東南アジアでベトナム女性の社会進出は最も高く、就業者全体の48、5%になるとの報告をADBアジア開発銀行とOECD経済開発機構が発表しました。
また公共部門でも48、1%を占め、調査した域内の水準を上回るとの報告が
出されています。
ベトナムでは2009年から2016年までの期間で、総雇用に対する女性の割合は48、5%とアセアン平均である42、7%を上回っており、公共部門ではこの期間に46%から48、1%に上昇し、アセアンの2016年平均値46、9%を上回っていることが分かりました。
これを裏付けるかの様に、外資系でも国内企業でも工場で働く女性は何処でも圧倒的に多いのが分かります。また急激に進む産業構造を見ると、このところ増えているのがサービス産業への就労機会が増加。工場で働くよりも仕事環境は良好、女性に向くオシャレで可愛い仕事が増え転職しています。これで経験を重ねれば将来に向けて何らかの形で起業出来ると感じる魅力があるわけです。
女性にとって憧れは高層ビルでのオフィス勤務。スーツを身に纏いパンプスを履いて颯爽と歩き、高級レストランで食事が出来る姿が脳裏に。しかし外資系企業に勤めるには外国語能力が必要。即戦力として高額給与が得られるので、大学卒はもとより夜間に勉強に行くなど努力をしています。沢山給料を貰って弟妹を学校に行かせるとか家を買うため起業してオーナーになるのが最大目標。多くの人にとっては高根の花だが、それでもめげずに夢を実現した人を知っていますが業績を拡大中。また知人の娘が韓国の航空会社CAにスカウトされ、給与は千ドル以上と親の数倍、海外にも行ける。地上職とは大きな違いでした。
周りを見てもベトナム女性は能力が高くて強い人が多く、広く活躍しています。
HCM市に若手経営者のビジネス研究グループがあり、何度か会合に参加しました。ほぼ半数は女性で専門学校を創った人、雑貨を扱うなど様々なジャンルに及び、積極的な人が多いと感じます。また日系企業で活躍する役員や管理職もいて各人が遺憾なく業績に貢献している姿を何人も見るにつけ、成功のキーは女性にありと思えます。実際に私も毅然とした態度で助けられた経験があり、如何に優秀な女性スタッフを持つかで命運が左右される可能性もあるのです。
日本と比べて活躍できる素地がひとつにはあると思います。それは預かり保育。朝7時に子供を預け、残業せず夕方6時頃に母親が迎えに行く。共に仕事をした仲間が毎日実行、近くの幼稚園で顔を合わします。
現地事情を見て明確に言えること。日本でも女性の就業世帯が増えているとの数字がありますがまだまだ不足。安心して預ける所があり、働き易い社会環境や企業制度を変え性差を排除。埋もれた能力が再び世に出れば社会と経済が活性化することが実証されています。
10月から保育園・幼稚園などの無償化開始だが園を増やす方が先決のはず。
一億総活躍化なんて掛け声だけの日本。国会議員も、企業の女性管理職も未だに少ない日本。それに現場の厳しい実態を知らないお役所が元凶です。こんな状態が続けば日本の未来は暗く、アジアの新興国に抜かれる可能性だって否定できないのです。
しかし、社会進出が増えると、一方で仕事が面白くて結婚年齢が遅くなるとか、結婚する気がない、あるいは離婚が増える現状。同年代の男性が幼く頼りなく思えるなどが実際にあるのです。これが外資系企業や外国人社員と比較するともっと格差が大きく、バイバイされる現実をみてきました。
さらに地方から仕事の多い都会への人口流出が止まらないなどの問題が増える傾向も否定できません。
また高学歴の人や、海外留学(大学学部・大学院)をする人も急速に増えています。さらに政府は海外との経済連携協定を積極的に締結、外国資本の導入を促進し、こうした中で地場企業の強化を図っている最中。ベトナムのビジネス社会がドンドンと変わろうとしているのは実情です。こういう傾向の中で女性の社会進出と活躍は今後も増え続けるであろうと考えます。
何処の地域や社会も女性は男性よりも早熟で能力の開花は早く、しっかりしていて語学能力ははるかに高い。さらに一般的には現実的。過去に縛られ、どうなるか分らない明日を夢見るより、まずは着実に地に足を付けて今を頑張れる。辛抱強く、家族を愛する働き者のベトナム人女性を見ます。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生