ベトナムのコンビニエンスストア① 発展の系譜

2019年7月22日(月)

急速に発展しているベトナムのモダントレード。この所、地場企業の躍進には目を見張るものがあります。今回、コンビニエンスストアを考えてみます。
ベトナムのコンビニは最近と思われるでしょうが初登場は1996年。ハノイにファミリーマートが2店進出しました。この当時ファミマはセゾングループの基幹会社でしたが、まだ和歌山県に1店もなかった未だ成長段階の頃です。
だがセゾン内部の事情で商社に事業を譲渡。ベトナムは間もなく撤退している、こんな歴史が。流通の神様(堤清二氏)らしくない、進出時期を読み間違った失敗。だが無理なかったとも言えます。
この当時は国内に近代的販売手法など普及しておらず、HCM市にCOOP・マートが1区にあるだけ。しかし単に名前だけで、日本の様な法律に基づいたものでは無く普通の量販店。システムなど無く戦略も全く見えてこないなど、流通の段階的発展を遂げていない国では、初めから可能性などありません。
本部は勿論HCM市に進出したかったのですが、政府側の都合で不許可。こういう商業流通手法が解っていませんでした。
量販店にしても然り、店内は薄暗く品揃えは充分でない。PB商品なども無く、僅かに置いてある冷凍食品もほぼ解凍状態。店員は誰も気にも留めない。商品管理など求めることが間違いでした。
これは設備が十分でなかった上に、一般家庭には冷蔵庫など無く財産のひとつ。わざわざ外から見えるように置いてあるが、見栄の象徴。海外からの中古品で、実際には通電していないなど今では笑い草。サンヨーがビエンホアに進出して小型冷蔵庫を製造し始めた頃。中古品が50~100ドル前後の時代でした。

昨年の国内小売総額は150億ドル。年率ほぼ10%以上の成長を見せており、来年には1800億ドルになると商工省は見込みます。これは経済成長が順当に続くため、賃金の上昇により消費は順調。近代的販売手法は急速に発展すると捉えています。中でも地方はインフラ整備と都市化が進み、生活水準があがって購買力が増えているなどが要因で、スピード成長が期待されています。
まずスーパーが進出し、その後にコンビニの図式ですが、外資系が1店あたり10万ドル必要とするのに対し、地場企業は小回りの利く小店舗に金を賭けずに開発できる利点をフル活用、地方への店舗開発を進めているのです。
これを虎視眈々と狙っているのが海外資本。日本でもほぼコンビニは飽和状態。これからの人口減少と人手不足。労働環境は厳しくフランチャイズ構造が限界にきている。オーナー経営者に頼るが高齢化、一日の平均売り上げは60万円程で利益は少なく、本部の厳しい要求で苦しめられ、24時間営業などできなくなる。こうなると積み上げてきた店舗や商品開発戦略や運営ノウハウを駆使、アジアの新興国へ進出するしかないのが現状です。

海外資本が占めるコンビニ店舗数の割合は70%と高いのですが、昨年4月~今年4月で前年比72%(1300店)増加。3100店を超えたと伝いますが多くは地場企業。今後に大きな期待が持てます。
生活様式や消費行動に質的変化が生じ、遅くまで開いているコンビニは消費者にも嬉しい存在。手軽に店内で食事でき若者に人気。国内事業者にも家の一部で営業OK。日本に比べて規模は小さく狭いウナギの寝床。当然アイテム数は少ないが、生産者や履歴、流通チャネルがはっきりした品質管理の確かな商品は回転率が高くて安心。こういう理由で成長率は二桁を超えるとの予想です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生