飲んだら乗るな 飲むなら乗るな

2020年11月14日(土)

今年に入ってから新型肺炎の影響なのか、飲食店が営業を自粛した為なのか、1~9月の交通事故件数が14%、死傷者数は21%減少したとの報道です。またこれまで年間1万人を悠に超える死者が続いたけれどこの所は減少傾向。
全国で発生した全ての交通事故件数は前年同期比18,31%(2321件)減の10,345件、死亡者は13,84%(783人)減の4876人、負傷者は20,9%(2010人)減の7609人で、いずれも前年同期に比べて大幅に減少したと言いますから、ともあれ結構な事。これには日本では考えられない鉄道や水路に海上での事故が含まれるが、接触事故は別途に統計され含まれないため、単純比較は難しいけれど未だ如何に多いか分ります。
政府は1月に飲酒運転に対して厳しい罰則規定を適用。通勤手段であるバイクの罰金最高額を従来の2倍800万ドン(3万6千円)に引き上げ、免許停止は最長2年間に及ぶというわけですから、かなり痛い。それでなくても下手をして逆らえばバイクを取り上げるのが交通警察のやり方。道路脇にトラックが待機しており山積みのバイクを見ます。この所、袖の下も難しそう。
車やバイクが経済成長に伴い、また道路インフラがドンドン整備されて走りやすくなったせいなのか、はたまた運転マナーがこれまでトンデモナク酷いものだったため年々交通事故が増加していました。
ともかく運転は荒く確認をしない等々。私も出会い頭にぶつかったとか、車に接触されたなどの経験がありますが大事に至らなかったのは幸いでした。
だが事故はふとした事で起きるし、また注意をしていても相手から巻き添えを食う貰い事故は古今東西変わらない。
事故場面に遭遇することは頻繁にあり、見るのも嫌なのは何処でも同じですが、何しろ物見高い国民。大事故ともなればヒマなのか人だかり。まして死亡事故となれば怖いもの見たさの心理なのか、道路に置かれたままの筵を眺めている。
此処では日本の様に直に救急車が来て病院へ運んでくれない。また現場検証さえもされていない状況で筵を掛けられたままで放置されているのです。まるで江戸時代?なんて。急速に社会が発展しているにも関わらず、余りにもひどい有様です。まあ現地にしてみればこれが普通、なのでしょうが、でも筵の隙間から血が流れている。こんな無残な光景を何度か目にしました。
テレビでは何度も交通事故のニュースが取り上げられ、国道では検問も頻繁に行っていて、交通違反の取り締まりは決してやっていないのではないけれど、
乗る方の意識、マナーがまだまだ。そのうえ交通警察官でさえ平気で逆走するなど勝手し放題、世間の目を気にしないのではどうしようもありません。
取り分け飲酒運転は何処でも危険であるけれど、バイクでの通勤が一般的な国。
寄り道も多いし、断らないし、断れない。断れば済む話だが、確信犯が多い。
主要道路には赤い横断幕が掛けてあり「飲んだら飲むな」「安全な帰宅は家族の幸せ」なんてスローガンがあり流石にプロパガンダの国。だが見るのも危険。

・飲酒強要は罪になる

11月に施行された法律では、他者に飲酒を強要・扇動する。勤務・学習時間中や休憩時間中の飲酒。18歳未満者の飲酒。8歳未満の者に酒類・ビールを販売・提供する。などの行為に対する処分が新たに盛り込まれました。
ちょっと見れば変かな!とも思えるが、この国ならでは。子供に売ってはダメなんて、まさか飲む訳はないが、日本でも昭和父親父は使いに行かせました。
もし法律に違反すれば30~500万の罰金とあるが、中でも組織・機関などの長が飲酒禁止を徹底させなかったら500万VNDの罰金とは、これ公務員の事を言って戒めているのです。もう昼間からやっているのですから、お相伴に与ったけれど、綱紀の緩みの是正は当然ですが、今さらと言えなくない。

・ワリを飲んだ(食った)のがビール会社

皆さんよくご存じの333。日本のベト飯屋でも飲めます。もっとも現地で買うよりも10倍はする。店に在ればですが、美味しいのはサイゴン・ダック・ヴィエット(特別)。という緑の瓶入りが旨いのでお勧めします。
多くのベトナム人は地元のビア・ホイで2Lのピッチに入ったBIAを氷の入ったグラスに注いで、モッ・ハイ・バーと乾杯する。傍らにはビール会社の若かくて、スカートが短いおねえさんに薦められる。もちろん彼女たちは歩合、売れれば売れるほど儲けは多い。だが馴染みの別銘柄を注文しても嫌な顔はしないのがエライ。気は心、こうなると飲んであげないと可哀そうという気持ちに誰もがなります。勿論これが彼女の戦略なのだが、若い学生アルバイトと話が弾めば誰だって嬉しい。外国人には英語などで接すればなおさらのことで、勉強になります!なんて言われるともう天国への階段を上る感じ。ましてこれが日本語でなら、駐在のおじさんはもうデレデレ。かくしてカワイ子ちゃんを、お目当てに日参する羽目になってしまうのが異国での儚くも淡い恋の物語。
ベトナム最大のビール会社、全国40%を占めるサイゴンビール(サベコ)は、飲酒運転の罰則強化で業績に影響。販売縮小のために20%縮小したとある。東南アジア最大のビール消費国ベトナム。この結果、これまで順調に伸びていた消費量が23%減少したのです。これには元々国営だったサベコの株式の半分を邦貨換算5500億円で買ったタイの会社は泣きっ面。株価もこれが原因で下落。しこたま飲んで酔っ払いたい気持ち。因みに今年には政府保有株を全て売却する方針で完全民営化する予定とか。さらに蜂の一刺しが待っている。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生