ベトナムのコンビニエンスストア② 国内外業者の状況と課題

2019年7月23日(火)

流通業界でも急速にのし上がってきているのがVinグループ。不動産開発からスーパーなどの商業分野へも参入。6月からは国産初の自動車製造販売と、何かと話題の多さは事欠ない。今やベトナムで超優良企業に成長しました。
この会社が運営するコンビニがVinmart+。昨年660店舗を出店、82%増と驚異的な成長率を誇り、昨年末に全国の総店舗数は1700店へと拡大。この勢いは止まらず、昨年10月はイオンが資本参加していたスーパーで赤字企業Fivi Martを買収。また今年4月にはShop&Goを買収して87店を傘下に収め、総数で1900店としています。この買収劇、価格は僅か1ドル。大きな話題を常に提供しているのは特筆すべきです。
このVinマート、来年には基幹流通業のスーパーを200、コンビニであるVinMart+は4000店舗に拡大する開発目標。2021年には5000店舗、売り上げを37億ドル(2017年比で8倍)に置き、ベトナムでの絶対一位獲得をする計画で、留まることを知りません。
さらに店舗拡大だけではなく、スマホで買い物が出来るバーチャルショップの実験をHCM市とハノイ市で開始し、全国に拡大する方針。商品を指定された住所に2~4時間以内に配達するというもの。

携帯電話販売グループ会社TheGioi DiDongの傘下、Bach Hoa Xanhは昨年末までに405店を開店(現在は500店舗以上)、売上高は1億8400万ドルと一昨年の3倍にまで成長。黄色い看板が良く目立ちます。
またサイゴンコープ系列のCoopFoodは南部地方に重点を置き展開を図る模様。しかしベトナムの流通企業各社は数の論理を優先。これはローカルならではの現場力を活かして物件を確保、低コストで店舗開発を行っているからです。
表面化していませんが、開発の一方でクローズする店も増えているという報道があり、安易なS&B手法が問題になりかけています。
また企業連合での共同開発、効率的な生産や仕入れ、物流などコスト見直しや、戦略構築や企画・マーケティングまで気が行かずに経験不足は歪めない。農産品等の生産加工と流通販売の一環システム、PB開発等への知力は見えません。                             さて、日本から進出のミニストップは昨年までに800店舗を計画していたにも関わらず、4月現在で115店舗に留まっている。
ファミリーマートは当初計画で来年までに1000店舗の目標を掲げていたにも関わらず、昨年4月~今年4月にかけて9店舗を閉店、151店舗となった。セブンイレブンは2018年に鳴り物入りで初進出。3年後には100店舗、2027年までに1000店舗展開するとしていますが、雲行きは怪しい。
こんな中で住友商事は昨年12月、現地大手企業BRGとJVでフジマートを
ハノイにオープン。日本から輸入した商品を多く扱い、パンや総菜を店内加工。
安心安全をコンセプトに中間層をターゲットとして日本式で運営する方針。
だがファミリーマートも、イオン系のミニストップも、当初の合弁先とは問題があり提携を解消しており、新興国での現地企業とのJV方式での進出は相手企業の基盤の弱さ、戦略や経験の無さで思惑通りに行かないことが多いため、今後どのような独自方針を実施、展開するのか。
この他に韓国のGS25は10年以内に2500店舗開発目標とし、サークルKやB‘sMARTなども店舗を拡大しています。

この所コンビニ利用は増加、月に4~5回と頻度が高くなっており、流通分野で最も成長性が高いと言われています。だが経済成長の結果、反面で賃料高騰がネック。成果を適正化するには500店が最小関門。また回収してから安定した利益確保には数年かかるため資本力も必要です。
店舗開発と並行し戦略の構築と消費者を飽きさせない工夫、企画、商品、品質等のマーケティング力と競争力、差別化が一層の課題になります。目標設定は各社強気ですが、さて実効性はと言えば不透明です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生