つい最近の事、イギリスのタイムアウト紙に報じられた「女性の一人旅に最適な世界の旅行先トップ9」とかで、ベトナムが6位に入ったとある。因みに日本は4位になっており、1位スリランカ、2位ポルトガル、3位がチェコだというけれど、正直どう考えても良く解からない。一体どういう項目を、どの様な方法で以って、何が最適なの?などを調査したのか、皆目見当が付かない。
一人旅は世界の若い旅行者の間で愛されているトレンドだそうで、ユニークで特別な体験ができる旅のスタイルと書いてある。一人旅をする女性は旅の中で自分を見つめ直し、自分が何者なのか、人生において何を望むかを考える時間を費やすことを重視すると書いてあった。だが目的など夫々違うのでことさら難しく考える必要は無く、発想も行動も自由。国内にしろ、海外だろうが行きたければ出かけるだけの話。行先に想いを馳せ想像、企画、実践するのもいい。近年はSNSなど情報ストレスに日々晒され自律神経失調に悩む人が多い。思い立ったが吉日、深い想いや思考もなく日長ボーとノマドするのが特効薬です。
海外へ行くなら空っぽにした頭で浮世を忘れ、異文化と非日常を思い切り体験。間の採り方、合間などという言葉通り、遊びの時空と距離感を埋めることで、脳は活性化する。其処はごく平凡な生活の場、高級店でなく庶民が行く飯屋、裏店のCAFÉでお茶をお勧め。敢えて言えば即ち、時に人間が必要とする無駄で不釣り合いな「間」であって良く、如何に上手く心を昇華できるかが肝腎要。
殊に日本社会は常日頃、暗黙裡に横並びを求め、突出した能力を煙たがる傾向にあります。これは企業や組織でも殆ど同じ状況だが、こうなると個が埋没し能力を発揮できなくなるとか、若くて意欲のある人を排除することに繋がる。恣意的な同調圧力を忌避し、自由な発想と活動の場を与えることで結果を伴う可能性が高くなり社会的損失を回避、発展に繋げるのはトップの責任です。
また現代社会は情報過多。全く必要のない猥雑な不特定多数から発信される悪質で陰湿な「虚」が氾濫。要は幻影でしかない無体無用で無意味な相手から自分自身を護る積極的逃避であり、生き返るのが旅の効用のひとつかと思えます。
もちろん其処には思わぬアクシデントがあり、時には幸運も飛び込んでくる事もある。旅そのものに物質的な社会的生産などないけれど、また無駄を排除するものでなく、敢えて無駄の効果効用を評価できる、何らかの有意義な文化的価値や精神性をもたらす可能性は個人的経験則からして大きいと考えます。
アジア諸国で女性一人が旅するバックパッカーとすれ違うことは比較的多いが、ベトナムにしろ、カンボジアであっても結構いたと記憶する。煩わしさが無く勝手気ままな時間を過ごせるけれど、まず女性の場合は、特に安全が担保されるのが望ましいと考えるのです。
「虎穴に入らずんば・・・」、と言うが、知らない間に危険な状況に潜り込むと大変な目に遭うのは今に始まった訳ではありません。あまり知られていないが海外で行方不明になったケースは多々あるし、女性でなくても男性でも実際に起きているのは周知の事実。日本女性は古より人気があって高く売れたと記録にあるほど。まして初めての冒険となれば、言葉の問題に旅への慣れが大きく作用するのは違いないが、海外初心者は少し話をして態度や服装など観れば分かるのです。長く海外に滞在するとなれば期待より不安が大きいし、ディープな地であればなおさら日本語で声を掛けられると安堵感に浸りホッ心が緩んでしまうのです。
いわゆる有名観光地で無い所でも落とし穴はあって、獲物を狙っている輩が必ず居るのもの。やたら親切そうな人物が近寄って来て、色々と聞いてくるのがコトの始まり。ベトナムは暑いでしょうと、時には飲み物などを持って来る。話をしている間に警戒心を解き、相手は懐具合をじっくり観察しているのです。その内段々と核心に近づき、ついにお誘いがある。これが一般的なパターンで、引っかかるとしめたもの。馬脚を表すのはまだまだ先。家に招かれ歓迎されたと思っていても、実はそうではなく悲劇のシナリオはこれから。時には睡眠薬を飲まされるとか、ゲームをしようと言われ断れずに乗ってしまい負けが込む。もはや家には鍵が落とされ、外からは分かりません。絶体絶命、袋の鼠だが、こんな危機的状況は結構あり、身ぐるみ剥がされてしまった話も実際あります。
