・近年ベトナムでは中国語が出来る人材の募集が急増している
2025年は約13,000人もの中国語が話せる優秀な人材を必要としていたと云われる程だが、これは急速に中国企業のベトナム進出が現実として増加している事情に拠るもの。
特に北部にこの傾向が見られるのだが、その理由はベトナムと中国との関係が急速に緊密になっており、ベトナムのラム主席が訪中して習近平国家と会談。この結果、幾つかの国家インフラ整備計画が中国企業によって行われることとなり、さらに双方の高官、また人材交流を盛んにすることなどが話し合われたのです。そうして実際に中国企業のベトナムへの投資、進出が加速し始めているという訳だが、さて現地で操業を開始するとなれば様々な人材が必要になる。そしてこのスタッフやワーカーなどを纏めるベトナム人管理職、中国人の現地駐在員と会話ができ、会社の方針を正確に伝達できる人材が必要になる。
従がってこれまで日本語や韓国語を選択して進出して来た外資系企業に勤務していた若い人達が、中国語を学ぶために教室を変えているという状況へ変化が見られると云う。この理由は良く判らないけれど、では給料が良いとか、待遇が良いのか、またそれ以上のメリットがあるかだが、何れにしても時流というべきか急速に変化が起きている現状があるとされる。
ベトナム現地誌には、採用と需要が増えているけれど、新規に採用される求人に必要とされるのはしっかりとした中国語の基礎があり、話せるだけでなく、仕事でも使えるという人材の質にあると云うのだが、何とも贅沢な話。
現地の採用調査レポートに拠ると、2025年にはこの様な人材の新規募集が12,997件あり、これは前年比で約50%、2023年比では95%の増加とあるので、それだけ中国企業のベトナム進出が増えたと言っても間違いなく、これまで以上に様々な職種が増えているという状況にあると言える。そうなるとさらに人材の質に対する要求も明確になってくるけれど、実際に中国企業が求める条件のハードルはかなり高い。単なる会話が出来るだけでは意味はなく、仕事の内容を理解し、間違いのない適切な専門用語、顧客や同僚、パートナーとの正確なコミュニケーションが必要とされ、あらゆる場面で対処できる事が可能であることを求める。こんな優秀な人材なら独立して起業するのが正解。
当初からこれだけの条件をクリアできる人材が高等教育で育成できているかと言えば決してそうではなく、仮に語学が出来ても、スタッフとして外資系企業のビジネス最前線で実務経験を積んできたとか、グローバルな仕事に従事した、あるいは管理職を任せられる人材は極めて少ないとのが現実といえる。
・中国企業への就職を前提に研修プログラムを実施する済南大学の取り組み
現地の経済ニュースに掲載され、アレッと思ったのがこのタイトルの記事。
リ・ネイ博士に拠る中国語研修プログラムでの育成とは、先ずしっかりとした基礎が必要で中国語の、聞く、話す、書く、コミュニケーションをとる能力が均等に発達させる事が重要。一定のレベルに達するとより専門的な学習となり、職業中国語IとⅡを学び始め、次にⅢへ移行するとある。この一連の訓練は、専門用語の使い方、職場内コミュニケーション、特定の専門旅域へと繋がり、言語を基盤として文化能力、キャリアの深化という層になって行く。
そのうえで此処では2年間の学習、さらに広州で2年間の実習を持つ事で正しい発音、表現ミスの修正を行うことが出来る。広州で学生は毎日中国語環境に入るので様々なバックグラウンドを持つ人々と会話をしなければならなくなる。広州は国際度が高く、異なる文化、考え方、目標を持つ多国籍の人と交流する機会があり能力形成へ過程で意味があるというのです。最終学年には現地大手企業を訪問して学び、現実を観察する機会を提供。これは実際のビジネス環境や商業活動を学ぶのに重要である。
リ博士に拠ると此処まで現地での学習を行えば、ビジネス、企業、観光、教育など様々な分野で活躍できるという。
また中国語が、生産、貿易、ビジネス、企業の運営、サービスへと幅広く増々必要になるほどに市場ではしっかりとした中国語を履修した学生が、即ち人材の質が必要となる訳で、この済南大学のプログラムは、FPT大学でも共同で行っている教育とある。
この様に単なる外国語大学における語学の習得だけでなく、現地での語学実践を組み込み、しかもベトナム国内の通信関係の大手企業が設立したFPT大学にまで及んでいる。という事はベトナムが、中国企業の進出を見込んで特別の課程を持っているという事に外なりません。知る限りでは、日本へ留学しても、この様なひとつの国に特化したビジネス実践のための特別な学科がある訳ではありません。というより学問の領域というよりも就職の為の訓練校と呼んでもいい位の実務教育システムになっている。
これが大学の教育として、正式に認可された学部での教育プログラムであるか、無いのかは書いていないので分りませんが、ベトナムの他大学で此処まで実施しているのは知らない。しかし確実に中国企業に就職をすることを念頭に置いている人にとって、この制度は費用が例え大学並みに罹ったとしても、留学をするより簡単で実務が分り就職できる可能性が高いのです。この意味では他国も実務に有効な制度として参考にしてみる必要があるかも知れません、
・AI時代に備えた人材育成
ベトナムでも急速に進むAI。これに関して様々な問題や意見があるけれど、政府は科学技術を以ってこの国を発展させたいと考えている。
