発展進化しているベトナムのIT関連分野

2022年4月12日(火)

ベトナムは一早く先進工業国入りを目指し、これを国家戦略にあげてきました。すなわちもの作りであり裾野産業の育成。これを2020年には到達するはずであったけれど儚くも崩れて修正を行っています。
20年以上も前に作った目標であるが、未達理由は幾つかあります。鉄を造れなかったこと。電力が不足したこと。素材・原材料が造れず輸入に頼ったこと。技術系人材の高等教育と育成ができなかったこと。長年部品産業を育成できなかったので、精密部品や化成品は輸入に頼るしかなかった。宣言してから以降、海外企業を誘致してきたが労働集約産業。即ち組み立て産業が主に発展してきたこと。これは彼らが最も必要とした若い労働力が豊富にあり、しかも賃金が低く絶好の進出機会で、政府の方針と合致したこと。実は海外で学んだ優秀な人材は多数居たけれど登用しなかった。等々があげられると考えます。
こうした中で、例えばHCM市郊外にIT団地を建設して海外に居るベトナム人を呼び戻したとか、日本企業が入居して留学人材を採用した。先進国へ留学した人の中には現地でコンピューターの資格を取り帰国して起業。日本企業から受注が急増した。さらに日本支社を開設するなど、筆者の記憶ではほぼ十数年前からこうした事業が能力のある若い人を中心にして発展してきました。
今回のパンデミックの中で深刻になった製造業の停滞、部品・原材料供給は絶たれたことで、国内経済に大きな打撃を被ったけれど、IT関連の事業分野は成長しており今後に期待し飛躍できると評価されています。
昨年12月22日に発表されたベトナムの情報通信業の売上高。これに拠ると3兆462億VND(約1510億ドル)で、前年比9,6%増となったとあり、過去最高だったとしています。
国内には現在64,000社あるとされ、年々10%増えているが、その殆どが中小企業であるため、新製品やサービス、研究開発への経営資源は限られているとしています。またこの分野で就労する人は既に140万人を超えていて、増加傾向にあり起業意欲は新分野だけに高いが、事業センスや能力的には格差も激しくいずれ絞られて行く可能性がある。
以前紹介したリッケイ・ソフト社(敢えて漢字だと立慶)は10%を超える年間成長をしており、昨年第一四半期はソフトウェアの輸出が著しく20%以上伸びたとあります。この会社の幹部はラム社長始め日本留学組。このほかにも先記の通りだが、日本から受注するとか、実はアニメ動画もCPを使って行っている会社もあるくらいです。ベトナム人も子供の頃から日本のアニメ好きが多く、ドラえもんなど過去には海賊版が人気。本屋で山積みされたザラ紙の訳本を誰しも読んだ経験を持っている。こうした世代が刺激を受けて留学するなど語学を習得して事業を開始。
このR社ではデジタル改革など通常以上の高い能力を必要とする高度で難しい分野でのR&Dを拡大しており、これが功を奏したが、若い世代がビジネス・経営能力を見事に身に付けたとともに、実力を如何なく発揮したと言えます。
時期はまさに小売業の改革期。ベトナムはEコマースが急成長しているけれど、一早くこれに着目しデジタル改革を集中的に取り組んできた結果でもある。
すでに語学や人脈を生かし日本の大手スーパーや小売チェーン店などにも顧客がいて取引額は300万ドルを超えたとある。AIの導入やブロックチェーン等の新たな高度処理でも成功、益々評価をあげています。
情報通信省に拠るとCOVID-19で打撃を受けた企業が多い中で、同社の様なIT企業を筆頭に回復力を示したとし、デジタル改革を推進する情報通信系企業は新たな事業と雇用機会の創出となりました。
この事業分野は極めて高い収益力を誇るが、昨年に国より表彰を受けたこれらの企業76社の総収益は、この業界全体の約60%を占め80億ドルにもなったとあります。このため国内の70%の企業や組織が今年度には事業運営方法に情報技術を応用したものに変更すると予測されるほどだと言います。
これは些か誇張し過ぎているが、程度の差は別にして、顧客と相互利用が増え、これに拠って課題である労働生産性が改善。経済回復を後押しするものと行政は期待しています。
世界や日本で進められているデジタルの応用分野とは先端医療、生化学、物理、農業など広い超専門範囲に及ぶ。これ等がITと結合してこれまで成し得なかった未知の領域に深く踏み込んで解明が期待でき、新しい方法で未来を変えることが可能となり、地球や環境を破壊から防いで人類の幸福につながります。こうした投資は世界全体で2023年までに6兆8千億ドルに達するとの指摘がある。大手FPT社でも世界的変革を見据えて各企業の強みや企業力を生かして国家のためにデジタル変革に取り組むべきといい、同社では率先して加速させるためエコロジカル施策の研究開発を推進。2030年までにはテック・ジャイアントと呼ばれる世界のIT関連企業のトップ50社に入るとの目標を明言しています。このFPT社は大学を設立するなど高等教育にも熱心で、早くから日本市場にも食い込んでおり、先のリッケイ・ソフト社と同様に日本における地位を確たるものにしているが、何時までも下請けには収まらないと考える。あっという間にもの作り国家という目標から構造変革が進みつつある。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生