さて習近平主席と我が石破首相だが、一つの重要なことをニュースからみた。
習近平が訪越した際、空港まで誰が迎えに行ったのか。ラム書記長直々である。
対して石破さんが訪越した時は副首相兼外務大臣だった。要は2ランク落ちていると言っていいのです。しかしこれには一体どのような意味があるのか。
さらに今回4月30日の解放記念日に中国人民解放軍がパレードに参加したという事実。これを耳にして驚いた。今までこんな話を聞いたことはありません。これはなにを意味するのかだが、ベトナムに詳しい人なら直ぐに分ることです。
また親日国ラオス、ここでも同じ様にASEAN首脳会議に李強首相が慰問した際だが、国賓でもないのに出迎えたのが計画投資大臣だったという。経済的にも外交的にも、日本より中国を重んじている図式でしかないという証明なのです。
また習近平がカンボジアを訪問した際に、わざわざ国王が出迎えたという厚遇振りを見せつけている。カンボジア国民は日本が好きとか、民間でも地雷除去をやってくれるとか、消防車や学校を寄付してくれるなどTVでは現地の声を拾っているけれど、アジア全体として日本は信頼できる、だがこうした出迎えと歓迎ぶりを考えれば、中国を外交的、経済的に頼もしく思っているのではと思えるがそれだけの金を落としている。だが落とし穴には気が付かないでいる。
話は異なるけれど海外青年協力隊でタイに行った知り合いがいる。彼女の専門はコンピュータ教育だが、外大出身なので語学力を活かしての着任だった。
ところが相手から告げられたのはショッキングな言葉。こんなのは自国で出来るので本来必要ではないけれど、来てもらったのは日本から支援(即ち金銭)供与が目的だというわけ。これは相手国の実態を知らずに一方的にお仕着せ。彼女にすれば先制パンチの青天霹靂、折角意気揚々、勇んで赴任したけれど、何もしないでいいとまであからさまに言われると反論する気力も失せてしまう。
こういう実態とか真の現場を政府関係者、行政や上の人達は知らず、何時まで経っても開発途上の国と位置付けて得意になっているのだが、この多くが官吏や天下り。学業成績は優秀だけれど、現地に溶け込めず現場が分らない。友人できず利用されるだけというのが分らない単なる木偶の坊。もはやアホらしくて付いて行けない。海外で生活、隣国へ行ける制度があるので割り切り一応の任期を終えたのです。偶々ベトナムに行った時に知り合い、筆者が在住時この制度を利用して親しいベトナム人家族に会いに来た。この際に漏らしたのです。
例えが同じというのではないけれど、現地の実情を知らずに上がってくる脚色された報告を鵜呑みにするのは日本の民間企業の本社や役員だって同じこと。相手サイドからはバカにされ、掌で泳がされて悦にいっているだけなのです。お人好し日本。現地の実態を把握して真摯に向き合うのは良いけれど、ODAでの資金援助など賞味期限切れ。相手が感謝しているわけでない場合もあるし、傍迷惑でしかありません。将来がある若日本の者を海外に派遣するのは良いのだが、彼らの善意が無意味になっている実態を知り、いい加減にやめるべき。緒方さんの様な方ばかりなら問題は無いけれど、旧態依然の人事制度を廃止、無駄金を遣わず地に付いた仕事をしませんか。と言いたい。
ベトナム現地紙は何と報じたか 中国と比べ余りに弱い訴求
日本の石破茂首相は、ベトナムが日本の不可欠なパートナーである事を確認し、ハノイと多面的な協力を深め、東南アジアの国が新たな発展の時代に社会経済的目標を達成するための支援に対する日本政府のコミットメントを強調した。とヘッドに持ってきている。
日本の指導者は35年ぶりにベトナムに戻り、首相として初の訪越となった喜びを表明した。総理からは日本が経済、政府開発援助、投資における協力を深めて安全保障や防衛、平和維持、文化、人的交流などの協力強化を確認した。DX、イノベーション、量子技術、半導体などの新分野でベトナムとの協力を推進するとまで言っているというのだが。本気なのか、そこまでやるか。
特に二国間協力の象徴である大学の両方で質の高い人材の育成を支援することに同意、日本に住む60万人以上のベトナム人に対する継続的な支援と有利な条件を確認したと報じているが、何だか可笑しくないか。
