ミャンマーでは、老若男女を問わず、腰から脚にわたり布を巻いて歩いている人の姿が多く見られます。この腰布は、「ロンジー」と呼ばれる、ミャンマーの民族衣装です。同国では、ロンジーは日常的に着用されています。
このロンジー、よく見てみると、色鮮やかで独特の模様が施されています。模様・柄、シルエットは多種多様であり、世情などを反映して流行もあります。
今回は、ミャンマーの民族衣装「ロンジー」と、その模様を付ける刺繍機を製造する日系メーカーについて、ご紹介します。
スー・チー氏も着ていることでおなじみの民族衣装
ロンジーは、日本の辞典にも掲載されており、例えば、広辞苑(第七版)には、「ミャンマーの民族衣装の一種で、男女の腰布」とあります。日本でも、専門店が登場するなど、人気が出てきています。
ロンジーは、男女ともに着やすく、風通しがよくて涼しい衣装です。1枚の布を縫い合わせ筒状にして体を入れ、余った布を腰に挟み込んで着用します。
女性用は、巻きスカートといった感じです。アウン・サン・スー・チー氏が着用していることでもおなじみです。
スー・チー氏は、オーダーメードのロンジーを身に付けています。これを着ていて、きついと感じれば、食事の量を減らし、逆に緩いと感じれば、筋力が衰えないように運動をし、体型を整える努力をしているとのことです。
ロンジー用の刺繍機で市場参入した日系企業も
ミャンマーのロンジー工場の中には、日本製の古い織機が今も大切に使われている所があります。この織機の製造元は、とっくの昔に倒産してしまったもようですが、その後、形を変えて現地に進出する日系企業が現れています。
「TAJIMA」ブランドの刺繍機を手掛けるタジマグループ(愛知県春日井市)は、1996年にミャンマーに進出。シルク製などの高級ロンジーの加工用刺繍機で市場参入を果たしました。同社は、ヤンゴンのロンジー向け刺繍機市場でトップシェアを誇ります。同社の刺繍機は、ロンジーの模様付けなどに利用されます。
ただし、近年、同国北部の州・管区を中心に、中国製の刺繍機が多く入り込んでいることから、同社も、うかうかしていられないようです。
このため、同社は、付加価値を生かした新たな展開を図ると同時に、今後、質の高い刺繍加工の需要が大きく高まるとみて、商機をうかがっています。