ベトナムのニュースから。ハノイ市でかつて賑わった紅川沿いのさるエリア。ここは1990年初頭に犬肉レストランが開業し、最盛期は50店に早朝から客が詰め掛け深夜まで流行った所だと知られ、一日に必要な数は100~150匹にもなったとあります。だが今は寂しくなり1軒を残すのみに。
この原因。都市化が急速に進み人口も増加、土地の価格が上がったことが一因。ちゃっかり売却して楽々生活に変えたというから現金なもの。さらに追い打ちが掛ったのが重労働と精神的にキツイ仕事。
何処で調べたか分らないが、市内には加工所が最大で1013カ所?あったが小規模で衛生状態は良くなく、法律が無いため指導管理はできない状況でした。
市は動物愛護意識の高まりと、在住外国人の反感が強く、首都として観光客へのイメージが損なわれる、食品としては衛生上良くない。として市民に犬肉を食材として使わないよう呼び掛け、市内の関連行政機関には犬猫の肥育解体の取り締まり強化を通達。また今年中には全面禁止を目指すとしています。
市場では鶏が編んだ竹籠の中に入れられて売られており、そのまま客は買って帰り家で処理します。かつて日本でも近郊農家で飼っている鶏をつぶして夕食にというのはごく普通の光景であったし、ベトナムでは友人の実家では先ほど庭で啄んでいた鶏が大皿に盛られているので、ことさら生きた動物を家で処理して食するのは、魚と同じで特別なものではないと言えなくありません。
また先ごろ盗難事件で有名になった子豚。結婚式など祝いの席で出されるのがこれの丸焼。と言っても良く行ったレストランの入口で腹を裂き、炭火でじっくり焼いていて匂いが香ばしい。何時も買う店のバィンミー。Heo Quayといえば皮がパリパリの肉を入れてくれるが大層美味。さらに夏でも食べる山羊鍋も安くて旨い。だが流石にワンニャンを口にする勇気はありませんでした。
・他国では犯罪だと承知していても やっちゃった
日本へ来た実習生が山羊や豚を自分で解体し仲間内で食べるとかネットで売る。違法行為であるが彼らにとっては実家でやっていた普段の延長、お手のもの。COVID-19禍で解雇など気の毒な面はあるにしろ、彼らの多くは地方の農家出身者が多く取分け難しい作業ではありません。多くの同胞への迷惑とは考えない。
また台湾へ行った実習生。現地の報道では犬を殺してその肉を調理。12人の同胞に振舞ったとして実行犯2名が逮捕され、罰金72万円と禁固刑を課された厳しい処分を受けたとあります。一緒に食べた12人には罰金18万円だが、他の犯行者は逃亡中で捕まっていません。
情けなくも信じ難い事だし、また幾ら何でもと思うが、従業員寮で飼っていた犬が犠牲。言語道断だと動物愛護法違反と厳格に裁決されたのです。
だが彼らは渡航前に、台湾では犬を食べてはいけないと派遣元から厳しく聞かされていると供述したが、背に腹は代えられないのが犬肉食文化を持つ人の性(さが)。しかし文化は国や地域によって大きく異なりますから、彼らの文化を尊重するという次元ではなく、派遣先の文化や習慣、法律を守ることが当然と弁えるべき。こういう所に自分勝手で我儘、精神性の脆弱が露呈するのです。
実はベトナムでも一般家庭で飼われている犬が盗まれる被害は可成りあって、友人知人宅でも夜中に大型犬でさえ忽然と消えてしまう、ものの見事な手口。
またHCM市内でも、以前のことだが4区の下町の川沿いの道筋。此処で犬の首を数人が絞めているのを見て驚愕したことがある。キャンキャンと断末魔。
空港に近いフーニュアン区。このある通りには茹でた白い犬肉を店頭に吊り下げて売っている店が数軒並んでいる。元々南部の人は好まないが、北から来た人が好んで買い求めているようで、殆どは年配の客だと聞きます。
・各国での実態 だがどんどん消滅している
犬食文化はアジアが中心。中国が一位で2千万匹、ベトナムは二位・5百万匹、韓国三位・3百万匹。という記事を数年前に見たことがあります。真偽のほどはともかく、これ等は主にカンボジアやラオス、タイで捕獲されて送られるとアジア犬保護連盟が指摘し、食用としての売買禁止を訴えていると言います。
かつては犬食を文化や伝統として主張してきたが、もうそれが若者中心に通用しなくなった時代となりました。
古来、犬は人間と共に生活した最初の動物で狩りに同道、集落を外敵から守って来ました。日本では江戸時代、間宮林蔵が蝦夷地や樺太の測量に揺彦と名付けた犬をアイヌから譲られ、初めて極北に連れて行きました。極寒の吹雪の中で救われた協力者もいるが、しかしもう一つ別の目的にはいざ食料が尽きると食べるつもりだったとあります。
第一次南極越冬隊では隊長の西堀栄三郎は19頭の樺太犬を北海道で調達して連れて行き、雪上車はあっても故障が続き、燃料や犬の食料も陸揚げ時に流されて予定の半分しか無い状態なので大きな貢献をしている。機械は油が無ければ動かない。だが犬はアザラシを現地調達、これで食料は問題ありません。
今では日本犬は賢くて大人しく忠実、世界中で最も人気があります。
こういう人間との近しい歴史的関係や貢献度、感情もあることからみても犬は食の伝統文化より大切な存在ゆえに保護すべき、ということになるのでしょう。
アジア諸国で年間約3000万匹が食用のため屠られているようですが、昨年5月に中国・深圳市は犬と猫の肉の販売と消費を禁止すると発表しています。
しかし、韓国では一昨年現地報で犬肉牧場が15000カ所あり、250万匹が飼育されているとされ、しかも日本へは20トンの輸出実績があると言うがこの事実はなかなか分らないが一体誰が喰うのか。
昨年11月に韓国から25匹の食用犬が日本で保護されて里親に引き取られたとのニュースがありました。また韓国最大の食肉処理場が閉鎖。ベトナム同様に犬食屋がどんどん減り、包囲網が狭められ一般市民から歓迎されているとあり、世の流れです。
ことアジア圏への動物食に関するイチャモンの多くは先ず欧米から。好き嫌いや、文化伝統論、是非は別にして、犬猫、鯨にメクジラ立てるのは如何にも上から目線で正義ズラぶっている。
しかし未だ毛皮を取るためだけミンクを飼育する、肝臓を取るためガチョウやアヒルに無茶食いさせる。さらに肉にするため飼育する全ての動物。これはどうなる。これから地球の食料事情を考えると昆虫食が人類を救う、なんて問題ないの?と思うのだが。
なら保護団体の人は何を喰っているのか、聞きたいところです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生