そうした中で現地ニュースが報じていたのは先記のタイトル記事。様々な分野や業種で人材育成が叫ばれているけれど、専門分野に通じたとか高等技術を持っている人材が全てに不足している。つまり高等教育が出来るだけの態勢にはなく教える側の教員の能力、学校での設備にも限界がある訳だが、それでいて高速鉄道を自国企業でとか、エネルギー不足が見込まれるために原子力発電の建設を再開するなんて事態になっている。だがどうしようもないのは国内企業には思う程の技術やノウハウがないので、結局は海外企業に依存削無ければならないという事情がある。此処に付け込んで出来るのが中国であり、国境を跨いでの鉄道建設を政府は承認、さらに中国企業のベトナム進出を容認する事となり、国内のインフラ整備、ビジネスに徐々に浸透している状況にあります。
そうした中で、ベトナムではどれだけの技術が投資されているかが重要でなく、人びとがその変化に適応し、修得する能力が居るとしている。意識変革が価値を生み出すためには市場に見合ったベースで学習し、適応して継続的に新たな能力を築き上げる必要があるとしている。
記事には、ベトナムで事業を行っている香港の保険・金融関連事業の業務に関して、26年間に160万の顧客にサービスを提供してきたビジネスモデル、顧客の期待が絶えず流動変化する市場に於いて、目標を達成する能力についてのアプローチを記事として掲載している。その中でAIの応用からAIと関わる能力の構築に触れているのです。
この企業のベトナムでの従業員の能力開発を組織変革のより広い視点に位置付けているといい、学習と開発を個別の研修プログラムとして捉えていない。
目標は従業員が現在の業務を上手にこなす様に支援するだけでなく、専門知識を広げて経験を積み、将来の新しい役割や働き方に備えるための環境作りにあるとしている。特定のスキルを身に付けるより学習力を付ける方が重要であり、仕事の変化に応じて個人が適応できるようにすることとある。そしてAIは徐々にその過程において試金石になりつつあるというのです。
AIの急速な発展は企業にとって技術の導入や選び方より大きな課題になっており、AIが日常業務に深くかかわる中で何処に適用されるか、人間がAIと協力できる準備が出来ているか問題になっている。しかしこの企業では単なる技術プロジェクトとはみなさず、能力開発に採り入れて職場での現実的な問題解決に貢献できるように促しているとある。その具体的事例が今年8月に開催された研修で500人以上の従業員が参加したという。
・AIを使って問題解決
こうしたAIを使って保険や記入業界で日々起きる問題とは何か分らないが、日本企業も進出しているけれどこの様なAIを使って解決するという話題を聞いた事はありません。勧誘、保険金の支払い、条件に違反したなど何処の国の人間でも同じ様な問題がある事は容易に理解できます。
要するにこれまで担当者と上司が経験やまたその国の特有の事情などから話し合って決定していたのを、各部署が現実の問題をAIで効率的に解決策を見つめることが出来るという事を共有しているのかと考えます。人間が情実や勧誘時に良い条件を勝手に担当者が話したため問題が起きたなどよくあるパターン、こうした対処法を機械的に処理するというようです。良いか悪いかは別として、従業員の質、社内教育なども別に捉えて判断をするのだが、効率は良いけれど人間的な部分はなく、仮に紛争が起きたとしてもAIが処理したということになるのだが、この業界が問題を多く抱えているという実態の外なりません。
テストの内容とは日常業務のボトルネックに対応できること、繰り返し作業を支援する事と自動化をするための再生型AIの応用と多岐に渡ると言う。
AIは新しいツールではなく、従業員が学び、問題解決の方法を変え、日常の仕事上で革新的な志向を形成する手段になるとしている。また新しいキャリア経験に繋がるというが、積極的に活用して職場内で力を持ち、声を上げる空間が必要ともしている。
ということは、問題解決には是非の判断や決済できる管理職や上司は要らない、ということなのかと思うのだが、そうなれば企業組織とは一体何なのか?疑問だし、AIでキャリアアップとはどういうことなのか分らない。
この企業、2026年にHRasiaから2つの賞を受賞するという。7年連続でアジア最高の職場、優秀人材変革企業。しかし良い職場とは一体何なのかだが単に経験だけで測られるものではなく未来の変化に備えるという。フーン!
かつて日本の製造業は様々な効率化を図りコストダウンして来た。そして世界的な賞を獲って来た。カイゼンは世界共通語にもなった。またスソノ(産業)もそのまま外国語になっている。さらにいくら機械化が進んで、殆どの工程で使われるのは良いけれど、最終工程で人の手でしか作り得ないワザがある。これをAIでとは絶対にいかない。
この企業の様に、外務員を使って保険勧誘、これは様々な問題があり法的手段に訴えて解決することもある。そういう業界と、もの造りの企業と一緒に出来ないが何れの業種でもAIの使用は増えて行くであろうが、全ての領域でAIを使うことが簡単になれば今問題となっている暴走が起きる事も考えられるが、人間の尊厳は絶対に失ってはならないとだけ言える。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生