外国人観光客がいかにして避ければいいのか ベトナム観光の罠

2023年8月18日(金)

京都の名刹である大本山南禅寺が観光客に警告を出していたというニュース。境内で参拝に来られた人に、写真を撮ってあげる、と如何にも親切そうに近づいて、撮影した後でハイ1000円と金銭を要求するトラブルが相次ぎ、寺側は注意を呼び掛けるという異常な事態になっています。
もちろん境内なので寺院は一切認めておらず、こんな事件はこれまでに聞いたことなど一切ありませんでした。
煉瓦造りの水路閣がありテレビドラマに頻繁に出て来る撮影スポットでも有名。行ったことが無くてもすぐわかるほどの観光名所で、春の青紅葉、秋は紅葉の時節には何とも言えないくらい見事に美しく映えるのです。
事件は参拝者からの通報で、30歳代の見知らぬ男性から声を掛けられて写真を撮ってもらった後で金銭を要求されたことが6月に3件あり、まさか日本でこんなことがあるとは信じられないとしています。
誰だって声を掛けられた経験はあるでしょうが、夫々旅の思い出にと親切心に甘えるけれどごく普通の光景。海外でも同様で言葉が分からずとも身振り手振りでOK。カメラの時代から、今ではスマホに変わったけれど夫々が楽しんでいるのを見かけます。

同じ6月のベトナムの現地報道でも、この様な記事が掲載されていて、何処の国でも観光客向けに「詐欺師の餌食」になった人はいるものです。
私自身の経験でも、初めて訪越した27年前にHUEの王宮での出来事がある。日本人は相手を善意で見るということが染みついている。またベトナムの通貨VNDが円に対して100桁違うので、このレート換算が瞬時に理解できない、ということに拠るのではと考えます。
自転車を借りて市内を回っていたのだが駐輪場が無い。王宮の午門前の広場に少年が数人遊んでいて見ていてあげるというので木陰に置いた。自転車も結構盗難に遭っているので大丈夫かなと思ったが、戻ってくると無事にありました。
ありがとうとアイスクリームを買ったのだが小遣いを要求。流石にこれは拒否。王宮内では絵葉書を買った時のこと。価格表示が無かったので、聞くと片手を広げたので、5千VNDだと思ったが、釣りを渡さないので5万VNDか!
5万VND?しかし当時のレートでは300円弱、こんなものかと思ったが、物価水準が違うので恣意的に騙されたと知ったけれど後の祭り。
当時は観光客など少なく周りには誰も居なくて私一人だけ。恐らく多少の英語は分かっていても知らん振り。外国人に勘違いさせるためなのか、わざと値段を言わなかった様です。ぬかった。
今では見られなくなったけれど、HCM市内の随所にカメラをぶら下げた人が居て(多くが年配のおっさん)、地方から観光に来た人に声を掛け写真を撮って送る、ということを生業に居たことがあります。何しろカメラなんて高価で殆どの人は持っていない。それでも思い出にと依頼する人は多かったと現在では考えられない風景がありました。だが現地の人からは、彼らは公安で監視していると物騒な話を聞いたこともあります。

さてこの現地報ではインド人観光客。このところ急激にインドからの観光客が増えているとあるが、彼がSNS上で旅行体験を共有し騙されないように警告を発信しているという。まさにインド人もビックリ。
場所は観光施設が集まっている一区、統一会堂の近く。友人と歩いていると、ココナツジュースを売る若者が近づき勧められた。値段を聞くとFREEと云うが、それはいくら何でもと代金を払うと押問答。結局、訳が分からないまま30万VNDを払ったという。これは通常の10倍、為替レート換算が出来ないままに支払った。初めからの演技で、外国人に吹っ掛ける手口だったようです。
このSNSに反応したアメリカ人は、レートを知って置くことで、嫌なら拒否するべきとの回答。
日本人でもカシオを手にしている観光客が居るが、それでもとっさの場合桁を間違えてしまうのです。
さらにこれだけではない。街角にある飲料手押し車が珍しく、横に立って写真を撮りたいと言ったところ快諾。ところが撮影後250,000VNDを要求してきた。彼が断わって去ると追いかけてきて嫌がらせをしたので、面倒になるのは嫌と支払ったという。こういう話は今だと即時に全世界に拡散される。
だが彼らはベトナムがどう思われようが関係ない。自分さえ良ければいいと端にも欠けません。他国のツーリストポリスの様な存在はない。問題が起きれば同業者が集まって来て取り囲む。執拗に追い込むという嫌らしさもある。
ベトナムに居る間、ディープな場所になればなるほど外国人はこういう危険に遭遇するが、これを観光の罠と警鐘を鳴らすのです。
同じような事例は沖縄でもあるが、初めから撮影料を提示してあるので嫌ならやめるだけの話です。

またタクシーも悪質。多くの人が倍近く請求される。最近はタンソンニャット空港で、通報を受けて警察が運転手を逮捕した事例もあるが、日常のことです。
このSNSではGrabをインストールするか、ビナサンかマイリンを選ぶべきとしていますが、日本の旅行案内誌でも同じです。

テトにはメコンのボートの中で、ツアーガイドが被っている帽子を観光客に回してLI XI(リー・シー お年玉)を要求するなど、もはや地に落ちたものです。
他にも屋台でPHOを食べると10ドル請求されて断ったとか、観光詐欺被害は多種多様にあります。
少数の人の行為だと思うし、中には押し付けて来る売り子は観光地に付き物。
下手に追い払おうとして、品物が落ちると弁償しろと食らい付いてくるなんて事もある。

これに付いては、根深い問題だとベトナム側の旅行社もいうほどの酷さ。こうなるとリピーターにはなりたくない。
問題はこのような犯罪には低い罰金で済むためと書いてあるが、反対に外国人がこの様なことをすれば10000万VNDの罰金だと憤慨しています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生