新型肺炎の影響は観光にも大打撃。名所旧跡、電車内を問わず外国人を見かけません。商店街は死活問題だと騒ぐが調子に乗ってインバウンドに頼り過ぎり、地元客を蔑した報い。伝統的な町屋はどんどん消え、ホテルの新築ラッシュ。買い食いが野放し、街は汚く、値段は上がる。これでは住民が遠ざかります。
庶民の台所であった大阪の黒門や京都錦、金沢は近江町市場も昔の風景に戻り至って静か。安寧の生活が蘇った町内では、ああ良かった、このままでいて欲しいと願うのは何処もおなじ。来日者数を誇示する観光政策は程々に、せめてそぞろ歩きが楽しめる適度にバランスが取れないものかと思いますが。
徐々に個人旅行者が増えてくるのは何れの国でも同じ。気に入れば幾度となくリピートしてファンになります。四季折々の自然美を愛で、見所が多い日本。
歴史文化に興じ慣れ親しむほどに心地よく感性に響いてくる。回数が増えれば遠くまで足を運び、人との触れ合いがディープになりご縁が生まれます。
交通システムが便利な日本は個人旅行にはもってこい。今は簡単に検索できるため、言葉が出来なくても複雑な乗り換えも全く不安が無い。関西は私鉄王国。人気の古都、京都・奈良へは初めての個人旅行でも難なく最も効率的な手段で行けます。また高野山の宿坊も人気。関空からは南海を利用するが、乗り換えはナンカイだが迷わず駅員に問うなど見た試しはありません。
ところがある中国人が利用した交通機関で一番印象に残ったのがバスだそうで、綺麗で速いだけが能ではない。日本のバスは細部に渡って利用者のことを考えた工夫が随所に見られ、感心したとメディアに掲載しています。
これは普通に市内を走っている路線バスの話。我々にはごく普通の情景ですが、彼らにとっては驚きだったとあり、4つの例を挙げています。
その一つは降車しやすい事。降車時にバスの片側が下がるため降り易くなっており高齢者に優しいと感心。バスには低床やノンステップ方法などが普通に採用され、障害者が利用することを前提に乗り降りのし易さが重視されている。車いすの人が乗降に時間が掛かっても日本人は何も言わず、見守っている事にも感動とありますが、世の中高齢化が進んでいるため仕方ありません。
二番目は各座席には降車ボタンがあるので、座ったままボタンが押せて安全。ランプが点灯して音も鳴る、聾唖者や高齢者にも優しい親切な設計を称賛。
三番目は時間に正確だと紹介。遅れたとしても1~2分ほど、少し早く着いた 場合は時刻表通りの運行をするため停車すると書いています。
四つ目は親切さ。運転手はいつもきちんとした身なりをしていて礼儀正しく、次のバス停をアナウンス。困っている乗客には優しく教えてくれると絶賛。
自国の運転手と素質が違うので、利用した時の気分が全然違うとの感想を述べ、雲泥の差としていますが、偶々良かっただけで全てがそうでない場合もある。ある時、時間通りに来たけれど、終点までは交通渋滞で普段の倍も時間がかかったことがあり、運転手は説明をしてお詫び。来日したベトナム人グループの日本語が分かる人も納得。と言うか、連れ回して疲れたのか気持ちよく居眠り。しかしオヤスミが出来るのも安全だという証明かもしれません。
ではベトナムの路線バスは。
私が利用していたHCM市のバス路線。家の近くのバス停からオフィスまではほぼ40分掛かります。一応は国産バスのSAMCOですが、車体から言えば埃っぽいためかボディーが綺麗ではなく、新しくても当て傷があちこちにある。
全部がそうではないけれど、車内に響き渡る騒がしい音楽。サービスの積りか運転手の悪趣味な選曲。気分に任せてのかなり荒い運転はご当地名物です。
バス停、Tram Xe Buytと言うが此処では殆どの停留所は日除けの屋根付き。行き先の路線番号は表示されているが、出発時刻の表示はなく、運行時間帯に何分毎と書いてあるだけなので遅れたかどうか分らず、いつ来るのかアバウト。続けてくるとか、炎天下待ちぼうけも覚悟しなければいけません。
バス停の表示は道路上に黄色の先でジグザグ模様が書いてあります。だが日本の様に止まってくれない。遠目で行き先の番号を見やり、片手を挙げて前後に振る合図をしなければ通過することもあるため注意。
車掌がいる時は座席に着いたとたん料金を徴収にくる。ワンマンの場合は乗車時に料金箱に入れます。釣銭があれば渡してくれますが、ハンドル操作は片手!
料金は15KMまで5000VND(約25円)、殆どは間に合いますが、これを超えると~20キロ6000、~30キロ7000VND。長い距離を走るバスは車掌が降りる所を先に聞きます。渡された切符、これを捨ててはいけません。時々別の係員が乗ってきて不正があるかを調べるのです。
冷房装置があっても完全停止。窓を開けて走るので停留所の音声案内もたまにあるが喧しくて聞こえない。運転手も車掌もボトル持参で好きな時に水分補給。若い人が高齢者に席を譲る事は比較的多いのは嬉しい光景です。因みにシートは破れていてもそのまま。誰も気にしないが、乗り心地は概してよくない。
怖いのは乗り降り。人数が少なければ完全に止まってくれないので、慌てて乗らないといけません。また降りる時はブザーが全て壊れていますから、降り口に行って運転手か車掌に降ります(Ghe TramとかXuong Day)、と言わないと止まってくれません。外国人と気付けば誰かが親切に伝えてくれる事もあるが英語は基本的に通じません。降りる際には横を通り抜けるバイクにご用心。
バス路線図は本屋で売っていますが、複雑で道に慣れないと分かりません。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生