HCM市の新築アパート価格

2024年4月2日(火)

現地不動産研究所の調査に拠ると、今後HCM市で新規供給されえるアパートの価格は、その多くが一戸当たり50億~100億VND(約20万~40万ドル)になる見込みで、20億ドル未満の物件は無くなるであろうとされます。
最新の調査レポートでは、昨年HCM市で新規に販売されたアパートの戸数は過去10年間で最低となる17,000戸だったと判明。これは新規の開発物件が減少したこともあって物件の取引件数は減少し、僅かに6,300戸であったとしている。
この原因は住宅価格が高騰していると現地の不動産市場の調査部門がその報告をしているが、この価格帯の中心は20~50億VNDであったとしています。
また20億VND(約8万ドル)以下の物件は一見も無かったとしている。
また高級物件の流動性も低下したが、こうした高額価格帯の物件は敬遠されたという。このためHCM市のアパート販売単価は45%も下落して2020年の水準となり、その平均単価は6900万VNDだったとあります。
かなり要約しているけれど本来は地域や利便性などによって、また物件の建築品質や仕様などによっても大きく異なるので、詳しい明細が必要だが、もはや一般市民が購入出来るものではありません。
分譲アパートが開発され初めに外国人や富裕層が購入した時代であるほぼ30年前よりも高額になった。だがこの時点では開発の中心は、市中心部か副都心開発という地域であったが、こうした開発に適する用地は豊富にあったのです。
サイゴン川を超える一帯の人気はイマイチ。こうした所は地方から来た人たちがその価格の安さから飛びつき、狭小ながらも戸建住宅を好んで建てました。
以前のTVドラマでも、この様な地域は低湿地に住む貧困層エリアという設定で描かれ、川向こうに輝くネオン、そして暗闇の地道、を対比していたほど酷かった。だがこうした川ひとつで大きく異なる所は沢山ありました。

だが人口が増え、郊外にまで市域が拡大してきた現在、都市機能は明確になりつつあり都心の適地は商業ビルに需要がある。となれば再開発と複合物件という選択をし、広い地域での都市計画を行ない一体化しなければ進みません。
かつてHCM市は9区の未開発地に大きな開発を計画していたけれど、これを見に行った時、その完成を予想できたベトナム人の一般市民はいなかった。
さらに古くて構造上問題がある古いアパートが市内には多く存在するため建て替え促進も有効性があり、地下鉄計画が進むならば、この沿線での市主導で開発計画の練り直しによって高度な土地利用が見込めるけれど、問題はその資金と技術力であると考えます。
さらに中古物件の流動性。これは日本でも同じだが、未だ旧態依然の酷いものであり、十分機能していていない所に可能性があるのです。
この市場調査会社の語るところ、今後2年間は新たに市場に供給できる物件の価格は、一部屋当たり50~100億VNDとなる。これまでの中心価格帯であった20~50億VNDの物件は少なくなり、余程遠方でなければ供給は無いとあります。となれば、HCM市内ではほぼ期待できず、隣接するドンナイ省やビンユン省、ロンアン省が考えられるが、工業団地がこうした所で稼働しており、すでに人口集積を見越して現地の開発企業が新都市造りを行なっているので期待できるというものではないと考えます。仮にHCM市では高額過ぎて購入できないとしても、日本の様な都市交通網が整備されていないので通勤するのはほぼ難しい。また高速道路や一般道というインフラ整備されつつあるけれど、バイクでとまで?は考えられないし、新空港など都市開発が行われているので周辺土地価格は上昇。予想を超えた価格になる可能性があります。
だが専門家は今後5年間でこうした地域の物件は競争力が出て来るとし、そのアパートの多くは価格帯が50億VND未満なので注目を浴びるとしている。
また昨年HCM市で販売されたアパートの、その84%が1㎡あたり5000万VND~9800万VNDであったという。一方で5000万VND未満の物件はありませんが、経験から異常なほどの値上がりとしか言えません。

こんな所に、市内の高額アパートか、タウンハウスを購入するか、都市部から離れた地域の土地が良いかという記事も出て来たのです。
結論からすると、都心のタウンハウスを勧めていた。この理由は土地が付いていることで、何年も住んでも売って売却利益があるというとこの筆者がいう。
アパートは、竣工後20年は値段が上がるけれど、寿命の終わりには大きく価格が下がるという。また土地は南部のニャーベーやビンタン区が良いというが、これはいわゆるパートの区分所有に関する法律が未整備状態であり、経験不足であり認識不足も甚だしい。HCM市がこの先に、どう発展するか、また人の集積と都市開発がどうなるのか。元々は東洋一の貿易都市であったが、経済や金融などビジネスの集積と発展の変化の度合いによって大きく異なる。
またアパートの個別要因に関して、その環境や立地条件、管理状況や絶対的な価値が開発業者や入居者に拠って異なるため一概に言えないものがある。また長期間、品質が保てるような建築構造ではないというのが経験則から言えます。
市内のタウンハウスは良いとしても、郊外や隣接省の土地は利便性で大きく変わってくるけれど、将来の利用形態がどうなのか、単に住宅用地というだけなら期待はしない方がいい。今後人口動態がどう変わるかだが、これ等は少なくても高級な住宅地で高名な人が住むとか、歴史的価値があるとは言えません。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生