現実を見れば能力と個人の資質格差は拡大しており、問題だけが際立っているにも拘わらず、一向に両国政府での改善がなされていないのが実情です。
日本の警察は2024年における訪日外国人犯罪に関するデータ(確定値版)を公表しました。これには国籍別の総検挙数が9690件(44,5%)、人員が3990人(32,8%)で共にベトナム人がトップという輝かしい実績。
特に刑法犯が5992件(44,7%を占め前年比46,8%)で、特別刑法犯が3698件(44,1%)と国籍別で最多を記録したのです。
こういう実態を解かっているのか。窃盗、万引きなどに加え、最近では詐欺や強盗傷害も増えているのが現実。幾ら殆どの人は真面目で、借金から止む無くヤッタと擁護する人もいるけれど、幾ら何でも多過ぎやしないか。こんな状態では質の高い人材を育成?何をどう支援するというのか具体策などありません。
現実を見れば能力と個人の資質格差は拡大しており、問題だけが際立っているにも拘わらず、一向に両国政府での改善がなされていないのが実情です。
リップサービスにしては軽すぎて話にならない。
ベトナムのラム書記長は、ベトナムが経済モデルを刷新し、科学技術開発においてブレークスルーを起し、2030年までに高中所得国、2045年までに高所得国に成るという目標に向け国家機構を合理化していることを共有した。
外交政策面ではベトナムが日本を最重要で長期的な戦略パートナーの一つ、とみなし、ラム書記長は両国の戦略的協力を強化するため幾つかの主要な方向性を提案。これには政治的信頼の継続的強化と実質的で効果的な安全保障・防衛協力の強化、科学技術、質の高い人材に基く経済協力の強化を含まれる。
また日本が新時代の円借款を通じて、ベトナムの主要インフラプロジェクトに積極的に参加することを提案した。と如何にも日本から、ベトナムのインフラ整備を持ち掛けている様な印象を受けるのです。だが具体性は一切ありません。
またラム書記長は天皇皇后両陛下の近々の訪越を招待するとし、石破氏もまた党首夫妻を近い将来日本に訪問する様に招待したと報じたのだが、これなどは親日・親越を相互が演じただけでしかありません。
現地記事にはまた、日本は2023年にベトナムを包括的パートナーシップに格上げした最大のODA供与国であり、主要な労働協力パートナーでもあり、第3位の投資国である。観光と貿易では4位で、2024年は日本との貿易額は462億ドルに達し、今年1月現在5512件の有効なプロジェクトを保有。この投資総額は783億ドル、ベトナム側は日本で124件の投資を行っていると説明。また日本のベトナム向け円借款は2024年末までに2兆5500億円(230億ドル)となっており、経済、貿易、投資は二国間関係で引き続き重要な柱と報じるのは好意的に見ているのか。だが経済発展のため貿易量を増やす(日本の赤字は年々増加)べきとか、日本企業は他国に比べて大人しくて文句を言わないので、さらに投資して(金が)欲しい。またベトナム企業の日本進出が少ないため、増やして貰いたいでも言いたいのか?だがこれは自国企業の経営能力や技術力、資金力が弱いという具現でしかない。
いま日立はHCMメトロ管理委員会を相手にして、約156億円の請求をVN国際仲裁センターに申し立てている。役所までが自らの非を認めず工事費未払問題があるけれど、上手くいけばお釈迦にしたい。ビジネスや個人間でも常に金銭的危険性として留意するべきなのがベトナムの実態。こういう事実を知れば投資は慎重にならざるを得ません。
習近平が訪越した際、各紙が中国の提案しているプロジェクトを具体的に報じているが、実は国民向けの政府の肩代わり広報であって、中国との緊密性を告げていると考えられる。即ち鉄道案件にしても、中国と同じ様に日本に対して資金と抱き合わせで早期着工に漕ぎつけたい。名目などどうでもよく経済協力を含む資金供与が狙いであり、嫌なら中国にするぞという本音が読み取れる。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生