どういう事件が現地で起きているかは、外務省の海外危険情報に掲載してあり参考にすれば良いが、怖いもの知らずでは世の中通らず自己責任。旅行ガイドブックやネットの書き込みを安易に信用するのは危険この上ありません。
日本の治安の良さや安全性の高さは折紙付き。自転車などの周遊旅でテントを張る所はキャンプ場とか海岸が相場。時には見ず知らずの外国人を家に泊めてくれる場合もあるけれど、こうした状況はベトナムで殆どあり得ないこと。
この記事はタイも安全な旅行先とあるけれど、ベトナムの場合、北部のハノイを起点にして南部のHCM市まで全国的に魅力的な観光地があり、山やビーチ、島と言った自然豊かな観光地だけでなく、ホイアンやフエなど悠久の歴史に想いを馳せることも出来る。各地で味わえる最高のグルメも忘れてはいけないとあるが、何処の国でもほぼ変わらない。この記事を書いた会社の人はベトナム全土を回ったのだろうか?本当に現地の事情を理解しているのか?は疑わしい。
因みにまた別の記事にホイアンが観光地として最も物価がチープとされていたけれど、円安の影響で何と東京が世界4位とか。嘆かわしい。一般市民の生活現場を知らない高給取り学者総裁が目の上の瘤。一時凌ぎの為替介入や米国との金利差だけで解決できない日本経済の根本原因もあるが、多様な影響を考慮なんて日銀の生温い姿勢。舐められた国民は更なる困難に陥ると考えられる。
・クアンビン省 世界遺産の国立公園内で新洞窟発見
北中部地方にあるクアンビン省にある世界自然遺産で世界最大規模のフォン・ニャ・ケ・バン洞窟。発見されてからの歴史は新しいが、国立公園管理委員会の発表に拠れば、3月にイギリスの洞窟探検隊と協力して同省内の洞窟を調査したところ、出るわ出るわで22本もの新洞窟を発見した。
さらに追加で3本の洞窟があり、その総延長は3550メートルにもなる。各洞窟の長さは30~572メートル、高さは46~55メートル、深さが32~154メートルあるという。最長はオンザウと名付けられた572メートルとなっていて、2番目は516メートル、3番目が430メートルと広い。
この北中部から海の桂林と云われるハロン湾にかけては石灰質に覆われた地。これまでも数多くの洞窟が相次いで発見されており、昨年4月には総延長11,7キロの22本が発見、2020年にも10キロ強の12本の洞窟が発見されているのです。さらにこれ以上のものが見つかる可能性もある。
単に冒険として洞窟に入るのではなく、こうした学術調査というものは、何が出て来るのか分からない未知の闇黒の空間の中で測量しつつ、動植物や鍾乳石(この段階ではまだ汚れている)を記録して進むのだが、完全に外部とは遮断されていて時間の観念が全く無くなるのです。
時に何週間も洞内で生活するということは、劣悪の環境なので忍耐力や精神の強さ、勇気はただ者ではありません。こんな科学の発展した時代だがまだまだ地球の内部は分からず、未知の物体が存在する。危険を冒してでも世界で初の発見なればこそ探検の醍醐味と意義があります。
・探検には学術的要素があり、文化を調査する役割も持っている場合もある
大学探検部はアドベンチャー的要素が強い所もあるが、其処には相当の技術や度量が要求される。記録が目的で、達成すれば征服感が伴い誇りにもなります。
また一方で部の方針として学術的フィールド調査を得意としているなら、壮大なテーマをもち長年に亘り調査活動を継続。論文(著書)にまとめています。
日本の生活文化の基となるのは中国雲南辺りから円弧状に跨る地域に共通した文化圏の一つ、照葉樹林文化にあると云われるが、提唱したのは大阪府立大学・中尾佐助教授や、立命館大学・佐々木高明先生(後に国立民族学博物館館長)などだが、中尾先生はブータンの農業を著しく改良し、発展させた功績がある。
ある時、同門の京都大学・上山春平先生と高野山大学の夏期講習で偶然同宿、風呂で背中を流しながらこの文化の話をした事があります。こう考えるなら、もはや学術探検というものではなく民族文化学の範疇であり、国家事業にまで踏み込みその国の経済や産業発展に貢献するくらいで、国や地域を超えて人類のあらゆる生活、特に食文化に共通する学問の領域まで踏み込むものです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生