2025年度 ベトナムはGDP8,02%成長を予測

2026年3月24日(火)

昨年度2025年のベトナムのGDP経済成長率は8,02%と過去15年で2番目に高い成長率であった、と現地経済紙が速報で流しています。特に第4四半期は8,46%と追い上げたとしている。
統計局の発表では、主にサービス産業と工業・建設業が牽引したとしており、サービス産業は最大の貢献をして51,1%のシェア、また工業・建設業は43,6%、残りは農林水産業となっており、年々サービス産業の伸びと比率は大きくなっています。
国家が成長して近代化が進めば第三次産業の比率は上がることは必定であるが、その意味ではベトナムは経済成長を順調に果たし、豊かになったと言えます。
記事には、このベトナムの業績は特に世界の貿易の緊張やアメリカのトランプ関税など経済が変動している中で際立っており、東南アジアで最も高い成長率を記録し、世界でもトップクラスにあるという。この高い成長率はCOVID‐19パンデミック後の2022年、8,12%に拡大した年に次ぐ2位となっている。
2025年にはGDPが5140億ドル、一人当たりの所得が5,026ドルに成長し、これでベトナムは念願の中上位所得国となったとも報じています。
なお年間インフレ率は3,31%の上昇であった。
また企業の設立も活発で、2025年には297,500社が新規登録もしくは復活し、これは27,4%の増加となっており起業意欲は高い。

・貿易黒字200億ドルを達成

昨年ベトナムの貿易額は過去最高となる9,300億ドルで、18,2%の増加。
輸出は好調で17%伸びて4,750億ドルとなりました。
統計局によると、昨年ベトナムの貿易黒字額は200億300万ドルであったとされたけれど、国内部門は294億3000万ドルの赤字、外国投資部門は494億6000万ドルの黒字を計上したとあります。
地場企業の輸出額は1,079億5000万ドルで6,1%減少、これは総輸出額の22,7%。一方で外国投資企業の割合は3,670億9000万ドルとなり、26,1%の増加となったけれど、この格差は開く一方となっており改善の余地は見いだせないままで指をくわえてみているだけ。しかも政府はいまだに外国からの投資を積極的に拡大しようとしている。であればこれ以上の格差が開くことになるのだが、これを如何に考えているのか疑問。また政府が自国企業をどの様に育成しようとしているのか見当が付きません。経済記事には農水産物輸出が増えたとか、ベトナム企業が力を付け自国技術で南北新幹線を建設すると勇ましい限りだが、中身は乏しく、数字から判断するとこの程度でしかない。
また47品目が10億ドルを超え、その内の8品目が100億ドルを超えたとしている。そしてこれらは輸出総額の実に94%を占めていると報じています。
工業製品は4,217億7000万ドルで、輸出割合は88,7%。農林業では394億6000万ドルと8,3%、水産物112億9000万ドルで2,4%、燃料・鉱物が28億3000万ドル、0,6%となっている。

総輸入額は4550億1000万ドルで19,4%増大、地場企業が1,373億8000万ドルで2%減、外資企業は3,170億3000万ドルで31,9%も増加しているのです。
輸入が中心の製品は、機械・設備、部品が4,261億1000万ドル。なんと93,6%も占めている。すなわち製造に欠かせない工作機械が主で、部品なども輸入しなければ製品を製造できないのがこの国の実態。今も組立産業に甘んじているのが明確になっていると考えます。こういう所に研究開発力が弱く、高度な精密部品製造が出来ないという課題が未だ解決できず、あれほど喧しく裾野産業を確立して近代的な工業製品を造れる国を目指したけれど、なに一つ出来ず、海外に頼る構造が浮き彫りになっている実情が数字から証明された。
この他、原材料と燃料が4,9%、消費財が6,4%となっています。

