ベトナムにはホウレンソウがありません!?

2019年6月20日(木)

長く日本に住み日越で仕事を行うベトナム人。日本人のご主人と有名国立大学に在籍する子息が居る。先ほど現地企業と販売契約をしたけれど、失敗したとオカンムリ。どうやら金銭問題が原因の様です。
ベトナム側のコネクションは強く、両国の世情にも通じている。なのに、同胞からゴマ化されたという次第。ベトナム進出は盛んだが、一筋縄では行かない難しい面は実に多く上辺だけの判断はよろしくありません。
企業の歴史は全般的に浅く理念や風土が育っていないうえ、人的資源にも弱点がある。経営基盤が整わないのに規模は急拡大を続けていて、海外との取引やビジネス経験も未熟な一面が。表面だけは繕えても優劣格差は拡がるばかり。経営・組織・管理の要、人(資質)・物(技術・設備)・金(自己資本)+情報機能が備わっているかしっかりチェックとの戒めです。
しかし進出済企業の7割が事業を拡大方針とか。人口増加に商の国際連携化は進む一方で、企業も日本進出する可能性は高い。来日者は年々増加。若い人が海外に出る機会が増えた今こそチャンス。新世代の活躍に期待したいものです。
大学の後輩で在日公館の外交官が帰任。なのに、挨拶はおろか連絡も来ない。
分からないことを聞いてくる、紹介して欲しいと頼ってくるのも良いとして、爾後の報告は一切ない。行事の連絡をしてもドタキャンかナシの礫が関の山。
長年の友人、仕事での来日が増え時折会う機会が。今時スマホで凡そが分かるため仔細は分からないが相談なく自分で決める。予定はアバウトか場当たり的。もうお判り、ホウレンソウとは報告・連絡・相談。+約束が何時まで経っても普通にできないが困りもの、慣れろと言っても限度がある。
現地で難儀するのが事前に相談せず許可も得ず、勝手に処理し爾後報告もなし。規模は小さくても組織上の職務権限、規則や規程を無視して自己都合が最優先。気に入らないと今日で辞めますとか、相談もなく突然来なくなりメールで退職を伝え連絡を絶ってしまうなど、マナー違反は日常のこと。
事務手続きは苦手だし、目標や計数管理にも不得意が多いのは共に汗を流せば分かってくる。地場企業も同じ事情を抱えるが教育等は殆どしていません。
現地在住の日本人で家族を持って20年。奥様は日本に居たけれど今では約束の時間に来ず悠々の遅刻常習犯。帰国後3日もすれば元の遺伝子が目を覚ます。
日本人は結婚式などでも遅れまいと律義に早く来るが、誰も来ていない不安の洗礼を受けた覚えは誰にもあります。
約束を守る気配は見えず、相手の事情を考えずに自分が中心。私的なことならまだしもビジネスになると示しがつきません。
ベトナム人は手先が器用で、我々とよく似ているなどと勝手神話が独り歩き。米を作ってきた同じ農耕民族なのに、古来個を押さえて組織を守る美徳が脈々と続く日本人社会と思考は異なり、計画性がなく個人主義的性格はビジネスにも強く出ます。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とは、日本人が世界に誇る感謝と利他の心、思いやりに譲り合い精神。身に染み付いた判官贔屓とか、困った時の一肌脱ぐ浪花節的お人好しも良いが、情にほだされ優しさ=甘さにならぬよう、厳しさとのバランス感覚が海外では大切。阿吽の呼吸など理解できません。
「儲」という字は信ずる者なればこそで、信頼関係構築は何処でも大切な事。しかし海外では往々にして其の時に利するのみ。他人を利するなどは考えないドライな面もあると心得、自己防衛も必要です。

筆者:IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生