・総人口1億人達成へ
現地報に拠れば、この4月中旬には人口が1億人を超える見通しとあります。
ニュースでは誰が1億人目?と早々にタイトルを付けて報じている程なので、どれだけ待ち望んでいたことでしょう。当初の予定から達成は若干ずれ込んだけれど世界で13番目の1億人を超える国家となるのです。
人口が増え続ける利点は、それだけ経済成長も右肩上がりの傾向が当面続くであろうし、生産人口も安定的に増える可能性がある。また中所得国への移行に拍車が掛かる。こうなれば内需が活性化して消費額も増え、巨大マーケットとしての大きな魅力が増すため外資系企業の進出増加にも繋がります。
耐久消費財にしても一家に一台にあれば充分というもので無くなり、少々高価でもデザインや高品質製品を選ぶ人が増えてくる。日本が過去そうであったけれどエアコンは各部屋、TVも個人に一台などは普通になって行く筈。さらに食生活においても伝統的な料理から、これまでそれほど多く消費してこなかった牛肉や乳製品などが急速に食卓に上ることも考えられます。
以前コラムで今後この食品分野に商機が高まるとしたが、最近の報道に拠れば日本の商社が地場最大の乳業メーカーであるビナミルク社と合弁で、日本式の牛肉生産施設を着工したのはその具現化です。
しかしかつてのように平均年齢が20歳台では無くもはや30歳半ばへ上昇。高齢化社会へ突入して人口ボーナスのメリットが薄れてきたとも云われるが、それでも我国や韓国が直面している超高齢化と少子化問題、人口減少に比べると見通しはまだ明るいと考えられる。
これまで書いた通り多くの課題があり直ぐに解決できるものでは無いが、着実に歩を進めて行くであろうと思えます。
差し当たり国内で早急に解決すべき問題である金融と不動産に関して、業務に関係する専門家の意見はバラバラ。これと言った有効な対策など出てこないが、成るべくしてなった感は強く、後遺症も大きく回復へ相応の時間が掛るに違いありません。また今年のテトが終わってから、現地で報じられていることは、必ずしも企業の業績は回復していない状況にあり、さらにインフレ懸念が要因で消費者の財布の紐が固くなったとも報じられている。また世界的にスマートフォン販売は芳しくないが、世界の産業構造の変化にどう対応して行けるか。
もう一つの懸念材料は今年に起きた国家主席の退陣劇。これがどのように展開するのか不透明感は払拭できないままです。
この様にこれまでの経緯から社会や生活で変化が起きるであろうと推測。また異なった見方をするべきと考えるのは必然と言っていい。
・日越外交関係樹立50年
おりしも今年は日越外交関係樹立50周年であり、双方で記念行事が催される計画もあります。
ベトナムのチン首相は3月7日に開催されたこの50周年記念日越ハイレベル経済セミナーに出席し、日越間の経済関係は相互補完状況にあり、新たな経済分野で潜在的に多くの協力余地があると秋波を送ってくる。
これは即ち日本企業に対し投資促進を要請するとの解釈が成り立ち、チン首相が日本企業に向けて発信するのは、インフラ、エネルギー、製造、ハイテック農業、スマートシティー、金融サービス、デジタルトランスフォーメーション、グリーントラストフォーメーション、循環型経済、気候変動対策等。ありとあらゆる新分野で支援を得たいとの要望を表明している裏返しでしかありません。
さらに日本が質の高い人材育成、効率的な管理下で科学技術を応用させる事と
研究開発を促進。ベトナムがグローバルバリューチェーンの中心となるように協力を求めた、と報じられているが何とも盛りだくさんな内容。
要するに何でもかんでもお願いスタイルがちっとも変っていないのは、いつもの通り。だがベトナムとして何が提供できるのかに付いては触れていません。
確かに日本企業は今後1~2年でほぼ60%の企業が現地事業を拡大する計画としており、一方で日本に滞在するベトナム人は約50万人にもなっています。これが補完作用とか互換というべきか、そうでないのか思案のしどころだが、本来あるべき姿でない。価値観を共有する事が前提条件で、必要とする技術やノウハウの相互利用や提供など明確な目的を持った人材や技術・研究交流など高度な次元と解するが、明らかな一方通行では補完どころの話ではありません。
日本の政府開発援助(ODA)は30年以上に亘り継続されてきたベトナムに対する各種支援であり、その総額は有償2,7兆円を超え、無償資金協力は約千億円、技術協力は1800億円に達しています。これは計画投資省に拠ればベトナムに対する二国間援助の30%以上を占め最大とされている。
ノイバイ空港、タンソン二ャット空港という二大空港、カイメップ・チーバイ港、ラックフェン港などの港湾施設、ニャッタン橋、カントー大橋などの橋梁、大都市での地下鉄や高速道路建設など、ベトナムにとって重要なメガインフラ開発を整備、さらに人材育成など同国の要請に拠って行って来ました。
投資に付いては約5000件もの案件、総額700億ドルの投資を行ってきたが、これはベトナムに投資している141ヵ国中で3位となっています。
ベトナムが日本に対する投資を挙げると、104案件、投資総額は1920万ドルとなっており、ベトナムが投資する国79ヵ国中、36位に甘んじ、その格差は歴然としています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生