オーガニック野菜が売れている ベトナム

2022年3月23日(水)

今に始まったことではないが、ベトナムでも自然農法で栽培した無農薬野菜や気候ゆえ完全に農薬使用を中止できない減農薬野菜に人気があります。
この農法に拘って10数年前から栽培していた日本人も少なからず居て、筆者はこの農場に訪れ研修センターに泊まったことがある。
其処には日本人スタッフ数名の外に若いベトナム人もいて、この農法を学ぼうと合宿生活をしていました。主宰するK氏は日本の国立大学農学部を出た人で、日本での仲間の一人がベトナムに在住する私の友人でもあったのです。
この友人も日本の大学農学部を出たGAP専門家で、ハノイで長く減農薬栽培を実践し、その生産物は日本人の家庭に宅配していました。需要は多いけれど一般市場に出回る事が出来るほどの量は造れなかったと話していました。
この農場には中部山岳地域の地方政府の重鎮が賛同し、農地の賃貸を率先してくれたのです。ベトナム人はこの省の産物であるコーヒーの有機栽培を実践しようとしており何名かは日本へ農業実習生として行き、帰国した人も在籍しました。
また私のベトナム人の友人も、勤務先の新聞社が手掛けたオーガニック野菜を担当し、さらに中部高原の産地を買って農地を開拓中。コーヒーの販売を続けていたが一念発起、家まで売っての起業。有機栽培コーヒーや野菜を始めたいと先の友人と適地を探し回ったのです。肥料とするものも自分の手でやりたいと私も共にHCM市郊外などの土地を見に行きました。
実は彼女は日本企業に居た時の私の部下。恐るべきベトナム人女性の思考と行動力です。他にも何社か、ほぼオーナーだがこの様な理念を持って事業をされている方もいますが、先は明るい。

さてこの様な中、この所急激にハノイでオーガニック野菜の店が出現しているとの話題があり、立て続けに開店したニュースがあります。この内の幾つかをご紹介します。

・Aiko Farm

ハイバーチュン区。11月にオープン。オーガニックの野菜・果物販売。
農業生産管理基準に従い、品質や安全性を確保した農場と提携。当初は自社の農場だけで生産していたが需要が増えて各地の農場と提携して栽培。また日本産などの農産物や加工食品、ノルウェイ産サーモン、アメリカ産牛肉など1000点の商品を扱っている。

・Biohome

カウザイ区。特色はカフェを併設したオーガニックと輸入雑貨店。
認証を受けた潜在ナノの生活用品、ミルク、ナッツ、スナックなどの食品。
日本やヨーロッパ各国から輸入する。当初は2017年にオンラインショップとして開業。だが実店舗で実物をみたいとの要望が多く、店舗で販売する。
商品アイテムはそれほど多くはないが、ゆっくりとくつろげるカフェスペースが人気だとか。此処では主にヨーロッパのオーガニックテイストが味わえる。さらに日本産のオーガニック醤油を使うとか、また環境面に配慮した店作りと、飲み物容器などリサイクル品を使うと言うコンセプト。さらに新しいアイテムを顧客からのリクエストにより更新・開発する意気込みだとか。

・Bon Appet Hanoi

ドンダー区。野菜サラダや欧州風の野菜料理の専門店。週5日はデリバリー。
オーナーはフランスで6年間シェフをして、2020年にオンラインショップを立ち上げ。21年10月に店舗を構えた本格的地中海、イタリア、フランス料理のレストラン。新鮮、グリーン、健康がコンセプトで、自家製ソースを使った減量・持続をテーマにした野菜が主のランチメニューが特徴。

・The Locals

ホアンキエム区。7月オープンのオーガニックの産地直送野菜を使った料理を提供するレストラン。11年間イギリスで修行。食品アレルギーからベトナムの食品に対する安全意識の低さに気が付き、健康的な食生活を発信する。
土壌と水質を検査して農場の食材を使う食品を開発。レストランでは天然調味料と減塩、しかし食材の風味を損なわない料理の提供の外に野菜、果物、米、調味料など安全な食品を販売する。

・アジサイ ダラット農家 サラダレストラン

タイホー区。中部高原ラムドン省で栽培される野菜を使用。10種類のサラダや8種類のベーグルサンドを出している日本人店主の店。宅配も可能。

・フジマート

レズアン区、ドンダー区。
生鮮食品、加工食品、日用家庭用品を扱う。他に日本から輸入した食品などは日本人が管理、指導している。冷凍機械、冷蔵庫、陳列棚などは日本製でトン列なども日本流。日本の寿司、刺身、パン、弁当が充実。新鮮がモットー。

・日系 ケインショク 業務スーパー

神戸物産の提携店。2019年に開業、現在5号店まである。
神戸物産はベトナム企業に製造委託したり、現地の食品を輸入したりしている。
反対にケインショはク日本製品を輸入販売する会社。日本のスーパーで買い物をしている感覚で商品が買えるのが魅力です。

この様に急速に海外から、あるいは自国で生産するオーガニックや農産物に、加工食品、家庭用品や雑貨などが容易に購入できるようになってきました。
これからも増えてゆくと考えられます。

HCM市でも20年以上も前から日本の食品を輸入して販売するとか、日本食レストランに卸しているA社があり、日本語が出来る社長がいました。
日本人にとってありがたい店で、自社の製品を使った日本料理店もレ・タン・トンにありました。
この所HCM市でもこの企業が創った大型店が出来、手軽に買えるのは便利で嬉しい限り。だが僅か20年ほど前、数百人しか在留邦人が居なかった時など、日本から持ち還った醤油などを少量ずつ分け合い、懐かしい日本の香りを楽しんだ、その様な時代がありました。大切にちびりチビリと使ったなど想像できないでしょう。

ベトナム人の健康意識がこの所急速に進んでいて、海外に出ていた人が帰国、先の様なオーガニック店やレストランを開業。生活様式の変化もあり食の世界でも本格的な洋風化が見えてきました。
若い人は伝統的な食事よりお洒落で健康的で安全、こうした食に憧れる。また一方ではファストフード、ハンバーガーやチキン、アイスクリームなどが人気。ある意味、肥満や成人病の原因ともなり得るが大人気。バランスの取れた食が必要です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生