ベトナム大学界に新風を吹き込めるか。日本との協力で生まれた「日越大学」

2019年7月20日(土)

ベトナムでは現在、高等教育の質的な向上を目指し、外国の投資家や、外国の威信の高い大学による参入を積極的に進めています。最近になって、フランス、ドイツ、日本などの外国と連携することにより、大学の共同設置が進んでいます。

そのなかで、日本の協力を受けて設立された「日越大学」は、ベトナムでの先進的な大学モデルとして、発展しつつあります。

日越大学は、ベトナム国家大学ハノイ校の7番目のメンバー大学として、2016年9月に開学。現在、ハノイ市内にキャンパスを置き、修士課程のみを開設しています。

専門分野だけにとどまらない、厚みのある教育を実践

ベトナムの大学では、伝統的に、専門科目の学習が重視されてきました。近年、多くの大学において、経営学、国際法、情報学など、「市場が求める」分野の人材をどれだけ輩出できるか、という点から、学生の教育・養成にしのぎを削っています。

これに対して、日越大学では、目まぐるしく変化する社会状況に対応できる、幅広い視野を持つ学生を育てるため、文理横断型の教育プログラムを提供しています。
プログラムは、地域研究、公共政策、企業管理、ナノテクノロジー、環境工学、社会基盤、気候変動の7つから構成されます。東京大学や大阪大学など、日本の大学の協力のもとで、カリキュラムが組まれ、日本人講師が多く派遣されています。

学生は、サステイナビリティ学などを共通科目として、文理融合的な視点から先端的な学問体系を学び、専門分野を修めることを目指しています。

日系企業に就職する卒業生も

2018年7月に、第1期生の58人が2年間の修士課程を修了し、開学以来、初となる卒業式が行われました。

卒業生のうち約6割(34人)が就職。日系企業に就職したのは12人で、このうち5人は日本本社での採用となり、既に日本国内で勤務を開始しています。
また、他大学の博士課程への進学者は10人で、このうち8人が、京都大学などの日本の大学の博士課程へ進みました。
こうした進路状況は、ベトナムの新設大学としては、優れた結果と考えられます。

卒業生らは、今後、日本とベトナムの関係の架け橋として、産業界や学術界での活躍が期待されています。

同大学は、学士課程や博士課程も開設する予定であり、将来的には6,000人規模の総合大学となることを目標にしています。