施設が道の両側に並ぶ大リゾート地域に変貌。此処の隠れ家は僅か7コテージしかないTHUYTHUYリゾート。緑の広い敷地にプールがあり、ロングチェアーでドリンクしながら邪魔されない至福の時空を過ごすには最適。何もしない自由で気侭な逗留は病みつきに。こうした余暇の取り方、日本人は実に不得手で次から次へと急ぐ旅烏です。
女性オーナーの目が行き届き、でも適度な距離感を保ちつつ余計なサービスを省いたさりげない気配りというのは本当に贅沢な時間を過ごせると感じます。
ベンチェ省。ボートで渡る表メコン河の真中にある離れ小島の一軒家。果樹に囲まれ採り放題の嬉しい気分。ハンモックにのんびり揺られつつ、夕餉の煙が漂ってきてほのかな気分にさせてくれます。変哲も無い素朴な家庭料理に舌鼓。ガス・電気、回線電話もない、シャワーの栓をひねれば茶っぽい泥まじりの水。
ご近所宅を訪ずればお茶とお菓子で熱烈歓迎。玄関の正面にはどの家でも大きな仏壇と長い線香。しばし緩やかな時が流れここが異国なのを忘れて安堵感。「どこから来た?HCM!なら、うちの娘を雇ってくれまいか」と茶飲み話。大都会への憧れと、万に一つの儚い夢を描くのは何処でも同じ。
満天の星空を天蓋に、闇夜というのはこんな感動の空間だったのか。手漕ぎの小舟で往けば川面に生える草木の間には蛍チラチラ。この様な一夏の体験は、都会生活の便利さに生存本能と免疫因子を逸失、人間の集団・組織と孤独の間に身を置く日本人にどう映るのか?
世界一の胡椒とヌックマムが特産のフーコック島。丸ごとリゾート化が進みつつあります。数年前まで週3便の小型プロペラ便しかなかったココナツ愛欄土。国際空港が完成、大手業者も続々参入。が資金がないから続かない。オーナーは日本資本と一緒に開発したい意向。紹介してよ!だが、開発事業経験のないド素人の甘い見通しでの青写真。辛いコショーの島なのに。
海浜リゾートホテルとは名ばかりのマンゴーベイ。人里離れ手つかずの敷地に牛が草を噛み、誰もいない渚に通り過ぎる風が心地よくワイルド。絶海の孤島に見間違うほど自然がそのまんま。赤いテラロッサの土埃を上げ、胡椒畑を縫って走るバイクタクシーが移動手段。
他にも様々にありますから楽しんで下さい。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生