プノンペンとシェムリアップ ニ都物語 カンボジア④

2021年4月14日(水)

・街はどんどん綺麗になっている

この街では道路整備が行なわれすっかりきれいになりました。10年ほど前は工事中が多く、土埃が舞っていました。中心部の殆どが舗装され歩いても砂埃が立たなくなり観光や買い物にも便利。店も綺麗になってホテルも次々建設され訪れる外国人は増えています。

・シェムリでの過ごし方

まずアンコールワットにアンコールトムは定番。忙しい日本人観光客には一日周遊見て周りコースでまず充分。なかでも圧倒的人気を誇るのは、長い年月を経て巨木の根に建物が包み込まれたタ・プローム。
少々足を伸ばして幾つもある遺跡群の中で必見は「東洋のモナリザ」。この小さく微笑を湛えた踊り子の浮き彫りがあるのはバンテアイ・スレイ。保存のために間近で見ることはできませんが感動的な対面。名も無き彫刻家の作とかだが、クールな眼をして今にも抜け出しそうな妖精。惹きつけられる魅力があります。

遠く足を延ばすと季節によって面積が変わる巨大な恵みの湖、トンレサップ湖では水上生活を垣間見ます。この地でも若い日本人が魚の研究をしていました。こんなところにも 日本人!地道に活躍する日本人は何処にでも居て感激。
これで一通り見学コースをこなせるが、それでも3日間は必要でしょう。
これらの場所へ行くにはツアーを利用するのが安全でリーズナブル。タクシーは無いので、個人で行くとか遠方の遺跡は車をチャーターするしかありません。幾つか日系旅行会社が営業していますが、中でもクロマーツアーは日本人経営。格安のゲストハウスとレストランも経営し、少人数であれば遺跡見学もトゥクトゥク(三輪)利用が安くて便利なので、お兄さんに気軽に頼むといい。だが少し前からベトナムのAPEXが入り、ツアー料金も上がったのが悔しい。

・市内をふらりと見て回る 盛沢山に愉しめる食と文化

人気は市場と周辺のお店。なかでもパン・ケーキ・アイスクリームと飲み物の「ブルー・パンプキン」が美味しい。店のスタッフは皆若く英語を話せて親切(日本語不可)。いつも外国人で満員だが、イート・インが出来て夕方になると半額になるのが嬉しくつい買い過ぎ~。
中国料理は木房子餐庁がいい。若い子が元気で愛想よく親切、ビールのおつまみ(揚げた塩味ピーナツ)お代わり無料。日本食レストランも結構あって事欠かないが、此処まで来て刺身に寿司とは無粋。
旅の楽しみはやはり現地のアモック料理。夕時は観光道路に屋台が出ますから、体験するのが旅の基本。お土産は日本人が経営する店が増え煎餅やクッキー、手造り石鹸などを作って販売中。クラタペッペーもあります。日本人の倉田さんが絶滅寸前の木を育て上げ、復活させた完全手作りの高級カンボジアン胡椒。長年の夫唱婦随、苦労が実り品質の良さでヨーロッパへ輸出するほど。HCM市盆踊り大会にメコン太鼓を披露するためお越しの際、実行委員会メンバーが初めて頂戴しました。
店は見るだけでも楽しみがあります。全体的には少々高いかなという印象だが、迷うのならサッサと買うべき。土産の鉄則、後で悔やんでも仕方がない。
疲れた体にはマッサージ、これはHCM市よりも丁寧でリーズナブル。

エンターテイメントはやはりアプサラ・ダンスショー。クメール王朝時代の生活ぶりを表現。優雅さと滑稽さを兼ねていて、男と女の間はいつの世も追いかけすがるのは男、袖にされるのも男。貴重な民族文化体験なので見ておくべき。
宿泊先で予約OK。ブッフェを食べながらショーを見学する所は3箇所ありますが、大体内容は同じで中でもクレーンⅡは大規模。団体が多くて前列の席でないと見辛いので早めの申し込が正解。値段は少しずつ上がっています。
ここのスタッフは素朴で親切。おばちゃんは日本人と見れば「たこやき!」、といって愛想よく焼いてくれる。タコは無いけど丸い形はぴったりのイメージ!微笑み返しで幸せな気分になります。

