先のコラム(「ベトナムにおける日系企業による不動産開発が加速」)において、ベトナムで不動産関係の投資が拡大していることをお伝えしました。
こうした動きに伴い、不動産関連企業だけでなく、建材メーカーをはじめとして、周辺産業・サービスの投資も進んでおり、高まる建設ニーズの取り込みを図っています。
今回は、日系企業による建材生産拠点の拡大について、ご紹介します。
日系企業による建材の新工場設立が相次ぐ
アイカ工業(愛知県名古屋市)は、メラミン化粧板の日本国内シェアNo.1を誇ります。メラミン化粧板は、住宅や店舗などの内装用の建材として利用されています。
同社は、南部ドンナイ省にメラミン化粧板を製造する工場の建設に着工しました。総投資額は約22億円で、2019年4月に稼動予定。ベトナム初のメラミン化粧板製造工場となります。工場では、メラミン化粧板のほかに、不燃性を持たせた建材「セラール」も製造されるとのことです。
同社では、2019年春から、ベトナムやタイなどのASEANを中心としたアジア地域や、日本向けの化粧板を製造販売する予定です。
また、注文住宅や断熱材事業などを手掛けるヒノキヤグループでも、2018年11月、北部ハイフォンに、外装用のプレキャストコンクリート(PC)パネルの工場を開設しました。外壁や塀として使用するPCパネルの製造から始め、2019年度は7,000トン程度の製造を見込んでいます。工場で製造されるPCパネルは、ベトナムでのPCパネルの普及を最優先させるため、同国内だけで販売するとのことです。
ベトナムでは、住宅用のPCパネルを扱っている企業が少ないことから、同社は、住宅用PCパネル市場において先手を打つ構えでいます。
量より質へ
経済成長の続くベトナムでは、今後、量より質を重視するようになることが予想されています。実際に、店舗やホテルなどでは、デザイン性や耐久性に優れた内装材にこだわる所が増えています。
こうしたことから、アイカ工業は、さまざまな機能性を持つ、自社のメラミン化粧板の需要が今後更に伸びると判断しました。
また、ヒノキヤグループも、高品質のPCパネルの需要が拡大していくとの見通しを立て、ベトナム市場に参入しました。
質を重視するものづくりは、日系企業の本来得意とするところ。市場の成長が見込まれる、ベトナムなどのアジア地域に活路を求め、事業の強化・拡大を目指す企業は、今後も増えていくことでしょう。