ベトナムからミャンマーへの投資が急拡大

2019年6月20日(木)

ベトナムでは、世界貿易機関(WTO)加盟と法整備などにより、2008年以降、対外直接投資が急増しています。
対外FDI累計認可額ベースの最大投資先は、ラオスであり、これに、ロシア、カンボジアが続き、これらの3か国で認可額の5割強を占めます。
ベトナムの対外FDI動向を巡り注目されるのは、対ミャンマー投資が急速に拡大していることです。ミャンマーへは、ベトナムの有力企業が近年、相次いで進出を果たしています。

ミャンマーへの投資国として存在感を高めるベトナム

ミャンマーは、2012年に、ベトナムの投資先として統計に初めて登場。2017年末の累計認可額は、約13億ドルであり、国別で5位の投資先となっています。

また、ミャンマー政府の統計によると、ベトナム企業の投資は2012年ごろから急増し、2018年3月末の累計投資認可額は約21億ドルと、国別で7位へ浮上しました。

このように、ベトナムは、対ミャンマー投資国として存在感を高めてきています。

ベトナム有力企業がミャンマーで積極的な事業展開

ベトナムでは近年、地元企業が、経営基盤を強化するために、海外事業に力を入れています。
ミャンマーにおいても、商機を熱心にうかがっています。

国防省傘下のベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)は、ベトナム最大の通信会社。同国内に、約6500万人の携帯電話契約者を抱えています。2009年から海外に事業を展開し、低開発国を中心に10か国に進出しています。ミャンマーでは、2017年に携帯通信免許を取得し、同国で4番目の携帯通信事業者として、2018年6月からサービスを開始。サービス開始から8か月で、携帯電話契約件数が500万件に達しました。同社は、基地局の整備などに、ベトナム企業の海外投資額としては過去最大規模の20億ドルを投じる予定です。

一方、民間企業では、IT最大手のFPTを挙げておきたいと思います。
同社は、日本、中国、韓国の3か国を中心に、海外売上高が伸びています。近年では、新興国での事業も拡大。ミャンマーには、2013年に支店、2015年にソフトウェア開発センターを開設しました。2017年には、ミャンマー計画・財務省と、公共財政システムの整備などに関する大規模ITプロジェクトの契約を締結。契約額は1130万ドルであり、ミャンマー政府によるITプロジェクトの中では最大規模です。

ASEANでの事業展開を重要視する日系企業にとっては、国際化を加速させているASEAN企業の動向を把握しておくことが肝要となるでしょう。