ベトナムのエピソード

2019年12月18日(水)

戦後賠償で日本が建設した中部のダニム発電所建設の際、工事を担当した日本工営で落合さんが一時期勤務した際にも同じ様な境遇の残留兵が居ました。
開高健『ベトナム戦記』の一節にこの作業所に付いての記載があります。
このダムは高原都市ダラットから、海の街ニャチャンに下る途中の深い山中にあり、かつてツーリストバスが休憩する所から僅かに眺められる程度のもので、注意しないと通り過ぎて見逃します。だが当時の電力事情を考えると復興に大きな原動力になったと考えられます。

まさにアメリカとの戦争真只中。ベトナム人作業者の中には南政府軍とNLF解放戦線両方の名うてのスパイが潜り込んでいて、現状は全て彼らに把握されていました。だがダムを破壊する考えは毛頭なく、賢明にも将来、戦後復活のために活用すべきと考えむしろ日本人に感謝し尊敬していた、と解放戦線側が言うほどであったと書いています。
この辺は当時、南ベトナム以下の最貧国であった韓国が、アメリカから多額の金と援助を受け、*傭兵として参戦した韓国軍が、非戦闘員である農民や婦女子に対して行なった筆舌に耐えない無慈悲にも残虐な殺戮と暴行、女性とみれば誰か構わず強姦する(このため数万人ともいう多くのライダイハン=韓国人の混血児を生む結果)、ひもじい食料や家畜など全てを強奪し、家や田畑を焼くなど徹底した破壊行為を繰り返した(これは当時南の政府軍兵士であった友人もあからさまに忌み嫌うほど)真実とは、全く異なる思考回路を日本人は持っていました。
なお9月にベトナム側被害者103名が韓国政府に、韓国軍による民間人虐殺の調査を請願し、補償や謝罪などを要求したが、韓国国防省は被害の実態が無いなどとして拒否。あく迄も虚偽を貫いています。
事実アメリカの公文記録にはその事実は明確に記載されており、完全な証拠として残っていますが、韓国政府は謝罪どころか一切の行為を否定しています。

落合さんと同じく通訳として勤務、山中の建設現場から里に下りたファンランで現地妻と家庭を持っていた沖縄出身の当間さんは、ベトナム人と間違われて解放戦線司令部に連行されます。いくら日本人だといって証拠を見せてもベトナム語が上手過ぎて聞き入れられず「偉い人」に会わせるというだけ。仕方なくついていくと何とその指揮官はかつて彼が教えた部下だったのです。その後は引かないもてなしぶり、しかし司令部としては直ぐ帰す訳には行かず1週間ほど彼はやむを得ず共同生活をする羽目になりました。別れには精一杯の馳走が振舞われ無事に帰還しますが、かつて同志としてベトミン部隊に所属して、フランス軍を相手に勇壮に戦った部下は今度解放戦線の指揮官として参加。
同国人同士が敵味方に分かれて戦闘しなければならない現実。この先の運命、もう二度と元気な姿を見ることが叶わないかも知れない、何ともいえない残酷無比な事です。

ベトナムは親日国だといわれています。政府は日本を戦略的パートナーと位置付け、国が発展するには日本の協力が欠かせないほど重要だと認識しています。日本人の誠実さや仕事への勤勉な態度と努力は誰もが認め、日本製品や技術は世界でトップクラスの優秀だと評価します。今や「すその産業」や「もの作り」はベトナム語にもなってビジネスの場で話されるくらいです。その日本企業に勤めることがベトナム人のステイタスであり、多くの若い人は日本への憧れを持っています。政府は優秀な人材の日本留学を推進し、日本の技術やノウハウを吸収させようとしているほどです。
いくら時代が変わったとしても、進出してきた日本企業の日本人が親切であるにしても、日本のベトナムに対する投資は多く、援助額が世界一で、インフラ整備や必要とする支援や活動への協力が一番高いという事実はあっても、このような歴史における先人の命を懸け、立場を捨ててまでベトナムへの深い支援行動という基盤の上に成り立っている、ということへの認識と理解、畏敬の念はもっとあって然るべきです。
人の心は国境や主義・体制を越えます。それらは所詮人間が作ったもの、個人の胸に秘めた想いを分断したり、束縛したりすることはいずれの時代や体制や為政者でも出来ません。
彼ら日本の残留兵は私欲なく列強欧米諸国から独立を果たすため、名誉や生命まで犠牲にして運動に参加したのです。
アジアの多くの国は親日国と言われています。日本の工業製品は品質が良く、壊れずに長持ちするなど人気があります。また多くの日本企業はベトナム人に人気で、約束を守るとか義を忘れないとしますが、今に始まったのでもなく、
こうした先人の血と汗で評価されていることに気付くべきです。

今や日本はベトナムから実習生や留学生を受け入れないと人材不足は解消せず、業務は機能しない。だが受け入れるに際して現地の状況や文化・習慣や歴史の理解はなく、ビザ発給でさえ簡単ではありません。入国後には悪徳企業の餌食となりまともに給料や休みをもらえない。不足なら解雇と脅される被害を受ける人も居ます。非難され罰せられるのは実習生、法律を守らない企業にお咎めなしはオカシイ。
この様な事も先人が苦心惨憺の末に築きあげた関係を破壊し、日本の悪評をバラ撒く原因になる。今はリアルタイムにSNAで本国にまで情報が伝わる時代。
日本製品の品質が良いなどは一切関係のない。少なくとも現地に在住する邦人には次の世代の人達がつつがなく仕事が出来るよう伝承する責任があり、百年先の日本を見据え我国の位置付けと将来への布石を模索すべきです。

*本件論文は幾つかあるが、東南アジア研究 48巻3号 2010年12月 (京都大学大学院アジア・アフリカ研究科研究)伊藤正子さん著
「韓国軍のベトナム派兵をめぐる記憶の比較研究 ―ベトナムの非公定記憶を記憶する韓国NGO―」が現地ヒアリングもされ、論理的で分り易いと思います。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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