貿易量から見れば、あれほど騒いでいたアメリカとの相互貿易だが、ふたを開けると1,532億ドルの輸出額となり、最大の輸出先のままだが、悩みの種は貿易黒字が1,339億ドルと何と28,2%もの増加となっているのです。
しかし反対に中国はこれまで通り1,860億ドルも輸入している最大の国に変わりない。原材料などの輸入先としても君臨、1,156億ドルと39,6%赤字額が増えたのです。また赤字国は韓国も然りで、316億ドル、4,3%の増加となった。タイはASEANでは142億ドルの赤字だが42,4%もの増加。
反対にEUとは386億ドル、10,1%の増加。日本は21億ドルと30,1%減少している。

これまで通りの状況に大きな変化はないけれど、あれ程心配していたアメリカとの関係は上手くいっている様で、むしろベトナム側の黒字が進んだだけ。
中国との図式も変らず、政権が変わってからむしろ中国との関係は促進された感じがする。政府間でのビジネス交流は盛んになったが、ベトナムからの輸出は思うほど伸びず、またCOVID‐19で生産拠点の移転とか、サプライチェーンのベトナム移転も騒がれたけれど殆ど機能している様子はなく、むしろ原材料や部品は中国からの輸入が増えている。さらに中国企業のベトナム進出が増えている状況にあるので、表には出てこない隠れた経済数字があります。

・2026年の成長率を10%目標に

国民議会は本年度のGDP成長率を10%に目標を設定、また一人当たりの所得は5,400~5,500ドルに引き上げるといい、これは議員の90,5%の賛成で承認された。だが議員は政府に対してマクロ経済の安定を優先、インフレ率を4,5%以下に抑える様に求めています。
経済発展に伴う金融・財政政策は、明確な優先順位のもとで柔軟に管理され、適切に拡大すべきであり、信用の流れは生産部門やビジネス部門へ向けられ、リスクの多い地域への融資は制限されなければならないとしています。
政府はまた高騰している金、不動産、証券市場を効果的に管理し、電子商取引、飲食サービス、小売業における税金の採りはぐれを防止する義務を負うとし、公共債務と予算の赤字を抑制し、重要プロジェクトへの資金調達のため政府が発行する債券や資源の動員の寄りを創出しなければならないとした。
また計画しているHCM市とダナン市の国際金融センターの設立、指定された地域における自由貿易区の設置は加速されなければならない。
またラオカイ~ハイフォン間の鉄道、都市鉄道、南北高速鉄道プロジェクトには安定して電気エネルギーを供給する必要に迫られているため、原子力発電所の新設計画、国家インフラプロジェクトが目白押しになっている。
さらにハノイ近郊での新空港建設、HCM市の新港等々は経済活性化のために欠くことが出来ないインフラ物流整備案件であるが、出来る限り早急に着工すべきとされているなど、急速に大プロジェクトが出て来ており、悩ましい限り。
だがこれらを単独で、しかも国と投資家の資金だけでやれる筈はありません。またそれ以上に先進国並みに要求される知識、技術やノウハウは追い付かない状況に変わりはありません。一体どのように整理するのだろうか。

・日経新聞から ベトナム有力経済紙が報じている要旨

ベトナムは2026年までに名目GDPでタイを上回る5,000億ドルもの目標を掲げていると報じ、もしそうなればベトナムは東南アジア経済に歴史的な王位の交代をもたらすのでしょうか?と報じた。この理由は先にある大型の公共工事が急速に経済成長を誘引しているとある。成長が計画通りに加速するのであればベトナムの名目成長率は今年、または2027年までに5000億ドルを超え、タイを抜いてインドネシアに次ぐ東南アジア2位の経済大国になる可能性があるとしているけれどタラ、レバの域を出ない。
だが2000件以上の案件には問題が起きているとの指摘もあると言い、またタイ・カンボジア国境では紛争の発生。このため外国投資家を遠ざける要因になっているし、成長には地政学的な安定が必要とする研究者もいる。また20%のトランプ関税の不安定要素で予測不可能な状況で輸出の多様化が必要とする。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生