ヨーロッパとの投資・貿易促進を期待するベトナムとコーヒー価格上昇

2022年11月10日(木)

ベトナム・EU自由貿易協定(EVFTA)が2020年8月1日に発効してから2年。タイミングが悪く程なくしてCOVID-19感染蔓延。少々間延びした感はあるが、この所ベトナムは積極的姿勢を見せていることが報道から分ります。
COVID-19がベトナムで下火になった6月、パリでイベントとセミナーを開催。これはベトナムの大使館と在越フランス商工会が主催。両国間での貿易と投資促進を目的としたもので多数の現地企業や投資家が参加したとあります。

全方位外交と積極的自由貿易を展開するベトナムとしては、EVFTAの中でフランスは最も優先的に誘致を進めたいと持ち上げ、双方の関心分野である、ハイテク産業と持続性のある環境保護を推進するため企業誘致を図りたいとし、このための法整備を行ってきたことを述べたと報じています。
実は翌2023年は外交樹立50周年、戦略的パートナーシップ締結10周年の記念となる年なので、これを上手く利用して開催に漕ぎつけました。
かつてベトナムの宗主国であったフランス。だがほぼ100年の間、殆ど収奪ばかりでこれといった遺産はない。強いて言えばあのバインミーとして有名なフランスパンとコーヒーを飲む食文化、彼らが避暑地として利用した高原保養地くらいしかなく、負のイメージばかり強いが、時代は変わったのです。
EUの中で二番目の投資国とあるが、今年のトップ10にも入っていません。貿易額にしてもEUではドイツ、オランダにも先行されていて、FTAを締結したと言っても充分な進出への調査をしている訳ではない。まして思わぬ伏兵が出現し経済活動の長期間停止を余儀なくされ、やっと本格的にスタートした段階であるものの、ほぼベトナムからの新市場へ向けたラブコールなのです。

ベトナムにとって進出EU企業はそれほど多い訳でなく、先進技術を導入したいし、再生可能エネルギーや新製品のR&D、スタートアップに期待したい。
中でもハイテク先進技術を持つ企業に進出・投資して欲しい気持ちが山々です。
また未開拓だと言っていいEUの市場性は大きく、取り分け気候が全く違っているためEU各国にとって農産物は魅力がある。実はいくつかの農産物は輸出されているが、ノーブランド製品。バルクで送るため、相手ブランドでの販売。
優秀な製品なのにこんな付加価値のない、バカなビジネスをやっている現実がある。このような実態を省庁が確認し、改善しなければ意味はありません。

一方でEUにとってベトナムの地理的要因はアセアン諸国開拓へのハブとなり得る物流好立地。この様な思惑が両社にあるのだろうと考えられます。
さらにイギリスでも物産紹介イベントを行ない特産の果実や農産物販売とか、ベトナムの食文化の紹介を行っています。これは商工省の貿易促進事業の一環で、現地の大使館と貿易事務所、英越ビジネス協会が開催しました。
他にもイタリア、オーストリアなどへ農産物の貿易促進をトップ外交で行なっているが、ドイツやフランスなどのEU諸国、北欧諸国へ移民したベトナム人は意外に多い。今後成果が顕在化するものと希望が持てます。

・コーヒー輸出価格が急騰

もしフランスが宗主国でなく、イギリスだったならば、恐らく紅茶がベトナムの茶文化になっていたであろうと誰もが推測できます。
先月ベトナムで事業を行っている知人がハノイ市とHCM市にある彼の会社をほぼ2年ぶりに訪れることになりました。現地事情を自身の目で確認し、今後の戦略を練るためにも現場の実態を把握することは必須であり重要です。
この際に無理を言って、私の友人が造っているコーヒーを持って帰る様に頼みました。ベトナムコーヒーは細引きで深煎り。焙煎の最後にバターを入れるが、此処はこれをしません。濃厚なのにマイルドでコクがあり、香りも深く高い。酸味や苦みのバランスがとれており口当たりも良いので好きです。
このベトナムコーヒー。日本にも輸入されているけれど、殆どはミックス用に使用されている。良い製品もあるのだが残念。因みに高級品とされるアラビカ種は10~20%、ロブスタ種が80~90%、主に中部高原で産出される。
コーヒーの産地で集積地として有名なバンメトー市。此処に国立コーヒー研究所がありカカオ等の研究や栽培実験なども行っており、訪問した事があります。
この所コーヒー価格が上昇している。今年5月までの平均輸出価格は1トン当たり2250ドルと昨年末より24%も上昇しているのです。
農業農村開発省は、今年前半期にベトナム産コーヒーの輸出は103万トンと前年同期比21,7%増え、輸出総額が23,2億ドルと50%も上昇し、これは過去5年間で最高値だと報じています。国内中部の市場で加工前のコーヒー価格は4万3千VND前後、前年比で1kg当り平均2000VND上昇している。
ブラジル、インドネシアなどでの不作、中国でコーヒー需要急増、アメリカ向け価格上昇が一因になるけれど、生産量が減少する中でアメリカへの平均輸出価格がトン当たり3451ドルとなり42,35%も急騰したことが大きい。
アメリカ人ベト僑もHCM市で優秀な果実やコーヒーを加工し輸出しているが、こうした人脈や外国人の生産への貢献が品質向上にも繋がっている事実がある。
国際コーヒー機関の報告では2021~2022年の7カ月間のデータでは、世界の輸出量は0,6%の微増だが、需要の増加で310万袋が不足することや、物流問題で価格の上昇は必至です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生