ベトナムの行事 お祝い事②

2019年9月7日(土)

結婚式はダㇺ・クイと呼ばれます。最近は結婚式場が増え、其処での華燭の典が多くなりました。都会ではオシャレにホテルウェディングも増えましたが、こういう施設が無い地方では、予算に応じて相応のレストランを借り切るか、家の庭が広ければケータリングを利用します。
婚儀を行なう場所は、クリスチャンは教会。仏教徒は自宅玄関を入って直ぐ前、ご先祖を祀った大きな仏壇がある広間が多いのです。式当日の朝、花婿家族がチューホンという先導者を前に花嫁の実家に向います。
結婚式のため装飾された家の内に迎え入れられ、婚儀の場所に行きゴザを敷いた床に額ずきご先祖様に結婚の報告を粛々と行います。これが一番大切な儀式でゴザを敷く人の責任は重大。子供が沢山生まれ、末代まで永劫に子孫繁栄するとの一族郎党の願いが込められたクライマックス。
そこで花嫁には花輪と金の指輪にネックレス、ブレスレットにイヤリングなどが贈られ、大きなローソク二本に灯が点され、ささやかな宴が催されます。
この儀式が終われば次は花婿の家に花嫁を連れ帰ります。手を繋いで行くのが大事。此処でもご先祖に結婚の報告をします。
普通は花婿の家で新婚生活を送るので(昔は3年間という風習)、夫婦が睦まじき生活を始める寝室を見せる事があり、えッ!そこまで、と嬉恥かし興味津々で見学した事も。初夜はベッドに真っ白な新しいシーツが敷かれ、翌朝一番、親は花嫁の処女性を確認に行くという大切なお仕事がありました。という昔気質の友人の話。しかしこういう儀式が出来るのは両方の家が近い農村部か昔のこと。今は子供が都会で働き、親は田舎暮らしという社会に変化しており無理難題。
また結婚式は10月~3月が多かったのです。雨が無い乾季(歓喜)!だから、誰しもが経験上、暑い雨季に燃えている花嫁花婿が汗をかかない?ように、と暗黙の配慮。恥と礼はかいても冷房完備の今ではこれも昔のお話です。

披露宴の招待客は150~300名はごく普通。入口には大きな二人の写真が飾られ、名前入り看板が用意され、二人は結婚衣装を着て招待者を迎えます。受付は友人の役目。白い布に寄せ書きし、ハート型BOXに招待状の封筒にご祝儀(現金)を入れます。招待状はデザインも凝っていて立派なもの、1週間から10日位前に直接手渡します。余り早いと忘れるからとの事。電話で家に取りに来てネ、なんて気軽に催促も。いそいそとバイクで受け取りに行きアレコレ長話。日本のように出席・欠席という返信欄は無く、来ればいいし、来なくともワン・オブ・ゼム、大して気にしない鷹揚さ。
外国人招待客が多いと喜ばれます。ステータスもあるが、祝儀の額が多いからとゲンキン。結婚費用の殆どはこれで賄えます。辛いのは祝宴が重なること、掛け持ちするのは難しい。参列できずお祝いをしても日本のような祝い返しは無い風習。失礼だと怒らない。
招待客も目一杯おめかし。年配者はアオザイが多いのですが、スーツ姿が増えました。また勤務の合間の制服姿なんてことも普通。花婿がタクシー運転手の時は赤いネクタイ姿が入れ替わり立ち代り参列。友人の愛娘が外国航空会社のCAの時は、絢爛たる同僚のアジアン・ビューティーが百花繚乱、才色兼備の揃い踏み。日本人の結婚式では、人集りの中ミスベトナムから席に来て名刺を頂戴したが自分は誰か分からない。またホテル勤務の人はオーケストラを前にして指揮、ナンボ掛ったんやろ。全てが楽しい思い出です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生