配慮

2021年10月7日(木)

オリンピック選手村の部屋に冷蔵庫とテレビが無く、中世だとロシアの選手が苦言を発信。これに対し金メダリストのイシンバエワさんは文句を言わず集中すればいいとコメント。己を常に律してきた世界のトップアスリートの言葉はけだし正論です。
ロシアが要請しなかったのが原因とかだが、オリンピック委員会は選手の体調を気遣う日本側の配慮。部屋で物を食べると食中毒の危険があるので必要ないと述べているが、これは子供騙しの言い訳にすぎません。
また段ボール製ベッドに粗末な扱いだと、エアウイーブ社のコンセプトを理解できずに韓国選手は難癖。稚拙な英雄気取りを恥ずかしく思わないのか。
前東京大会では世界最初の吊り構造の体育館が完成。今回も木材をふんだんに使用した国立競技場、記録が出るように観客席の設計を根本的に改善するなど、世界に日本の技術や設計思想の優秀さを誇れる建築物の存在。こういった別のおもてなしの仕方もあるのかと、見方を変えてみるのも面白い。

海外から日本へ来た人が異口同音に称賛するひとつに日本人の配慮の細やかさがあり、山ほどあって度肝を抜かれるようだとニュースに。
日本人からするとさりげない気遣いに相手に対する思いやりだが、普段と変わりなく取り立ててどういうものでもない。だが外国から初めての来日であれば、自国では経験したことがない行為に驚かれる場合が多いとします。
余りの自然体で振る舞うため敬服するとか、時には恐ろしく感じたと思うそうだが、文化の違いを楽しめばいい。
病院での受付に検査、診察等にしても、また交番で巡査に道を聞く時の丁寧さ。あるいは買い物で店員の態度の良さ、食堂で言葉が分らなくてもおばあさんが手真似で親切に教えてくれた等々に関して、自国では考えられないくらい民度の高さを感じたとしていますが、成程あり得なくはない。
日本で買いだめした商品が底を尽き、COVID-19禍が収束すれば直ぐにでも訪日を期待をしているとある。
しかし我々にとって、やたら正義を振り回す、昔と違って殺伐とした世知辛い時代になったと思うことが結構多い。それでも文化として日本人の何気ない気遣いの行動が、外国人からみれば特異なのかと思ってしまうが、この様な日本であっても大きな事を言えない時代がありました。
気遣いは個人の性格や気持そのもので、育った家庭の躾、親の教育や環境に拠ってであり、どの国がどうだ、豊かな家庭とか貧しいは問題でない気がする。
ベトナムに居た時に幾つも感じたことがあります。

・ドンコイ通りのマッサージ店

観光で来越した人はほぼ行った経験があると思います。殆どは地方出身の娘さんで中には弟妹の学資のためという人も居る。実習生で訪日した子は日本語ができて、ウブさにほだされた男から求婚され東京へ嫁いだ子もいる。だが彼は二度目、歳の差は20も違うと言うから大丈夫なのと聞いたが、日本で生活したい気持ちが勝っていた。人のご縁とは不可思議だがちょっと危険かも。
以前は回数券を持っていてお越しになった方をお連れした。これなら一回分が45,000VND。+チップだがこれが実入りとなる。日本と比べると相当安いが、結構稼ぎはある方だが楽ではない。体力仕事なので華奢な子には結構シンドイ仕事ながら皆必死で頑張る。在住者に指名して貰えると安心できます。
性格というのは仕草に出てくる。誰もが正式に習ったことはないので、むやみやたら押しまくられると痛いだけ。ある大学の先生、来る毎に身の上話を聞いていた娘。自分で指圧を独学、外国人が多いので英語の学校にも行って苦学。他人と違いがでてくる。こういう話に先生は弱い。自分の苦労と重ねるのです。
人気がある子は群れる訳ではなく静かに気を遣う。真面目で素直な田舎の娘は誰にも好かれチャンスが巡ってくる。東京で幸せにしているのかな?

・洋菓子店でフランス人直伝のケーキを買う

一区ハイ・バーチュン通りにある有名なパン・洋菓子の老舗。他店より少々高いけれど美味しくて、お土産にも喜ばれるのでよく買いに行きました。
日本と違い前日の売れ残りもこそっと置いてある様だが、これは知らなかった。
ある時、これ昨日のョ!別のが良い、と小声で言う店員。まぁ顔馴染みであるけれど普通の客。やはり何処でも良いお得意さんに思われないといけません。
別の店。クリスマスの時期には何処でもケーキがよく売れます。大手のパン屋は書き入れ時。昔と違って生クリームだが福臨門が生地も柔らかくて美味しい。
これを買って帰り際、雨が降ってきた。雪ではなく冬の俄かの暖かい通り雨。店員は椅子を持ってきて直に止むから待てばいいと言ってくれました。
東京から大阪に異動になるときに鎌倉へ行った、この時と同じ。まさかの雨で傘を持っていなかったが、鳩サブレ本店の軒先に居た時、内からタオルを持ってきてくださったのです。この時から、海外への土産は鳩サブレにしている。

・散髪屋での思い出

近くの日本人宅に行った際、友が散髪に行くと言うのでご一緒。此処は奥さんが行く美容室、のようなもの。男が行く事はまずないけれど、髪を切ってくれるが衛生基準など無いから、市内とはいえ殆んどド田舎の雰囲気丸出し。此処では散髪は技術が要るハサミなど使わず、バリカンで器用に刈って行きます。
さて、洗髪。給湯設備は無く髪は水で洗うのが現地流で、知るところ、湯を使う店が一店あっただけでした。程よい湯加減でも熱いと言うのがベトナム人。
ほぼ何処の散髪屋(HOT TOC)でもマッサージとセットが多くて、ゴシゴシと時には爪を立てているのが普通だが、お客は気持ちが良いと錯覚している。
此処はシャンプー(GOI DAU)だけ。この時新入りの子の様だったが思いの他に扱いが優しく丁寧。洗剤で洗う際は両手で静かに撫でる様なので気持ちがいい。水で洗う時は手を額に当てて目に流れないように気を配ってくれる。終わればゆっくり両手で頭を持ち上げ、これまでにない仕種。今も感触が残っている程に柔らかい。
だが一月後にはもう店には居なかった。友人の奥さんは、客からこの娘が気に入られてチップも多く、古い従業員から嫉妬と腹いせでイジメにあったのかもしれないというが、ヘタすると居られなくなる。良い子だったね、としみじみ。誰しも気持ちは同じでした。

何かと世話になり助けられた事もあるが何処の国でも女性は世話焼き。
だが、女の敵は女、と藤本義一が書いていた。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生