国のGDP成長に55%以上の貢献をしている5つの地方

2026年3月27日(金)

昨年ベトナムのGDPは8,02%と好調だった。これに味を占めて国会は今年の目標を10%に設定したのです。確かに数字上での成長は確認できるのだが、諸手を挙げて万歳している場合でないことは、ベトナム経済や地場企業の実状を理解している方なれば容易に理解できると考える。
輸出に占める割合を見ると外資企業の占める割合が如実に増えており、政府が外国投資の積極的誘致を改め、海外に多くを依存する体質を変えて自助努力をしてゆかなければ、経済はもはや自国の手から離れ海外企業に掌握される結末が待っているだけ。楽して儲けよう、技術やノウハウは進出企業が移転すればいいなんて思惑は甘すぎる。東南アジア2位の成長なんて喜んではいられない。
若くて海外事情や事業・生活経験を理解している優秀な人材が、国の経済実態を把握し、この国を変えて行かなければ、何時まで経っても表向きの経済成長が続き表面上の豊かさを享受できるだけで終わってしまうのです。
地場企業は規模だけ大きくなるけれど、実態は進化など出来ず何時まで経っても労働集約産業でしかない。即ち自国が必要とする精密部品を造れず、組立に甘んじるだけの製造が主体になってしまうだけの話。
お得意のスローガンやプロパガンダでこの国が世界の先端産業を率先して発展させる筋書だが、内実は技術者や専門家は極度に不足、何も進まないのが実態。
国内の実情に精通している方は経済紙に記事を載せ、例えばサプライチェーンに関する自国企業の製造能力の低さ、研究開発の弱さなどの懸念を幾ら書いても賛同を得られず、自国企業の発展と進化を信じ込んでいるのです。
年明けの経済記事には、日本が撤退を表明したことで新たなパートナーを探すように首相が指示。ベトナム政府はニントアン原子力発電所の建設に関して、ロシアと交渉を始め今月中に終えたいとあるが、本来は昨年の9月に終わっている筈なのに期待通り進展せず交渉が遅れていた。この原因のひとつは35年までに稼働を目指したいがスケジュールが拙速過ぎてタイト。電力事情が逼迫して焦っている政府は31年以降に両原発を稼働したいけれど無理筋。
南北新幹線も地場企業で行なうと強気だが、実際は不可能と分っている。また新年早々チン首相は、中国太平洋企業集団にタンソンニャット空港~ロンタン新空港間の地下鉄建設を依頼したとの現地報。なるほど確かに政権は中国寄りの姿勢を見せ、閣僚級の相互訪問も増える中で八方美人外交は表向きとなっている様に感じる。筆者は経験上こうした一連の出来事や態度からみてベトナムに過度な期待や投資、支援について今後は慎重に進めるべきとピンときた。
新年の初頭に際して、統計数字などに誤魔化されず真の実態を理解して納得。
今後の進出や方向性を確認する時期に来たと考えます。

・財務省による国の成長に55%以上も寄与5つの地方とは

財務省統計局によると、ハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市、ドンナイ省、バックニン省の5つの地域は、国内GDP成長に最も大きく貢献している。
ハノイ市8,16%、HCM市7,53%のGRDPを達成したが、主な原動力は最近の傾向から、サービス業、金融・銀行、運輸、物流、観光、情報技術、また生産・ビジネス支援サービスなどの高付加価値産業となっている。さらに加工・製造業はハイテク、イノベーション、DXの方向で重要な役割を果たしており、継続することで生産性の向上と成長、質的向上に貢献していると記事が掲載されています。

ハノイ市はサービス業が8,83%増加、工業・建設部門は7,46%増で安定した回復を見せている。農業、林業、漁業という一次産業は3,35%の増加。
農業部門で土地利用の効率向上のために農業の再編が進められたので、過去5年間で最も高い増加率となったのです。またGAP、V‐GAPプロセスに拠る有機野菜などのハイテク農業生産エリアが拡大した。V‐GAPはベトナムが独自に甘くしたものを作っただけで世界に通用するGAPには程遠いけれど、ベトナムの農民が何とかできる、という範囲で設けられた事情がある。