また影絵(スバイク)もカンボジアの伝統芸術。元々は見世物ではなく、鎮魂と神への祈りという儀式でした。内戦で一旦途切れたのを復活させた人がいて、音楽、切り絵や楽器の作成、振り付けと、このような立派な御仁は何処の国にもいらっしゃるもので敬服します。シェムリでは村の身近な民話なども取り入れたスバエク・トーイ、という影絵が3箇所で見ることができますが毎日公演しているのはバイヨンだけ。これも早い目の予約が必要。

暑くて喉が渇くとアンコール・クッキーで有名なマダム・サチコの店が近所に。ここは日本女性オーナーが、職のない若いカンボジア人に仕事を覚えて自立させる目的で起業。ツアーバスは必ず此処に立ち寄り、日本人客がお土産にどっさり買い込んで貢献しています。抹茶白玉小豆氷なんて懐かしの故国のお味も異国で楽しめ、冷たいマンゴジュースで暑気払いはお勧めの一品!
ボランティアに興味があれば子供が生活しているところに行くことが出来ます。予めツアーデスクに聞くといいですし、市場の近くには小児病院があってここにも日本人看護師が勤務していて献血などの受付をしていました。

・クメール織物

「クメール織物研究所」が市場の南東にあり、ここ迄道なりに歩いても僅かの距離。京都の友禅職人であった森本さんが現地に住みついて伝統織物を復活し、糸の仕入れから織方まで指導。幾つかの記事などで紹介されているのでご記憶の方もあると思います。値段は少々高いのですが本物の魅力。日本で纏っても充分フィット。現金収入や仕事がない田舎の女性や寡婦にこの技術を習得させているのです。見学は自由。が、地方回りでなかなか多忙なご本人には会えず終いで惜しくも逝去されました。
まだ建って10年ほどの国立博物館は見る価値充分。王様の別荘がある道路の北側にある大きな建物。すぐ判ります。

・アンコールワット

いよいよ遺跡見学。好きな人は1週間、2週間と滞在。一般的にはツアーで行くとアンコールトムとアンコールワットは一日で見学は可能。
ゲートで入場券を買いますが、1日、3日、7日券があります。以前はスッと入れたが、人気が観光客を呼び早朝から大勢の方が並ぶので、早いうちの到着が良い。遺跡の中も各国からの観光客で一杯になり順番待ちブースも。個人で行くなら団体の後についてちゃっかり説明だけ聞くのも手。見学すべきパワースポットなどはガイドブックで確認すべきです。
雨季には傘以外にレインコートが必需品。雨のアンコールの塔への見学は、急傾斜の階段があって足元が滑り易く片手では大変危険。

アンコールワット沐浴場脇の柱に400年ほど前の日本人の墨書(落書き)がありますが、こんな時代に遠路はるばる母親の菩提を弔うためにやって来た事に感動。目を瞑ればその情景が浮かびます。家光の家臣がインドの祇園精舎と間違ったとの説?これは眉に唾。
どうしても行きたい遺跡があればトゥクトゥク利用がグッド。オープンエアーなので外の景色が丸見えで風もまた心地よし。安くて時間も気にならないし、運転手も行くべき場所を良く心得ていて何処がお勧めか聞くのもいい。
私はこれを利用し人ごみを避けて、未完成のタ・ケウに寄りました。
この時に出会ったのが①にある少女。権勢を誇ったクメール民族の末裔なのか、心に残ります。旅の一番の想い味は超異文化体験と人。

・トンレサップ湖

トンレサップ湖は雨季になると4~6倍にも膨張し、水深も2~3mが9mに達します。淡水魚やエビの宝庫、ここには水上生活の村があり交番から郵便局までが湖上に浮かんでいます。
また100万人とも言う可成り多くのベトナム人が紛争後もカンボジアに居住していて、ここでも漁で生計を立てていますが、彼等の子供も水上のベトナム人学校に通っており、先生はベトナム人、ベトナム語での教育です。
飛行機で来ると上空からはっきりと湖の全容を俯瞰でき、そのスケールは驚きます。

カンボジアはUSドルが普通に通用するので現地通貨と交換する必要がなく、もらった釣銭のリエルで小物を買えば十分。他には使い勝手などありません。
(完)

*状況が変化し、店の移転、閉店や値段が上がるなど旅行の際は再確認が必要。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生