日本企業のベトナムへの進出は、増加の一途をたどっています。ベトナムは近年、「チャイナ・プラス・ワン」の国としても投資が集中しています。日本企業による対ベトナム投資の特徴としては、小口案件が増加していることが挙げられます。これは、中小企業の進出によるものと考えられます。また、進出形態としては、初期投資を抑え、短期間で現地生産が可能となるレンタル工場への関心が高まっています。
そこで今回は、ベトナムのレンタル工場についてご紹介します。
中小企業のベトナム進出が増加
日本企業による対ベトナム投資の近年の傾向としては、投資件数が年々増加しているのに対して、新規投資金額の合計額がほぼ一定していることから、中小企業の進出が増えてきているといわれています。
このため、ベトナム各地の工業団地も、大規模な工場用地ではなく、250~1,000平方メートル規模のレンタル工場の造成に力を入れています。また、日本にもあるような、小規模なレンタルオフィスやコワーキング・スペースも、少しずつ増えてきています。
レンタル工場の需要が拡大
住友商事がハノイ近郊で運営する「第2タンロン工業団地」は、総開発面積が約350ヘクタールであり、約60社の企業が入居し、そのほとんどが日系企業です。同団地内のレンタル工場には、中小企業を含めて約15社が入居しています。
神奈川県は同団地と連携し、2015年6月に、レンタル工場「神奈川インダストリアルパーク」を開設しました。同年10月に多摩川電子(綾瀬市)が、そして2017年3月には、ダイニチ電子(横浜市)が稼動を開始しました。なお、県内の入居企業は、管理費1年分の免除や、現地での投資ライセンス取得に関する費用の免除などの優遇措置が受けられます。
同団地内のレンタル工場は、需要が拡大しており、現在の約3万平方メートルから、数年以内に倍増させる予定であり、中小企業の誘致を図るとのことです。
さらに、双日は、南部のドンナイ省で運営する「ロンドウック団地」内に、約9億円を投じ、2018年秋をめどにレンタル工場を建設する予定です。1区画当たりの面積は500平方メートルであり、レンタル料金は、1平方メートル当たり月額600円と低く抑えています。