HCM市は7,53%の成長だが原油を除くと8,03%ととある。主な原動力はサービス業で8,76%の増加、ハノイ同様大都市の大消費地ならでは事だが、市の経済構造で主導的役割を果たしていることを裏付けたが、国が近代化すればこの第三次産業の割合は必然的に高くなる。
工業・建設部門は6,14%と順調に推移し、生産の回復とインフラ整備と拡張に大きく貢献、市の発展にも寄与している。だが農業、林業、漁業は2,36%に留まり、大都市周辺地域の特徴が出ている。

ハイフォン市は11,81%の増加で、安定した工業地域として成長を維持している。此処での原動力は工業・建設部門で、特に加工・製造業となっており、自動車製造が大きい。また運輸・倉庫は13,11%と、古来ハイフォンの港町という特徴が大きく出ており、国内有数の物流センターの地位を築いています。

ドンナイ省は9,63%だがHCM市、ビンユン省と並んで南部の主要工業拠点を形成している。工業・建設部門が重要な役割を果たし、多くの製造業は10%以上の成長となっている。金属、電気機器、皮革生産など特徴があり、例えば旧サンヨーは1990年代の初めに一早く此処に工場を建設し、ベトナムで白物家電を供給していたことがあるくらいです。
また建設部門はロンタン新国際空港建設と道路や水インフラ、住宅建設などが増えている背景があって伸びている。
サービス部門は9,39%で宿泊施設やケータリング事業、工業団地を背景に湯足、運輸・倉庫、不動産業が需要の増加で伸びている。

バクニン省はバンクジャン省と合併したのだが、北部における大規模で競争力の高い加工・製造業に特徴がある。とくにサムスンオンのスマート、キャノンの光学機器の様に世界的企業が操業しており、高い成長率を保持している。
国際競争力のある外資企業が主導し、2024年末から有名企業が操業を開始するなど持続可能で新たな成長が期待できる地域であり、成長率は10、3%、国内5位にランクインしているのです。
AP通信の記事にはベトナム北部バクニン省についての記載があり、かつては水田と何世紀も前から伝わる民謡クアンホで知られたハノイの北の街。今ではベトナム有数の活気ある工業地帯に変貌、地域を再編成したとある。またベトナム経済は米中間の摩擦の恩恵を受けてきたとし、日本や韓国などによる投資が世界的な製造拠点を造って来た。しかし人件費の高騰や労働者不足、インフラの未整備が急速な成長の限界を露呈させているとしたのです。

・ハノイは2026年に11%以上の成長目標

ハノイは2026年度に一人当たり平均年収が7,600ドルに達する見込みで、地域国内総生産は11%を超える。そして財政規律と無駄遣いの排除に力を入れるとし、100年ビジョンを持つマスタープランの準備を進めている。
此の重要な一歩は市の予算管理の強化、給与改革のために10%削減と社会福祉政策の支援に充てるため10%を貯蓄の推奨。公共投資は資本主出を5%削減、これをラオカイ~ハノイ~ハイフォン間の鉄道建設に振り分ける。また組織の合理化、人員削減、公民制度の再編を通じて官僚機構の削減が最優先課題としてあげられている。
科学技術については、DXと資源を進歩のために投入し、公共機関全体で反廃棄物文化の醸成、住民と生産意於いては日常の消費の節約を求めるとする。

・HCM市、一人当たりの所得を9,800ドルと平均の2倍を目指す

今年は12%増加させて9,800ドルに増やす目標で、昨年度の8,755ドル、全国の5,026ドルを大きく上回る。成長要因は国際金融センター、港湾物流センター、DXセンターとイノベーション、グリーンを組み見合わせて開発計画とする。新地下鉄路線建設に国道22号、13号、環状4号線の拡幅。市が抱える洪水、交通渋滞、環境汚染の可決に取り組み、公共支出目標を上回る計画。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生