元国民議会経済委員会副委員長であるグエン・ドゥック・キエン博士は、今年ベトナムは8~8,3%の経済成長を遂げる見込みだと経済紙に語りました。
また2026年1月、一億人以上のベトナム国民は二桁以上の経済成長の幕開けを目撃し、国は新時代へと向かっていると述べたとある。
さらに現在の公共投資総額を考慮すると、今後数年間で二桁成長する可能性も充分にあると指摘し、公的投資は民間投資に回すべきとした。
ホー・チ・ミン大統領の「変わらず、常に変化する」という哲学を持ち出して、何かを手にし、安定した経済を築かなければならないが、そのためには第一に気候変動や、環境と調和して生きると言った外部的要因、即ち良い家と基盤が必要だが、それにはハイテク危機の設置、屋上エネルギー設置(太陽光発電)などを検討して環境保護を考えようと訴えた。なにやら話題がマクロ的経済から‐分り易い例を挙げたいのか‐個人の為すべき方向へ行く気配になっていて、自国の経済実態を本当に分かっているのか、と思える印象を受けます。
そこで重要なのが党の第14回全国代表大会、新時代における国の将来の発展を決定付ける政治的イベントだと語っているのです。この大会のテーマはとは、「党の栄光ある旗の下、2030年までに国家発展の目標を団結し、全会一致して実現せよ」だが、国家興隆の時代における戦略的自立、自身、そして強い進歩、平和、独立、民主主義、繁栄、文明、幸福、そして社会主義への着実な一歩のために、これでもかと盛沢山なプロパガンダを羅列している。
今年の最初の9カ月間で、経済成長は7,85%に達し、公共投資は継続中。
鉄道、高速道路、空港の建設、フンイエンスタジアムの建設も進めるベトナム。
この様なインフラ整備建設は巨額資本を投入しなければならないが、これらでGDPを1~1,2%上乗せする効果がある。従がってこの様な状況から今年の成長は8~8,3%の成長が見込まれる。今の公共投資の総額を考慮すればこの先数年間で二桁成長を果たせることも充分にあるとしたのです。
そのため、党大会の成功と公表された決議を見直さなければならないとして、今年2026年は国民が果たさなければならない課題は非常に重いものがあるというのです。
この様にベトナムの目標は党指導部と全国大会で決められるもので、決められたことに対して国民は守らなければならない。成長のため国家プロジェクトがかっかとしてGDPを押し上げるけれど、常に変化するというホー・チ・ミン哲学を実践する。という。だが経済成長は彼らの自主的な努力ではなく外国の支援と外資系企業の進出の結果であることを誰もが知っているのに、社会主義と党の指導によるものとすり替えている。これがベトナムの真の実態なのです。
・ベトナムの輸出入の課題と方向性
別の経済記事に世界の貿易が強く変動しますます競争が激化。また絶えず変化する国際市場のルールの中で、輸出入はベトナム経済が成長する原動力の重要な一つとして認識される。だが持続的で高い成長率を維持するためには輸出は規模に頼るだけでなく、新しい手法、持続可能な基準、付加価値の向上を伴う開発モデルへ強くシフトする必要があるとしている。
即ち国内における現状を正しく認識すれば、地場企業が為す役割は少ない。
農水産業や工業製品にしても高い付加価値がある輸出品を造れず、その多くは海外企業というわけだが、これは正確に伝えていません。
産業貿易省輸出入局長ソン氏は、過去5年間でのベトナムの平均輸出成長率は約10%になっており、世界の貿易回復の遅さや多くの不確実な中で高い成長率を保持しているという。特に2023年以降、世界有数の輸出国である20ヵ国と貿易し、ベトナム製品を国際市場において規模と地位を向上させてきた。
規模の拡大だけでなく、2016年から現在まで10年間連続して黒字を維持、このため安定した外貨保有で為替圧力を軽減し、金融政策管理の柔軟性を生み出している。ベトナムの開かれた貿易は国のマクロ経済を安定し維持するため重要な要素だとしている。
特に2025年は、最初の11カ月間で輸出高は4302億ドルに達したが、前年同期比16,1%の増加。また通期では4700億ドルを超える見込みで前年比では16%の増加となる。これはベトナムの生産能力、サプライチェーンそしてベトナム企業の能力が大きく進展している事を示しているとした。
しかし勘違いしてはいけない。如何にもベトナム企業の能力が向上したためと言っているけれど、そうではない。これまでと状況は殆ど変わらず、輸出する製品の75%以上を製造しているのは進出した外資系企業である状況に変りはないのです。現地記事にはVIN社が製造するEV車を評価し、このところは近隣国での販売の成果を報じているけれど、実態は赤字の垂れ流し。EV車に急速展開したけれど、大きな国際的な流れはレシプロやハイブリッドに戻りつつある状況。辛うじて国策と国の支援に拠って生産と販売を国内で出来る限り行おうと必死。まるで大本営発表の様な雰囲気でしかありません。
輸出される工業製品は、ベトナムから輸出した事には違いないが、実態は外資企業と管理者の許、コントロールされた工場で、外国の機械を使い、ベトナム人の労働者が作ったに過ぎないのです。
これに関してさる現地で長い間事業を行っている在住者は、この所ベトナムの事情が違って来ているとしています。
