バス乗降時に注意すべきこと

2021年3月30日(火)

日本人の気遣いは、外国人からしてみると驚くほど丁寧で親切だと思うらしい。
中国のネット上にある動画が投稿され、これに拠ると上海市内でバスが急停止したため乗客の一人が車内で転倒、頭部を強打して動かず、他にも二名が負傷した場面が鮮明に写っています。
事故は後部座席に座っていた女性が、停車するバス停に近付いたため降車口がある前方に移動しようとしたところ、突然ブレーキが掛って車内で2メートルほど飛ばされて段差に後頭部を打ち付け、不幸にも打った場所が運悪く、緊急搬送されたが2日後に死亡したとあります。
このような場面で動画を撮ったのは一般の人。慌てずスマホを向けるのに驚いたが、普通なら先に助ける行動を起こすべきではないかとの疑問がよぎります。
戦場カメラマンがまさに危険な状態の人を救護せずにカメラを回す。こういうプロは現実に起きている事実を世界や社会に伝えるという職業本能が組み込まれているため、咄嗟にカメラを回してしまうので、ある意味で仕方がないことかも知れないが、それでも議論では先に助けるべきでなかったかという批判が出る位です。この動画の場合は状況が異なっているとしても、他人が助けているなら自分はしなくてもいい、というものでは本来ないと思うのですが。
さて、この動画を見た人からのツイッターでは、日本のバスの車内アナウンスが注目を浴びているとしています。
あるユーザーは、日本ではバスの車内には「あぶない!席を立たないで」とか「バス停に付いてから席をお立ちください」などと書かれた注意書きの写真を掲載。この国では運転が荒くて、いつまたこういう事故が起きるかもしれないので、現在バスに書かれている「降りる前に準備を整えてください」との内容を、日本みたいに「バスが完全に止まるまで動かないでください」に変更することと、また乗客にも降りる人がゆっくり席を立ち上がり、降り切るまで辛抱強く待って欲しいと訴えたのです。でもせっかちな国民性には通じない様です。
この他に日本では路面電車でも、揺れたりカーブで曲がったり、また停車する時などの際、運転手は必ずアナウンスして手すりを持つよう丁寧に注意を呼び掛けていたが、自国では客が自ら注意するのが当然と思われているのは残念。
他にも在住外国人がバスを降りる際、運転者が後ろから自転車が来るとマイクで注意する様にアナウンスしてくれるので安心だと紹介する記事もありました。
何れも乗客の安全を思う行為だが、日本人からはともすれば耳障りな騒音だと取られかねない程に頻繁。だが自国ではあり得ないとの感想を述べている。
動画へのユーザーからの反響は大きく、日本での出来事に賛同。確かに良い事だとしながらも、中国では運転手も乗客もせっかちで不可能だとしています。

・ベトナムの場合は?

時折HCM市でバスを利用することがありました。では此処はどうなのか?
バス停の殆どには屋根が付いています。暑いので日除けと雨季の雨除けのためだが、ここに人が居ても運転手は止まってくれないのです。バスの車体が見えてくると、行き先の番号を確かめ、顔をバスに向け手を挙げ「乗ります」という意思表示をしなければなりません。でないと通過してしまう。
日本の様に複数のバス会社が走っている訳ではなく、客がいれば乗らなくても停めるのが規則でもない。また時間の観念は全くなく成り行きで走っているし、
バス停に来ても客が一人二人だと速度は落とすが完全には停めない。この場合小走りで飛び乗る(ワンマン)し、車掌がいる時(真ん中に乗降扉がある)は手を差し出してくれるがそんな事は問題ではない。乗客の安全など無視、危険と隣合わせなので慣れないと怖いのです。
降りる際には事前に告げないと通過するので、「降ります」と言うが、窓を開けているので運転中には仲々聞こえない。これもまた運転手か車掌の所まで行って伝えるため、発車したら直ぐ車内を移動しないと間に合わない。停車ボタンは付いているが、故障し放し状態で全く機能せず修理も怠ったままの状態。
降りる時に人が少なければ同じ様に完全に止まってくれない。バスのスピードに付いていけなければ降りたとたんに転ぶこともあるのでタイミングが難しい。
またバイク天国の市内。通行量は半端ではなく、少しでも隙間があれば追い抜こうとする。前方に人が居ようがお構いなし、避けるか止まるのは人の方。
幼稚園のスクールバスでも同じ。アメリカの様に絶対に追い抜いてはいけない、なんて法律はありません。

因みに、先ほどの記事には優先席の事も記載され、きっと優しい方でしょう、これには元気な人でも席を譲らない人が多いと憤懣やるかたない様子。
ベトナムのバスも優先席はある。妊婦さん、小さい子供、高齢者、肢体が不自由な人のために席を譲ってください、と絵入で書かれている。若い人の多くは、混雑している時などこの様な人が乗って来れば席を譲る姿をよく見かけます。
むしろ問題は、時間表が無くいつ来るか分らない。運転は荒く、渋滞が酷いうえに車内はエアコンが効かず暑い。だから窓を開けるため、空気は良くない。
さらに車内は喧しい。安全運転よりも運転手の好きな曲が大音量で流され聞きながらの運転。アジアの多くはサービスのつもりかもしれないが、迷惑千万。
また車内は綺麗だとは言えない。新車であっても直ぐに傷が付き、汚くなるのが不思議。丁寧に清掃しているとも思えないが、これが普通だと思っている。
教育は出来てない。それ以前に運賃を貰って仕事をするプロとしての職業意識や人を思いやる気持ちが欠けています。地下鉄は大丈夫でしょうか?

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生