以前は、と言っても2000年代初頭。この時分ベトナムで女性の結婚適齢期と言うのは精々20歳代前半。30歳を超えると再婚か、かなり年上の独身男しか相手が居ないと言い、親などは焦りました。これ都会での話です。
だが、どんどん世の中が進むにつれ、また豊かになってくる。外資系企業が進出してくることになるが、何処の世界でも女性は早熟で、能力など男より良くできており、さらに決断力に忍耐力もあると思う場合があります。
日本だって、NHKの朝ドラを観ていると、牧野先生はそうでもなかった様になっているけれど、その様な時代ではなかったことが分ります。また現在でも女性の管理職登用などで欧米諸国に比して遅れているのは事実。
ベトナムでは、知人でも30歳を超えてやっと?という場合もあるし、未だに独身を貫いており、結婚も考えないキャリアウーマン、優男に三行半、子供を引き取って海外留学までさせるような素敵な方も、私の周りも居るのです。
個人的にはもはや普通の光景であり、特別どうこうは思わないが、しかし世間は其処まで寛容でなく、容認もせず、未だに特別だと記事は語っています。
これまでの経験からすると、地方の農山漁村部の方が結婚は早く、また未だに略奪婚や親が決めたこともあるという非近代的な地域もある。また高学歴者の結婚は比較的遅く、見合いではなく恋愛での結婚が多いし、さらに子供は要らないとするカップルもいる。だが結婚式は何れも日本に比べると招待者は多いと感じます。また伝統やしきたりを守っているケースも多く見かけます。
そこでつい最近の現地の記事に、まさにこのような話題が掲載されていました。
それは、ますます現代的な文化基準を満たす結婚を望んでいるベトナム女性が増えている。しかし現実には伝統社会の圧力や現実との間の緊張が大きく立ちはだかっている。とあります。
この記事の主人公38歳のタムは、自分の基準に合う人と結婚することを両親に約束、「ただそれだけのために結婚する」ことはないと固く誓った、とある。ハノイ在住の女性翻訳者が結婚相手に求める基準は、知的で女性を尊重し、家事を手際よくして野心的。彼女はこの基準が普通だと信じているが、友人や家族は彼女が厳しすぎると言った。 だが贅沢過ぎで盛沢山。
母は妊娠が難しい年齢だし性格も強く、外見も普通だからあまり多くを求めるべきでないとアドバイス。ごく一般的で普通の親心だろうと思えます。
だが彼女は、母親に何度も自分の状況を説明。都会に家を持ち、収入も学歴もあって自立していることも話してきた。しかし年齢を埋め合わせるものは何もないという現実を否定することはできないとも思っている。
またHCM市に住むタムの友人フオンはタムの35歳だが、独身は「間違った相手と結婚するのが怖いから」で、彼女の大学時代の友人3人は離婚しているのでより結婚に消極的になっている。結婚をギャンブルと考えており、一つの間違った動きが人生を台無しにする事がある。フオンは家族が彼女に直ぐ落ち着くように促しても「一人」を待ち続けたとあります。
記事では、フオンやタムのような女性は現代社会では珍しくない。統計総局が2022年に発表した統計年鑑では、都市部で初婚の平均年齢は29,8歳。2019年の平均年齢は27,5歳。だが2020年に23歳、2021年には21歳で、この傾向は年々増加しています。特に、HCM市は初婚の平均年齢が最も高く、全国平均より2,9歳高くなっている。としています。
心理学と結婚の専門家であるHOAによると、最近の女性は高等教育を受け、自分で資金を調達できるため、お金を稼ぐ機会がますます増えている。従って独立性が増すにつれ結婚したいかどうかを含む選択も成長します。
そうは言うけれど、ホアは多くの女性は家族が欲しくないからでなく、適切な人を見つけられないために独身でいることを選択すると言い、実際にはこれらの女性は完璧な結婚を望んでいるのだとしています。
ところが時が経つにつれ、自分たちの年例に気づき、今や彼らは家族と社会の両方から圧力に直面している。フオンは家族に決断を迫られている様だと常に感じているという。故郷に戻るたびに結婚について話すが、両親の意見とは、女性がどんなに優秀であっても夫を見つける必要がある。
一方、タムは結婚を軽蔑していないが、愛を大切にしているからこそ自分に合った人を見つけたいと思っていたけれど基準に合う人が見つからない。そこで盲目的にデート会に参加し続けた。しかし結果が得られなかった。スタイルのセンスがないと感じた男性もいる。彼女を不快にさせるほど長い爪で来た人、ウェイターに失礼な人もいて失望したというのです。
タムは未婚であるため、どこに行っても常になぜと聞かれることにうんざり、より閉鎖的になり友人との付き合いが少なくなって行ったという。 経済的に安定している殆どの男性はすでに結婚している。しかし出会った男性は十分なお金を持っていないので時々無力感を感じた、と彼女は言うのだが、このタムの無力感は、実に同年代の多くの未婚女性が共有する感情と分析しているのです。
HOA氏に拠ると、殆どの中年女性は本人より下の男性と結婚しないと述べた。理想的な相手が見つからない時は、積極的に見る人もいれば、流れに乗るという考え方を持ち時が来るのを静かに待つ人もいて、彼女は盲目的にデートするのでなく運命を信じるべきと信じている。
心理学の訓練と応用のHON VIETセンターのディレクターである心理学者TAM氏は、自分が誰であるかを正確に知っていて、良い地位を持っている人々は気まぐれであることで正当化されると言います。結局のところ、例外的な人々は常に彼らと同じくらい例外的な人々を探すと言いました。
だが女性が空想に迷う時こそ危険信号を見る。彼らは幻想を追いかけることに巻き込まれている。彼らは家族を持ちたいと思っているが、うまくいかないか、見つけることができない。
HOA氏は、女性が結婚を決定するかどうかに関わらず常に事前に自分自身を準備する必要がある。結局のところ人生は決して簡単ではありません。 重要なことは、誰もが自分の人生をコントロールし、自分の決定に満足することだと結論付けました。
結婚観など人夫々、他人とか識者がどうこう言う筋合いのものでは無く、思い通りにすればいいと考えるが、この国ではまだそこまで個人の自主的な思考や勝手は許されず、家族や社会に振り回されることが多いようです。だが確実に変化していることが統計で判ります。 (VNエクスプレス)
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生