今は高齢化が急速に進行中。2007年にはWTOに加盟、さらに外資企業が国内で事業活動を政府が緩和した結果、投資を呼ぶことが加速。これに味を占めて開放政策を進め、また海外の主要国・地域との経済連携協定を積極的に結んできて、これに拠る貿易収支が大きく改善し黒字が積み重なったのは事実。そしてベトナムへの投資が向いているとした理由は、戦後の貧困の中、勤勉で真面目な国民性と安価の労働力。だが経済成長の結果、豊かになり現在の若者はそうではなくなった。思考回路はもはや我々レベルであり、賃金も初任給が800万VND(約4万5千円)もはやと安価ではない。
実際にビジネス現場で彼らと向かい合って日々仕事をして分かる事は、労働力と質は確実に低下しており投資に向いていたのは2018年頃まで。国内経済は実際的に不動産バブルの崩壊が重なり、スピード感はなく表向きの数字とは裏腹に内需が低迷とある。遅れているのは地場企業と政府もそうかも知れない。
多くの若者が海外に留学する機会も増加した。すると先進諸国のグローバルなビジネス習慣、企業の在り方の違いに驚く。さらに就職して生活をすれば母国との様々な格差が分かってくる。そうなると自国で起業してもビジネスの相手は自らの語学力と経験を活かして海外との取引が多くなる。能力のある人と、こうした人達との格差は拡がる一方でしかない。これに対して地場企業は何ら変革が出来ないまま。そうなれば企業格差も大きく広がるのは自明の理です。
筆者はこれに関して生の実態を見て来たし、今も交流がある団体やその組織の方々と自国しか知らない人、実際にこの差を体感している。
・いくつもの要因が重なって、増える多くの新たな課題
現地経済紙が報じる所だが、COVID‐19、トランプ関税、対立など国際的に世界の貿易環境は急速かつ予測不可能なまで変化している。さらに世界各地で勃発する戦争や紛争、貿易の分断に、サプライチェーンの変化、そして多様な形態の保護主義の増加がこれまで普通にあった成長を狭くしている。
また開発、炭素排出制限、グリーンビジネスなど新たな基準が必須条件となり、力の弱い輸出業者に大きな圧力となっていると、懸念を表している。
確かに地場中小企業はこれに耐え、改革するだけの経営力に資力、人的能力、技術力はありません。また大企業であっても、さてどれ位のものなのか?
記事には国内を見るとベトナムの輸出入は構造的なボトルネックがあり、依然FDIセクターに大きく依存しており、地場企業は世界の生産、流通チェーンから大きく遅れていて高付加価値生産に深くは関与していないとする。
また多くの主要輸出産業は輸入原材料や部品に大きく頼っていて、ベトナムの経済は外部要因やサプライチェーンの混乱リスクにさらされている。
また筆者が指摘してきた通り、ベトナム企業はデザイン、国際マーケティング、ブランディング能力が限られている。さらに技術的レベルは世界的にみて低く、グリーン基準、ハイエンドの商品は確固たるものではない。そこで政府は外資系企業の進出条件に技術やノウハウ移転を求めようとするが、余りにも単純で幼稚な考え。外国支援や外資企業に頼るばかりで自主努力や開発が出来ません。
これらの要因があって輸出上の名目上の統計数字だけ伸びているが、地場企業の付加価値輸出なんて何時まで経っても低いままとなっているのが実情です。
国産自動車なんて酷産車、南北新幹線計画の地場企業参入にしても、基本的で初歩的な鉄道関連の技術力さえない状況。単なる国民への情宣活動でしかなく、如何にも先進国に発展したぞ、と世界にアピールしたい見栄でしかありません。
これらはコラムにしていたが、政府がえらく熱心に進めようとしているけれど、確たる国産技術や研究成果にノウハウは全くない。原子力発電所の建設計画が復活しが、従事する技術者とかオペレーション要員は極度に不足。またITやAIにしろ、掲げる目標に対して必要な人材は常に不足しているとの現地報。
それどころか工業系の高等学校教育は無く、大学の工業や農業系の専門課程も先進国からして相当遅れていて、支援受けなければ進出企業に就職しても役立たたないのが実情。英語教育を小学生、将来的に幼稚園から始める計画となっているが、教諭が必須とされる条件のピアノさえも弾けないのに?何処の国の役所も絵に描いた餅を喰っているのか。何かに付けて基礎ができていません。
・輸出を成長するため再編の要件とは
戦略・ブランド・競争研究所のタイン所長は、国際貿易を充分かつ正確に理解する必要があるとした。どう言っていいのか分らない程だが、地場企業が先に持つべきは企業理念であり、経営者は自身の経営哲学を持つのが一丁目一番地。
競争とか戦略、製品のブランディングが大事だとするが、地場企業は社会主義経済下で何処まで認識し、理解できるのだろうか。と筆者は疑問に思える。
それはともかく、彼は輸出入とGDPとの関係を比較してきたなかで、輸出による仮に輸出が4500億ドルとして、国内の付加価値が20%あるならGDPへの貢献は900億ドルある。これは現在のGDPと規模と比較すれば大きな数字となる。輸出が成長へ大きなプラス要因になるが、品質や付加価値のある製品を向上させる必須条件であることを示している、とした。単純で高校生でも良く判る内容、何を言いたいのか分らない。良い製品を造り付加価値が付けて輸出をすれば、GDP成長は加速するとでも言いかえるべきか。こうなると安定したマクロ経済と長期的な生産能力へ波及効果がある。そしてそのためには現在ベトナムが輸入する40%程度が機械設備だが、将来の投資のため高度な機械の輸入は競争力が向上するとしている。煙に巻かれた気分の記事。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生