ベトナムでは、急速な経済発展により、特に都市部において、生活排水や産業廃水の流入による河川の水質汚濁が深刻な問題となっています。
また、ミャンマーにおいても、上下水道システムの整備以外に、近年、気候変動の影響と考えられる、雨季長期化による河川の高濁化や乾季長期化による河川の塩水化などへの対策が課題となっています。
しかし、水質に関してデータの収集やモニタリングなどを行うには、予算と人材が不十分であり、改善策の検討に至っていないのが現状です。
そこで今回は、ベトナム、ミャンマーにおいて水質分析関連事業を展開している日系企業をご紹介します。
簡易水質測定システムでベトナムの水環境改善を目指す
オプテックス(滋賀県大津市)は、IoTに対応した簡易水質測定システムを、ベトナム市場に本格投入します。
2018年10月から、ハノイ近郊のカウ川において、水質モニタリングをベトナム環境省などと開始。その後、ホーチミンなどの河川にエリアを広げ、システムの実証を重ねるほか、ミャンマーなどにも展開するとのことです。
同システムは、川でくんだ水をその場で専用試薬に反応させ、携帯型計測器にセット。水中の含有物質の濃度を数値で示し、スマートフォンを介してデータサーバーに送る仕組みです。測定時間は、1項目当たり2~3分。専門知識がなくても、簡単に水質の測定を行うことが可能です。
同社は、水質測定モニタリング事業の売上高を、2022年度には2017年度の約6倍となる30億円にまで増加させることを目指しています。
ミャンマーでも水質分析事業を強化する日系企業が
三菱ケミカルは、2017年に、グループ会社のウェルシィを通じ、ヤンゴンの現地水処理事業者と、水処理や水質分析事業などを行う合弁会社を設立しました。
同社では、高度な分析機器を導入し、銅や鉛など検査項目を拡大することで、ミャンマーにおける水質分析事業を強化しています。既に、現地政府系機関などから相当数の分析依頼を受けているとのことです。
競合他社の多くは、高度な分析が必要な場合、タイなどの近隣国に試料を運んで調べています。現地対応が可能な同社の体制は、他社との差別化になるとみています。
ミャンマーでは、水質分析を含めた上水処理技術の高度化も求められています。同社は、水質分析を糸口に主力の水処理事業につなげていきたい、という考えでいます。