フェアトレード

2022年5月11日(水)

先日久しぶりに大学の後輩と会いました。彼もベトナム滞在歴は長いが、娘さんの進学を機にベトナム人の奥さん共々COVID-19下で帰国している。
居合わせたのがベトナム産胡椒の漬物なる商品を委託生産し日本で販売を手掛けているO氏でした。www.tsukemonopepper.com
ベトナム農業に関して花が咲くほど話題沸騰、楽しい時間を過ごせたのは幸い。色んな形で事業をされている方はいらっしゃるもので感心します。
ベトナム産胡椒は世界一の生産量と輸出高を誇ります。昨年は約26万トンを輸出したとあるが価格は前年比42%も高騰。
有名な産地はフーコック島で味や香りが最高ともいわれます。高さが3m以上もある胡椒畑の中、未舗装の道路を抜けたが圧巻。彼が依頼するのは中部の山地だが此処でも栽培している。
カンボジアでも倉田さんが20年程前、クメールルージュに畑を破壊され絶滅したと言われた幻の胡椒を復活させ高級品として各国に輸出しています。
肉料理には絶対不可欠。ヨーロッパ列強がアジアで植民地を目指したのはこの胡椒が目当て。金と同じ価値があったと言われるが何とも迷惑千万な話。
ベトナム農業は面白い。まだまだ改善の余地はあるし問題や課題も多い。特に遅れているのがマーケティングであり商品のブランド化。これまでも述べている通り品質や生産管理と併せて開拓余地は大きい。

こうした中、テレビを視ていたらアジアのフェアトレードの事が出ていました。
これまでにもバングラディッシュやネパールなどの貧困世帯を支援する日本人の話が放映され、立派な店舗やデパートで製品が販売されていて人気。販売所が増えたのは結構だが指折り屈指の場所。実際に造られている現場も映されていたけれど比べものにはならない環境。それでも現金収入が乏しい家庭だけに給料が安定しているため励んでいる。何も考えずに多くの方がこういうものをフェアトレード商品とか言われて多くの方が購入する。だが悪く言えば日本人の判官贔屓と善意の気持ちを利用した商いと言えなくない。

・フェアトレードとは何なのか 必ずしも公平ではない

公平・公正な取引が本来の意味する所だが、開発途上国で生産者が作る製品などを適正な価格で継続して買い上げる(あるいは事業を行う)事で立場の弱い人に労働環境と報酬を保証し、彼らの生活を支える仕組みだとあります。
だが企業は正当な賃金を払わずに劣悪な環境で現地の人を雇い、安価な製品を供給するけれど企業は巨利を得る場合もある。また環境破壊や労働者への健康管理がなされないなどの弊害があるとも言う。これを是正すれば安全で品質が良く美味しいなどのメリットがあるとされます。
国際フェアトレード基準というものがあり、事業に参加する企業や個人を対象に機構が定めたもので、対象国での小規模生産者や労働者に関する取り決めがある。即ち対象区域、生産者基準、トレーダー基準、産品基準となっていて、これに沿って事業を行うもので細かい規定が書かれている。
さらに生産された産品には、市場価格の下落があっても最低価格とプレミアムを支払う条件があり、しかも認証のための費用も発生する仕掛けがある。
この費用は製品価格に転嫁されることが容認されており、基準となる法整備が何処の国でもされず、定義が曖昧という問題が指摘されています。
大企業に取り入れられて本来の目的を失い、広報や宣伝に利用されてイメージ戦略になっている怪しげな事情もある。これは消費者を欺くもので貧困地域へ貢献している錯覚させる可能性が高いのは危険。

今人気のベトナム産チョコレート。歴史は浅く品質は高くなかったが、この所良くなってきた。メコンデルタの農村、果実栽培は儲からないとカカオ生産に切り替えた農家もある。ある世界的カカオ企業がこの地に目を付け、委託生産を行なっている。フェアトレードとは言えないが種子、肥料に農薬に資金などを貸し付けて全量買い取る契約を行なっている。此処を訪ねたことがあります。
ところが思ったほどには利益は出ないのが実態。相手は世界でこういう仕事をして来たから何枚も役者が上。カカオだけに甘い話で誘っていたようです。

消費者に誤った認識を持たせ、意外に値が高くても、まあ人の支援もいいか、なんてついつい買ってしまうという事になる。実態を知らないままに正義感から財布が緩むのです。本来の理念や意味を喪失。初志は良いとして嵌まり込み、結果として意外に儲かると、何時しか宗旨替えする人も居ない訳でもない。
曖昧なフェアトレードならば、生産者の立場を明確にさせ、対等の立場で正当な取引をするのが一番理にかなっていると考えるが、現実は簡単な話ではない。

・金品を渡すだけのボランティアは際限がなく続かない

HCM市に日本人とベトナム人の奥さんが設立、公立小学校に行けない子供達を教えていた施設がありました。ある時、支援者が資金を出して部材を購入し、放課後にキーホルダーを子供に造らせて日本で売った事があります。帰国時にハンドキャリー。教会や支援者に買って貰うが利益なし手数料も一切なく子供に手間賃を渡して家計の足しにとの心遣い。汗を流して知恵も出し、評価を貰うのも勉強の内。
またカンボジア、観光地で有名なシェムレアップ。京都の西陣織の職人であった森本さん(逝去)クメール織物に魅了され、自費で工房を造り、自費で材料を集め、織機も作って現地の貧困家庭の女性に仕事を教えていたことがありました。此処には2度行ったが何れも不在で会えず仕舞い。日本人ボランティアと話したが、その時に彼は既にガンに侵されていたそうだが精力的に活動。
この時に買ったのが手織りのスカーフにも使える製品。収益は利益でなく生産する人へ還元。学歴もなく満足できる仕事がない、しかも子供を抱えて何時休まないといけなくなるか分らない。感謝する人が沢山いました。
こんな姿勢が日本の社会で評価されたのは見れば判ります。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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